コートの中と外
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体育の授業で球技が始まった。
体育館の半分では男子生徒たちがバスケットボールに興じ、熱気で溢れている。
残りの半分では、女子生徒たちが卓球の球を追っていた。
私はミチコと組んで、ラリーに夢中になっている。
「あー、ミス!」
サーブをネットにかけてしまい、私は悔しさのあまり顔を上げた。
「ドンマイ、●●!ちょっと休憩しよっか」
ミチコに言われ、体育館の冷たい壁にもたれ掛かるようにして腰を下ろす。
汗を拭きながら、私は何気なく隣の男子コートに視線を向けた。
ちょうど、夜久君が試合に出ているところだった。
夜久君のチームが攻撃権を得たのだろう。
ボールが夜久君にパスされる。
それを当然のようにキャッチするものだと、誰しもが思っただろう。
だけど、夜久君はパスされたボールを、まるでバレーボールをレシーブするように、両手を組んで下から柔らかく弾いた。
「おっ、ナイスパス!」
チームメイトは特に気にも留める様子もなく、そのレシーブを受け取って声を上げる。
夜久君は一瞬「しまった」という顔をしたけれど、すぐに切り替えて前線に走った。
そして、チャンスが訪れる。
ゴール下のせめぎ合いの中、夜久君にボールが渡った。
彼は迷わずシュートを試みる。
だけど、その目の前に立ちはだかったのは、背の高い男子生徒。
先日、夜久君の筆箱を取ってからかった生徒だ。
その生徒は余裕の笑みを浮かべながら、夜久君の進路を完璧に塞いでいる。
夜久君の必死のジャンプは虚しく、シュートはディフェンスに弾かれた。
「夜久、ドンマイ!」
チームメイトが夜久君の肩を叩く。
夜久君は悔しそうな表情を浮かべていた。
その感情が遠くから見ている私に移ったのか、思わず膝の上でぎゅっと拳を握りしめた。
「ねぇ、夜久君見た?」
隣に座っていたミチコがコソコソと囁く。
「うん。なんか、パスをレシーブしてたね」
私が言うと、ミチコはクスクス笑った。
「バレーボールが染み付いてるんだよね。可愛い」
ミチコの言葉に、私は驚いた。
彼女には、あの光景が夜久君のバレーへの情熱の表れとして、可愛く映ったみたいだ。
だけど、私にとっては違う。
思うように活躍できない彼の姿に、心が痛むばかりだった。
体育館の半分では男子生徒たちがバスケットボールに興じ、熱気で溢れている。
残りの半分では、女子生徒たちが卓球の球を追っていた。
私はミチコと組んで、ラリーに夢中になっている。
「あー、ミス!」
サーブをネットにかけてしまい、私は悔しさのあまり顔を上げた。
「ドンマイ、●●!ちょっと休憩しよっか」
ミチコに言われ、体育館の冷たい壁にもたれ掛かるようにして腰を下ろす。
汗を拭きながら、私は何気なく隣の男子コートに視線を向けた。
ちょうど、夜久君が試合に出ているところだった。
夜久君のチームが攻撃権を得たのだろう。
ボールが夜久君にパスされる。
それを当然のようにキャッチするものだと、誰しもが思っただろう。
だけど、夜久君はパスされたボールを、まるでバレーボールをレシーブするように、両手を組んで下から柔らかく弾いた。
「おっ、ナイスパス!」
チームメイトは特に気にも留める様子もなく、そのレシーブを受け取って声を上げる。
夜久君は一瞬「しまった」という顔をしたけれど、すぐに切り替えて前線に走った。
そして、チャンスが訪れる。
ゴール下のせめぎ合いの中、夜久君にボールが渡った。
彼は迷わずシュートを試みる。
だけど、その目の前に立ちはだかったのは、背の高い男子生徒。
先日、夜久君の筆箱を取ってからかった生徒だ。
その生徒は余裕の笑みを浮かべながら、夜久君の進路を完璧に塞いでいる。
夜久君の必死のジャンプは虚しく、シュートはディフェンスに弾かれた。
「夜久、ドンマイ!」
チームメイトが夜久君の肩を叩く。
夜久君は悔しそうな表情を浮かべていた。
その感情が遠くから見ている私に移ったのか、思わず膝の上でぎゅっと拳を握りしめた。
「ねぇ、夜久君見た?」
隣に座っていたミチコがコソコソと囁く。
「うん。なんか、パスをレシーブしてたね」
私が言うと、ミチコはクスクス笑った。
「バレーボールが染み付いてるんだよね。可愛い」
ミチコの言葉に、私は驚いた。
彼女には、あの光景が夜久君のバレーへの情熱の表れとして、可愛く映ったみたいだ。
だけど、私にとっては違う。
思うように活躍できない彼の姿に、心が痛むばかりだった。
