頑固ちゃんと不真面目君
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〜頑固ちゃんと不真面目君〜
私のクラスにはいわゆるチャラ男と呼ばれる男子生徒がいる。名前は矢巾秀。
彼はいつも可愛い女の子を見かけると声をかけてナンパまがいなことをしている。
だけど、モテるとは少し違うのかも知れない。
一つ上の学年に有名なモテ男、及川先輩がいるけれど、その先輩とは違って無理をしているように見えるから。
ちなみに私は矢巾君に可愛いって言われるどころか、隣の席だから視線こそ感じるときはあれど、まともに話をしたことがない。
だから今日も今日とて隣の席の矢巾君が昨日と違う女の子と楽しそうに話しているのを、こっそりと聞き耳を立てるだけ。
「サヤカちゃん本当に可愛いね〜」
「もーおだてても何も出ないんだからね!」
そんなやり取りを聞いていると予鈴が鳴った。
「そろそろ戻らないと」
「うん、またね」
ヒラヒラと手を振って別れを言う矢巾君のタイミングを見計らって、私は珍しく話しかけた。
「矢巾君」
さすがに物申したいことがあるから。
「何?◯◯さんから話しかけてくるなんて珍しいね」
「矢巾君はもっと真面目になった方がいいよ。昨日と違う子にも可愛いって言っているから」
「聞いていたの?◯◯さんのえっち」
なんて、両手で胸を隠すジェスチャーをする矢巾君。
「まあ、冗談は置いといて、俺は可愛いと思ったから素直に言っているだけだよ。そう言う◯◯さんはもっと笑った方がいいよ。その方が回りと打ち解けられるし、好かれると思う」
つまり、私は矢巾君に可愛いと思われていない、と。
「私は無理して好かれようとは思わない」
私のことを好きな人とだけ関わっていたいから。
もちろんそんなのは理想論。
上手いこといかないのは分かっている。
「そっか。俺は多少無理をしてでも好かれたいけどね。◯◯さんって意外と頑固だよね」
「が、頑固……」
自分のことを素直だとは思っていないけれど、面と向かって頑固と言われたのは初めてで、少し……いや、大分ショックを受けた。
逆に矢巾君は素直と言うか正直過ぎるのかもしれない。
そこまで話をすると、本鈴が鳴り先生が教室に入ってきた。
「はーい、席に着けー」
今日のところはこの辺にしてやる、と謎の対抗心を剥き出しにして授業に集中した。
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