薬物注意報
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〜薬物注意報〜
窓の外ではどんよりした雲が漂い、ガラスを強く叩く風の音が聞こえてくる。
いかにも雨が降りそうな天気だ。
そんな中、私は教室で次の授業の準備をしていた。
その時、ガラリと教室の扉が開いた。
振り向くと、そこに立っていたのは、他クラスの白布賢二郎君。
彼は教室に入るや否や、一直線に私の元へとやってきた。
そして、おもむろに口を開いた。
「●●、体調は?」
私は手を止め、彼の方へ視線だけ向けた。
「今日は大丈夫」
「そうか。分かった」
それだけ確認すると、白布君は脇目も振らずに教室から出ていった。
その一連の光景を、斜め後ろの席でスマホを弄っていた友達のアイカが見ていたらしい。
「何々、体調の心配?白布にも優しい所があるじゃん!」
彼女は興味津々といった様子で私の席まで身を乗り出してきた。
キラキラとした瞳に、私は苦笑いで応える。
「残念ながら、そんなラブラブなやり取りじゃないよ。そもそも付き合っていないし。あれは、ただ天気の確認がしたかったけ」
「天気の確認?」
アイカは心底、何を言っているのか分からないとでも言いたげな表情を浮かべた。
「私、低気圧だと頭痛が起こるのよね。だから頭痛の日イコール雨が降るから、白布君はそれを確認しに来てるの」
私は少しだけ大袈裟に肩をすくめてみせた。
「そんなの●●に聞かなくても、スマホで調べればいいのに」
彼女の言う通り、最近の天気予報アプリは雲の動きも分かって進歩している。
だけど、それでも白布君が私に聞きに来る理由は、過去の経験談があるから。
「結構前のことなんだけど……。白布君、天気予報を信じて傘を持っていかなかったら、通り雨に降られてね。私は頭痛を頼りに傘を持っていたんだけど、そのことがあって、聞きに来るようになったのよ」
「へぇ〜便利だね」
便利、か。
確かに助かるときもある。
だけど、この体質の代償は、あまりにも大きすぎた。
梅雨時なんて、ほぼ毎日頭痛に悩まされて鎮痛剤が手放せない。
効き目が切れても1日に飲む回数が決まっているため、飲めない時はひたすら耐え忍ぶ時間が続く。
それが授業中となれば尚更ツライ。
それに加え、月の物の週は天気に関係なく頭痛が起こるから飲まざるを得ないため、案外天気なんて当てにならない。
本当に嫌な体質だ。
頭痛が治るなら、雨に濡れても構わない。
私はため息と共に、鎮痛剤が入ったポーチをギュッと握りしめた。
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