我慢vs我慢
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目が覚めたとき、私は何事もなかったかのように、きちんと部屋着を着せられていた。
賢二郎が着替えさせてくれたんだ。
だけど、肝心の本人が見当たらない。
私は起き上がり、寝室を出て、キッチンや脱衣所を覗いたけど、どこにも賢二郎の姿はなかった。
「どこに行っちゃったんだろう……」
待っている間、私はもう一度、賢二郎のベッドにふわりと倒れ込んだ。
「スーッ」
深く息を吸い込むと、シーツから、彼の匂いがした。
落ち着く匂い。
しばらくそうしていると、玄関の扉がカチャリと開く音がした。
「あ、おかえり」
私が声をかけると、
「目、覚めたか」
賢二郎は、コンビニでも行っていたのか、手に持っていたビニール袋をローテーブルにガサッと置いた。
「何買ったの?」
私が袋の中を覗き込むと、そこにはプリンやケーキ、アイスなど、多種多様なスイーツが入っていた。
「これ」
賢二郎は視線を合わせずに、少しだけ口ごもるように言った。
「その……無理させたお詫び」
その言葉に、昨夜の激しさを思い出し、私はふっと笑みがこぼれた。
「ふふふ、気にしなくていいのに……あれ?」
スイーツをビニール袋から出していると、袋の底に四角い箱が入っているのを見つけた。
チョコレートでも買ったのかと思ったけれど、そのパッケージは、あまりにも甘くないものだった。
私は箱を手に取り、賢二郎に見せる。
「ねえ、これって」
「避妊具」
彼は全く動じることなく答えた。
「見たら分かるわよ」
「●●が持ってきたのだけだと足りなさそうだったから」
その一言に、私は呆れたような、感心したような気持ちになった。
クールに見えて、人並み以上の性欲を持っているだなんて。
……そうだ、今なら。
2人とも落ち着いている今なら、あの重大な誤解を解けるかもしれない。
このままにしておけば、また彼の理性を失わせ、怖い思いをすることになるかもしれない。
私はスイーツをテーブルに置き、改めて賢二郎に向き直った。
「ねえ、賢二郎」
「なんだ」
「あのとき、“他の男のことを思い出したのか”って、賢二郎は他の男の人と比較されたと思ったみたいだけど……」
彼の目を見て、言葉を選ぶ。
「うん」
「あれ、自分でシてるときには、一度もあんなことになったことないって意味だったの」
自分で言っていて、顔がカッと熱くなる。
なんという恥ずかしい告白だろう。
だけど、これで彼の心に巣食った嫉妬が晴れるなら、安いものだ。
賢二郎の目が、大きく見開かれた。
「え、じゃあ俺……勘違いを?」
「そうだよ」
「なんだよ、早く言えよ」
彼は心底不満そうに言った。
「言おうとしたよ!」
本当に、昨夜は私の話なんて全く聞かなかったくせに。
勝手なんだから。
「ついでに、私の方も聞きたいことがあるんだけど……。なんで下手くそなフリをしたの? 手とか震えていたし」
一番初め、私の肌に恐る恐る触れた彼の手の震えは、とても演技には見えなかった。だから私は、てっきり経験がないのだと。
彼は腕を組み、視線を少し逸らした後、照れ隠しのように言った。
「あー武者震い的な?興奮?」
「え?」
「そりゃそうなるだろ。こっちは3ヶ月も手を出さずに我慢していたんだから」
賢二郎も我慢していたの?
私に魅力がなくて、彼にとってどうでもいい存在だからキスすらしてくれないのだと、ずっと不安に思っていたのに。
安堵したように全身から力が抜ける。
「よかったー!」
私は立ち上がり、勢いよく賢二郎に抱きついた。
「ちょっ、なんだよ急に」
彼は驚きながらも、私の体を支えるように腕を回してくれる。
「なんとなく。安心しちゃって」
私の胸の内を知った賢二郎は、抱きしめる腕に力を込めた後、ニヤリと笑った。
「そんなに元気なら、続き、しても大丈夫そうだな」
そう言って、彼は舌をペロリと出し、昨夜の猛獣のような妖艶な笑みを浮かべた。
「えっ……一旦デザートタイム挟まない?せっかく買ってきてくれたんだし」
「待たない。もう遠慮しない」
「ひえっ」
誤解が解け、精神的には安心できたけれど、その代償として、体力の心配が増えたことを、私は覚悟した。
ーーFinーー
賢二郎が着替えさせてくれたんだ。
だけど、肝心の本人が見当たらない。
私は起き上がり、寝室を出て、キッチンや脱衣所を覗いたけど、どこにも賢二郎の姿はなかった。
「どこに行っちゃったんだろう……」
待っている間、私はもう一度、賢二郎のベッドにふわりと倒れ込んだ。
「スーッ」
深く息を吸い込むと、シーツから、彼の匂いがした。
落ち着く匂い。
しばらくそうしていると、玄関の扉がカチャリと開く音がした。
「あ、おかえり」
私が声をかけると、
「目、覚めたか」
賢二郎は、コンビニでも行っていたのか、手に持っていたビニール袋をローテーブルにガサッと置いた。
「何買ったの?」
私が袋の中を覗き込むと、そこにはプリンやケーキ、アイスなど、多種多様なスイーツが入っていた。
「これ」
賢二郎は視線を合わせずに、少しだけ口ごもるように言った。
「その……無理させたお詫び」
その言葉に、昨夜の激しさを思い出し、私はふっと笑みがこぼれた。
「ふふふ、気にしなくていいのに……あれ?」
スイーツをビニール袋から出していると、袋の底に四角い箱が入っているのを見つけた。
チョコレートでも買ったのかと思ったけれど、そのパッケージは、あまりにも甘くないものだった。
私は箱を手に取り、賢二郎に見せる。
「ねえ、これって」
「避妊具」
彼は全く動じることなく答えた。
「見たら分かるわよ」
「●●が持ってきたのだけだと足りなさそうだったから」
その一言に、私は呆れたような、感心したような気持ちになった。
クールに見えて、人並み以上の性欲を持っているだなんて。
……そうだ、今なら。
2人とも落ち着いている今なら、あの重大な誤解を解けるかもしれない。
このままにしておけば、また彼の理性を失わせ、怖い思いをすることになるかもしれない。
私はスイーツをテーブルに置き、改めて賢二郎に向き直った。
「ねえ、賢二郎」
「なんだ」
「あのとき、“他の男のことを思い出したのか”って、賢二郎は他の男の人と比較されたと思ったみたいだけど……」
彼の目を見て、言葉を選ぶ。
「うん」
「あれ、自分でシてるときには、一度もあんなことになったことないって意味だったの」
自分で言っていて、顔がカッと熱くなる。
なんという恥ずかしい告白だろう。
だけど、これで彼の心に巣食った嫉妬が晴れるなら、安いものだ。
賢二郎の目が、大きく見開かれた。
「え、じゃあ俺……勘違いを?」
「そうだよ」
「なんだよ、早く言えよ」
彼は心底不満そうに言った。
「言おうとしたよ!」
本当に、昨夜は私の話なんて全く聞かなかったくせに。
勝手なんだから。
「ついでに、私の方も聞きたいことがあるんだけど……。なんで下手くそなフリをしたの? 手とか震えていたし」
一番初め、私の肌に恐る恐る触れた彼の手の震えは、とても演技には見えなかった。だから私は、てっきり経験がないのだと。
彼は腕を組み、視線を少し逸らした後、照れ隠しのように言った。
「あー武者震い的な?興奮?」
「え?」
「そりゃそうなるだろ。こっちは3ヶ月も手を出さずに我慢していたんだから」
賢二郎も我慢していたの?
私に魅力がなくて、彼にとってどうでもいい存在だからキスすらしてくれないのだと、ずっと不安に思っていたのに。
安堵したように全身から力が抜ける。
「よかったー!」
私は立ち上がり、勢いよく賢二郎に抱きついた。
「ちょっ、なんだよ急に」
彼は驚きながらも、私の体を支えるように腕を回してくれる。
「なんとなく。安心しちゃって」
私の胸の内を知った賢二郎は、抱きしめる腕に力を込めた後、ニヤリと笑った。
「そんなに元気なら、続き、しても大丈夫そうだな」
そう言って、彼は舌をペロリと出し、昨夜の猛獣のような妖艶な笑みを浮かべた。
「えっ……一旦デザートタイム挟まない?せっかく買ってきてくれたんだし」
「待たない。もう遠慮しない」
「ひえっ」
誤解が解け、精神的には安心できたけれど、その代償として、体力の心配が増えたことを、私は覚悟した。
ーーFinーー
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