キミは何も悪くない
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学校の外に出ると、冬の冷たい空気が肌を刺した。
付き合っていた頃とは違い、一緒に手を繋いで歩くことはない。
だけど、一歩半の距離を保ちながら、彼の側にいるのが、今の私たちにはちょうどいい距離感だった。
「買い出しって、どこに行くの?」
「すぐ近くのスポーツショップ」
「何買うの?」
「テーピングとか」
私の質問に、賢二郎は一問一答形式の返事しかしてくれなかったけど、無視をされないだけマシだった。
「そもそも、なんで2人が買い出しに?マネージャーとか、顧問は?」
「男バレにマネージャーいねぇし。監督は年だし、コーチは練習試合とかのセッティングで忙しいから。主将の太一と、副主将の俺が行くしかねぇの」
「賢二郎、副主将になったんだ。知らなかった……」
別れていたこの半年の間に、賢二郎はチームの要となっていたのだ。
目的地に向かっている間、賢二郎の横顔を盗み見ながら、私の知らない彼がいることに、少しの寂しさを覚えた。
……。
…………。
スポーツショップから学校への帰り道。
「たくさん買ったね!」
賢二郎は重い段ボールと大小様々な紙袋を両手に下げていた。
「お前はこのまま家帰れよ」
「ヤダ!私も一緒に学校帰る!」
賢二郎は小さく舌打ちをした。
「チッ……好きにしろ」
「うん!だから、何でもいいから荷物貸して?」
「何でもいいんだな?」
そう言って、賢二郎はイタズラを思いついたような悪い顔をした。
一瞬、一番重い段ボールを押し付けられるかと思った。
だけど、渡してくれたのは一番軽い、小さな紙袋だった。
持ってもいないのと同じくらいの重さ。
そういうところは変わらなく優しい。
私たちは行きと同じ道を並んで歩き始めた。
行きとは違い、一歩半の距離はもうない。
それでも、手は繋げない。
時折、すれ違う車の音や、風で揺れる並木道の葉の擦れる音だけが響いていた。
ああ、もうすぐで学校に着いてしまう。
彼の隣にいられる時間が終わる。
正直、このままでもいいと思えるくらい、久しぶりに心地よい時間を過ごせた。
だけど、それではダメだ。
賢二郎と話し合うなら今しかない。
私は勇気を振り絞った。
「ねえ、賢二郎……。私のこと、嫌いになった?」
これが、私が一番知りたくて、一番聞きたくなかった問い。
賢二郎はあのときみたいに何も答えず、ただ唇を噛み締めている。
「……」
「やっぱり、教えてくれないんだね。私だけがずっと賢二郎のことが好きで……バカみたい……」
私が泣き崩れそうになったとき、賢二郎は持っていた荷物を音を立てて地面に置き、一歩踏み出し、私の肩を強く、強く掴んだ。
「俺だって好きだよ!ずっと好き!今でも好きだ!」
彼は叫ぶように言った。
その声は震えていて、別れたときと同じくらい苦しそうだった。
それが私を混乱させる。
「じゃあ、なんで……?」
肩を掴む彼の指に、力がこもる。
賢二郎は目を伏せ、深く息を吸い込んだ。
「不安だったんだ。俺といて●●は楽しいのかって……」
彼の言葉が、途切れ途切れに、でも真実を物語っていく。
「俺は●●に構ってやれる時間が少ない。そのうち俺に飽きて振るに決まってる。だから、そうなる前に俺の方から離れた」
賢二郎は自嘲するように笑った。
その顔は、別れた日の彼の表情と重なった。
「勝手に私の気持ちを決めつけないでよ!」
私の声が、響いた。
涙はまだ止まらないけれど、それは悲しみではなく、怒りだった。
そして、彼を愛しく思う気持ちだった。
「飽きる?飽きるワケないじゃん!離れている間、どれだけ私が賢二郎のことを考えていたか……。毎日、どうすれば賢二郎が戻ってきてくれるか、別れた理由は何だったのかって、そればっかり考えていたんだよ!」
私は賢二郎の胸を、痛いほど強く叩いた。
「勝手に離れていかないでよ……。私だって、賢二郎を失うのは怖いよ。でも、怖くても一緒にいたいの!」
賢二郎は、私の言葉を最後まで聞き終わると、私の両手を掴み、引き寄せた。
「ごめん。本当に、ごめん……。俺、自分のことしか見えていなかった……」
彼は私の肩に顔を埋め、何度も謝った。
彼の制服から、懐かしい匂いがする。
「もう二度と、勝手に離れたりしない。ずっと、ずっと一緒にいたい」
その震える声を聞いて、私は彼の背中に手を回し、強く抱きしめ返した。
「バカ……」
そう呟いて、私もまた、彼の匂いに包まれながら涙を流した。
ーーFinーー
付き合っていた頃とは違い、一緒に手を繋いで歩くことはない。
だけど、一歩半の距離を保ちながら、彼の側にいるのが、今の私たちにはちょうどいい距離感だった。
「買い出しって、どこに行くの?」
「すぐ近くのスポーツショップ」
「何買うの?」
「テーピングとか」
私の質問に、賢二郎は一問一答形式の返事しかしてくれなかったけど、無視をされないだけマシだった。
「そもそも、なんで2人が買い出しに?マネージャーとか、顧問は?」
「男バレにマネージャーいねぇし。監督は年だし、コーチは練習試合とかのセッティングで忙しいから。主将の太一と、副主将の俺が行くしかねぇの」
「賢二郎、副主将になったんだ。知らなかった……」
別れていたこの半年の間に、賢二郎はチームの要となっていたのだ。
目的地に向かっている間、賢二郎の横顔を盗み見ながら、私の知らない彼がいることに、少しの寂しさを覚えた。
……。
…………。
スポーツショップから学校への帰り道。
「たくさん買ったね!」
賢二郎は重い段ボールと大小様々な紙袋を両手に下げていた。
「お前はこのまま家帰れよ」
「ヤダ!私も一緒に学校帰る!」
賢二郎は小さく舌打ちをした。
「チッ……好きにしろ」
「うん!だから、何でもいいから荷物貸して?」
「何でもいいんだな?」
そう言って、賢二郎はイタズラを思いついたような悪い顔をした。
一瞬、一番重い段ボールを押し付けられるかと思った。
だけど、渡してくれたのは一番軽い、小さな紙袋だった。
持ってもいないのと同じくらいの重さ。
そういうところは変わらなく優しい。
私たちは行きと同じ道を並んで歩き始めた。
行きとは違い、一歩半の距離はもうない。
それでも、手は繋げない。
時折、すれ違う車の音や、風で揺れる並木道の葉の擦れる音だけが響いていた。
ああ、もうすぐで学校に着いてしまう。
彼の隣にいられる時間が終わる。
正直、このままでもいいと思えるくらい、久しぶりに心地よい時間を過ごせた。
だけど、それではダメだ。
賢二郎と話し合うなら今しかない。
私は勇気を振り絞った。
「ねえ、賢二郎……。私のこと、嫌いになった?」
これが、私が一番知りたくて、一番聞きたくなかった問い。
賢二郎はあのときみたいに何も答えず、ただ唇を噛み締めている。
「……」
「やっぱり、教えてくれないんだね。私だけがずっと賢二郎のことが好きで……バカみたい……」
私が泣き崩れそうになったとき、賢二郎は持っていた荷物を音を立てて地面に置き、一歩踏み出し、私の肩を強く、強く掴んだ。
「俺だって好きだよ!ずっと好き!今でも好きだ!」
彼は叫ぶように言った。
その声は震えていて、別れたときと同じくらい苦しそうだった。
それが私を混乱させる。
「じゃあ、なんで……?」
肩を掴む彼の指に、力がこもる。
賢二郎は目を伏せ、深く息を吸い込んだ。
「不安だったんだ。俺といて●●は楽しいのかって……」
彼の言葉が、途切れ途切れに、でも真実を物語っていく。
「俺は●●に構ってやれる時間が少ない。そのうち俺に飽きて振るに決まってる。だから、そうなる前に俺の方から離れた」
賢二郎は自嘲するように笑った。
その顔は、別れた日の彼の表情と重なった。
「勝手に私の気持ちを決めつけないでよ!」
私の声が、響いた。
涙はまだ止まらないけれど、それは悲しみではなく、怒りだった。
そして、彼を愛しく思う気持ちだった。
「飽きる?飽きるワケないじゃん!離れている間、どれだけ私が賢二郎のことを考えていたか……。毎日、どうすれば賢二郎が戻ってきてくれるか、別れた理由は何だったのかって、そればっかり考えていたんだよ!」
私は賢二郎の胸を、痛いほど強く叩いた。
「勝手に離れていかないでよ……。私だって、賢二郎を失うのは怖いよ。でも、怖くても一緒にいたいの!」
賢二郎は、私の言葉を最後まで聞き終わると、私の両手を掴み、引き寄せた。
「ごめん。本当に、ごめん……。俺、自分のことしか見えていなかった……」
彼は私の肩に顔を埋め、何度も謝った。
彼の制服から、懐かしい匂いがする。
「もう二度と、勝手に離れたりしない。ずっと、ずっと一緒にいたい」
その震える声を聞いて、私は彼の背中に手を回し、強く抱きしめ返した。
「バカ……」
そう呟いて、私もまた、彼の匂いに包まれながら涙を流した。
ーーFinーー
