変わるモノ、変わらないモノ
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〜変わるモノ、変わらないモノ〜
中学のときから付き合っている鋭児郎は、もともと黒髪で大人しい人だった。
あの頃はよく静かな教室の片隅で、本を読んだり、私の話に静かに頷いてくれる、優しい目をした男の子だった。
だけど、雄英高校への入学が決まってからだろうか。
あるいは、そこでできた新しい友達の影響なのか。
久しぶりに会った彼を見たとき、私は一瞬、目を疑ってしまった。
ーーーー
春のやわらかな光の下、駅前のベンチで鋭児郎を待つ。
中学の卒業式以来だから、実に2ヶ月ぶりだ。
春休みに入ってからは彼の受験勉強や実技試験の準備で忙しくて会えず、合格が決まってからも、今度は授業が大変で、ときおりする電話だけが、唯一の繋がりだった。
「おう、●●!待たせたな!」
彼は自信に満ちた声で私の名前を呼んだ。
相変わらず明るくて、誰のものか一瞬で分かる声。
だけど、目の前に立った彼を目にして、私は思わず言葉を詰まらせた。
「え、……えい……じろ?」
髪は以前の面影を全く感じさせないほど真っ赤に染められ、ぺちゃんこだったヘアスタイルも、整髪料でツンツンに立っている。
服装だってどこか派手さを感じられる。
「変わったね」
ほとんど呟きのような声になった。
「おう!憧れのヒーローをリスペクトしてイメチェンしてみた!」
笑いながらそう話す鋭児郎。
その顔には、どこか誇らしげな表情が浮かんでいる。
私が通う普通の高校には、こんな派手な人もいなければ、ヒーロー志望の人もいない。
そのため、新しい友達ができるたび、彼氏が雄英のヒーロー科に通っている話をすると、みんなが羨望の眼差しで見てくる。
それが誇らしかった。
それなのに……。
そんなことを思い出しながら、私はぎこちなく微笑む。
「……似合っているよ」
本当は、そんな風には思えなかった。
あの地味で優しい鋭児郎の方が、私は好きだったかもしれない。
だけど、中学時代よりずっと自信に満ちてキラキラして見える彼を、否定することもできず、私はただ取り繕う言葉しか言えなかった。
「ありがとう!逆に●●は変わってなくて安心したぜ!」
鋭児郎は無邪気に笑う。
「あ、あはは……」
曖昧に笑い返しながら、胸の奥がちくりと痛んだ。
それはどういう意味?
私が変わっていないことは、いいことなの?
それとも、遠回しにお前も少しは変われよって言っているの?
数ヶ月会わなかっただけで、まるで知らない人になったみたい。
もしかしたら、私も変わらなければいけないんじゃないか。
そんな不安が、心の隅にしこりとして残った。
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