変わるモノ、変わらないモノ
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体育祭が終わってから、初めてのデート。
涼しかった季節に、ほんのり初夏の空気が混ざっていた。
前と同じ待ち合わせ場所、同じ時間。
駅のホームを出ると、黒髪の男性がベンチに座っているだけで、鋭児郎はまだ来ていなかった。
前回も私の方が少しだけ早かった。
今日もそうだろう、とそれほど気にせず、先に座っていた男性と少し距離を取ってベンチに座る。
それにしても、最近は暑くなってきた。
じんわり滲み出る額の汗をハンカチで押さえる。
すると、
「あ、あのー……」
と、隣に座っていた男性が控えめに話し掛けてきた。
その声に首を傾け、何気なくそちらを向く。
「はい?」
目が合った瞬間、息を呑んだ。
その男性に見覚えがあったから。
いや、見覚えどころか、私が待ち合わせしていた人物その人だ。
「え?!鋭児郎?!どうしたの、その髪!」
私の驚きに、彼は少しだけ困ったように頬を掻いた。
「黒染めしてみた……。●●、全然気が付いてくれないから。変……だったか?」
どこか不安げな表情が、中学の頃を思い起こさせる。
その懐かしさに胸がぎゅっとなった。
「ううん!いいと思う!」
私は食い気味に返事をした。
髪こそセットされているけれど、むしろ中学時代のときより良い。
服装だって、髪色に合わせた大人しい色合いのシャツに、差し色が入った感じ。
本来なら、高校に入って最初のデートで、私はこんな感じの彼を求めていた。
「そっか……。よかった。あ、そうだ。この前は応援に来てくれてありがとうな」
鋭児郎がふっと笑う。
その表情に、思わず嬉しくなって、自然と笑みがこぼれる。
「こちらこそ、お友達に紹介してくれてありがとう。みんな明るくて……ぃ……面白い人だね」
咄嗟に“良い人だね”と言いかけた言葉を飲み込んだ。
だってヒーロー科の人たちなんだもの。
良い人に決まっている。
「じゃあ……行くか。今日は映画館だっけ?」
「うん、気になっていたやつ!」
日差しに包まれながら2人、映画館のある施設まで穏やかに歩き出す。
服装だって、黒髪なら何でも似合う。
周りの視線だって気にならない。
小さな幸せを噛み締めながら、私は少し勇気を出して、そっと彼の手を握る。
前回のモヤモヤした気持ちを隠すためではなく、ただ私が繋ぎたかったから。
彼の手が、わずかに驚いた後、強く優しく握り返してくれた。
その日のデートはとても楽しかった。
涼しかった季節に、ほんのり初夏の空気が混ざっていた。
前と同じ待ち合わせ場所、同じ時間。
駅のホームを出ると、黒髪の男性がベンチに座っているだけで、鋭児郎はまだ来ていなかった。
前回も私の方が少しだけ早かった。
今日もそうだろう、とそれほど気にせず、先に座っていた男性と少し距離を取ってベンチに座る。
それにしても、最近は暑くなってきた。
じんわり滲み出る額の汗をハンカチで押さえる。
すると、
「あ、あのー……」
と、隣に座っていた男性が控えめに話し掛けてきた。
その声に首を傾け、何気なくそちらを向く。
「はい?」
目が合った瞬間、息を呑んだ。
その男性に見覚えがあったから。
いや、見覚えどころか、私が待ち合わせしていた人物その人だ。
「え?!鋭児郎?!どうしたの、その髪!」
私の驚きに、彼は少しだけ困ったように頬を掻いた。
「黒染めしてみた……。●●、全然気が付いてくれないから。変……だったか?」
どこか不安げな表情が、中学の頃を思い起こさせる。
その懐かしさに胸がぎゅっとなった。
「ううん!いいと思う!」
私は食い気味に返事をした。
髪こそセットされているけれど、むしろ中学時代のときより良い。
服装だって、髪色に合わせた大人しい色合いのシャツに、差し色が入った感じ。
本来なら、高校に入って最初のデートで、私はこんな感じの彼を求めていた。
「そっか……。よかった。あ、そうだ。この前は応援に来てくれてありがとうな」
鋭児郎がふっと笑う。
その表情に、思わず嬉しくなって、自然と笑みがこぼれる。
「こちらこそ、お友達に紹介してくれてありがとう。みんな明るくて……ぃ……面白い人だね」
咄嗟に“良い人だね”と言いかけた言葉を飲み込んだ。
だってヒーロー科の人たちなんだもの。
良い人に決まっている。
「じゃあ……行くか。今日は映画館だっけ?」
「うん、気になっていたやつ!」
日差しに包まれながら2人、映画館のある施設まで穏やかに歩き出す。
服装だって、黒髪なら何でも似合う。
周りの視線だって気にならない。
小さな幸せを噛み締めながら、私は少し勇気を出して、そっと彼の手を握る。
前回のモヤモヤした気持ちを隠すためではなく、ただ私が繋ぎたかったから。
彼の手が、わずかに驚いた後、強く優しく握り返してくれた。
その日のデートはとても楽しかった。
