巡り合わせ
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約束の日。
待ち合わせ場所の駅前に行くと、既に松川がいた。
話しかける前に軽く深呼吸をして、無理やりテンションを上げる。
「やっほー松川。この間ぶり」
「おう」
この間と違いラフな格好の松川。
仕事じゃないんだから当たり前だけど。
「取り敢えず、そこら辺にあるカフェに入るか」
「そうだね」
私たちは目についた一番近いカフェに入った。
席に案内され、適当に飲み物の注文を済ませる。
温かいおしぼりで手を拭いていると、先に話題を振ってきたのは松川の方だった。
「落ち着いたか」
「あ、うん」
祖母のことだろう。
「無理するなよ」
「ありがとう」
トークアプリでのやり取りでは塞ぎ込んでいるなんて言っていないし、におわせることも言わなかったのに。
松川には何でもお見通しなんだな。
「それにしても、最後に会ったのは学生だったから松川もちゃんと働いているんだなって感心した」
「おかんかよ」
松川は冷静に突っ込んだ。
「ようやく年齢が顔に追い付いたね」
「◯◯も俺のこと老け顔だって思っていたのか」
「まあね」
暗い雰囲気になると悪いと思って、松川を茶化した。
学生時代、まともに話をしたことがなかった松川と、こうして雑談しているのが不思議な気持ちになった。
「こんなときに言うのもなんだけど、俺学生時代◯◯のこと好きだったんだ」
「え、あ、うん。ありがとう」
ビックリした、過去の話か。
もしかして、茶化した仕返しでもしようとしているのか。
そう思っていたら、
「それは、今もかも」
「……」
冗談を言っているようには見えなかった。
「だからさ、もし本当にツラいことがあったら何でも言えよ。助けになりたいから」
甘えても良いのだろうか。
それは私に好意を寄せている、と言う感情を利用することになる。
私も松川に同じ熱量を返せたら問題なかったんだろうけど、残念ながらそれはできない。
それでも、少しだけなら……。
「ほんのちょっぴりね、まだ立ち直れていないの」
私はぽつぽつと祖母との思い出を話した。
いつも一緒にいてくれたこと、大切にしてくれたこと、たくさん私に愛情を注いでくれたこと。
それなのに死に目にも会えなかった。
亡くなる2か月前から調子が悪いと言っていて、買い物が大好きな祖母が私からの誘いを断るようになった。
そのため2ヶ月の間ほとんど会えておらず後悔した。
「本当に大好きだったの」
「……」
松川は黙ったまま。
いや、黙ることしかできなかったのだろう。
こんな話。
「聞いてくれてありがとう。もしまた寂しいなって思うことがあったら、松川に連絡してもいい?」
涙は出ない。
だけど、軽く鼻をすすりながら松川に聞くと、彼は私に向き合って頷いた。
「いつでも連絡して」
頼もしい返事だ。
お店のガラス越しに、宮城の景色を見る。
私の気持ちなんて関係なく、嫌味なほど今日も良い天気だ。
待ち合わせ場所の駅前に行くと、既に松川がいた。
話しかける前に軽く深呼吸をして、無理やりテンションを上げる。
「やっほー松川。この間ぶり」
「おう」
この間と違いラフな格好の松川。
仕事じゃないんだから当たり前だけど。
「取り敢えず、そこら辺にあるカフェに入るか」
「そうだね」
私たちは目についた一番近いカフェに入った。
席に案内され、適当に飲み物の注文を済ませる。
温かいおしぼりで手を拭いていると、先に話題を振ってきたのは松川の方だった。
「落ち着いたか」
「あ、うん」
祖母のことだろう。
「無理するなよ」
「ありがとう」
トークアプリでのやり取りでは塞ぎ込んでいるなんて言っていないし、におわせることも言わなかったのに。
松川には何でもお見通しなんだな。
「それにしても、最後に会ったのは学生だったから松川もちゃんと働いているんだなって感心した」
「おかんかよ」
松川は冷静に突っ込んだ。
「ようやく年齢が顔に追い付いたね」
「◯◯も俺のこと老け顔だって思っていたのか」
「まあね」
暗い雰囲気になると悪いと思って、松川を茶化した。
学生時代、まともに話をしたことがなかった松川と、こうして雑談しているのが不思議な気持ちになった。
「こんなときに言うのもなんだけど、俺学生時代◯◯のこと好きだったんだ」
「え、あ、うん。ありがとう」
ビックリした、過去の話か。
もしかして、茶化した仕返しでもしようとしているのか。
そう思っていたら、
「それは、今もかも」
「……」
冗談を言っているようには見えなかった。
「だからさ、もし本当にツラいことがあったら何でも言えよ。助けになりたいから」
甘えても良いのだろうか。
それは私に好意を寄せている、と言う感情を利用することになる。
私も松川に同じ熱量を返せたら問題なかったんだろうけど、残念ながらそれはできない。
それでも、少しだけなら……。
「ほんのちょっぴりね、まだ立ち直れていないの」
私はぽつぽつと祖母との思い出を話した。
いつも一緒にいてくれたこと、大切にしてくれたこと、たくさん私に愛情を注いでくれたこと。
それなのに死に目にも会えなかった。
亡くなる2か月前から調子が悪いと言っていて、買い物が大好きな祖母が私からの誘いを断るようになった。
そのため2ヶ月の間ほとんど会えておらず後悔した。
「本当に大好きだったの」
「……」
松川は黙ったまま。
いや、黙ることしかできなかったのだろう。
こんな話。
「聞いてくれてありがとう。もしまた寂しいなって思うことがあったら、松川に連絡してもいい?」
涙は出ない。
だけど、軽く鼻をすすりながら松川に聞くと、彼は私に向き合って頷いた。
「いつでも連絡して」
頼もしい返事だ。
お店のガラス越しに、宮城の景色を見る。
私の気持ちなんて関係なく、嫌味なほど今日も良い天気だ。