熟年夫婦初心者
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ーーおまけ①(松川side)ーー
「全員揃ったな。今度の日曜、練習試合を入れた。相手は烏野だ」
体育館の中央、コーチの声が響く。
烏野……落ちた強豪だっけ。
なんで今さらあそこと。
確か、及川と岩泉の後輩がいるって話を聞いたことがある。
コーチの話を聞いていると、隣りにいたマッキーが俺の制服の袖をグイッと引っ張ってきた。
「なんだよ、マッキー」
小声でたしなめるが、マッキーは無言で顎をしゃくり、外の方を指差した。
その視線を追った瞬間、俺の心臓は嫌な音を立てて跳ねた。
……は?
そこには、◯◯と見覚えのあるバスケ部の男が立っていた。
何の話をしてる?
なんであんなに距離が近い?
遠目からでも、◯◯の肩が震えているのが分かった。
今にも泣き出しそうな、耐えるような横顔。
今すぐ、あそこに行かなきゃいけない。
本能がそう告げているのに、足が動かない。
ミーティングの真っ最中に、女1人のために抜ける勇気も、理由も、今の俺にはなかった。
クソッ……!
代わりに、俺はひたすら2人を睨みつけた。
コーチの言葉なんて一文字も耳に入ってこない。
自分の胸の中で、どす黒い感情が湧き出る。
これは嫉妬か?
それとも、あの男に、俺が疎かにし続けてきた◯◯の心が奪われることへの恐怖か?
散々◯◯のことを「空気」だの、「いてもいなくても良い存在」だの抜かしておいて。
◯◯あの男の手を取って、俺の知らない場所へ行ってしまう可能性を考えただけで、目の前が真っ白になる。
呼吸が苦しくなる。
……格好悪りぃ。
「別れる理由がないから付き合ってる」なんて、どの口が言ったんだ。
俺はただ、彼女の優しさに甘えきって、あぐらをかいて、彼女の寂しさに蓋をしていただけだ。
失うかもしれないと分かってから、ようやく気付くなんて。
情けなくて吐き気がする。
「……以上だ。解散!」
コーチの言葉が終わるか終わらないかのうちに、俺は駆け出していた。
「全員揃ったな。今度の日曜、練習試合を入れた。相手は烏野だ」
体育館の中央、コーチの声が響く。
烏野……落ちた強豪だっけ。
なんで今さらあそこと。
確か、及川と岩泉の後輩がいるって話を聞いたことがある。
コーチの話を聞いていると、隣りにいたマッキーが俺の制服の袖をグイッと引っ張ってきた。
「なんだよ、マッキー」
小声でたしなめるが、マッキーは無言で顎をしゃくり、外の方を指差した。
その視線を追った瞬間、俺の心臓は嫌な音を立てて跳ねた。
……は?
そこには、◯◯と見覚えのあるバスケ部の男が立っていた。
何の話をしてる?
なんであんなに距離が近い?
遠目からでも、◯◯の肩が震えているのが分かった。
今にも泣き出しそうな、耐えるような横顔。
今すぐ、あそこに行かなきゃいけない。
本能がそう告げているのに、足が動かない。
ミーティングの真っ最中に、女1人のために抜ける勇気も、理由も、今の俺にはなかった。
クソッ……!
代わりに、俺はひたすら2人を睨みつけた。
コーチの言葉なんて一文字も耳に入ってこない。
自分の胸の中で、どす黒い感情が湧き出る。
これは嫉妬か?
それとも、あの男に、俺が疎かにし続けてきた◯◯の心が奪われることへの恐怖か?
散々◯◯のことを「空気」だの、「いてもいなくても良い存在」だの抜かしておいて。
◯◯あの男の手を取って、俺の知らない場所へ行ってしまう可能性を考えただけで、目の前が真っ白になる。
呼吸が苦しくなる。
……格好悪りぃ。
「別れる理由がないから付き合ってる」なんて、どの口が言ったんだ。
俺はただ、彼女の優しさに甘えきって、あぐらをかいて、彼女の寂しさに蓋をしていただけだ。
失うかもしれないと分かってから、ようやく気付くなんて。
情けなくて吐き気がする。
「……以上だ。解散!」
コーチの言葉が終わるか終わらないかのうちに、俺は駆け出していた。
