熟年夫婦初心者
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手紙の彼が去った後も中々その場から動けず、立ち尽くしてしまった。
視界がボヤける。
地面にはポタポタと落ちた涙によって、ところどころ色が変わった。
改めて突きつけられた私と松川の関係。
他人に言われるとキツいな。
私はこんなにも松川のことが好きなのに。
ふいに取り出したスマホ。
松川とやり取りしたメッセージを開いた。
日に日に減っている。
それを見ないように画面をスライドさせて過去のやり取りまで遡った。
まだ初々しい頃のやり取り。
ふふふ、このときは楽しかったな。
あ、この画像懐かしい。
初めて松川の出たバレーの試合を見に行ったときのだ。
絶妙な間隔を開けて並んでいる私たち。
くっつきたくてもくっつけなかった頃。
今は?
松川はくっつかなくてもいいと思っているんだろうな。
戻れるならこの頃に戻りたい。
そして、ちゃんと最初から思いを伝えることができていたら、もう少しまともな関係を築けていたのだろうか。
いや、そうしたら面倒くさいって一蹴りされていたかもしれない。
松川に好いてもらうのって難しいや。
「はは……」
思わず苦笑いが溢れてしまった。
「なに、ポツンと立ってるの」
「え!?」
声のした方を向くと、体育館から松川が顔を覗かせていた。
そう言えばミーティングだって言っていたけど、まさか体育館でしているとは。
私は急いで袖で涙の跡を拭った。
「あーあー、そんなにゴシゴシしたら赤くなるよ」
何事もないように私の側に寄ってきて腕を掴んできた松川。
「……っ!」
「ほら赤くなってる」
「手、離して」
「離さない」
掴まれている腕に力が入るのが分かった。
「さっきの男に何言われたの?」
どこから見ていたのか、内容までは聞こえていなかったみたい。
「何も……」
「何もなわけないよね。そんな顔して」
もう一層のこと伝えた方が楽になるかな。
端から見た私たちの印象を伝えたら、松川も私と同じ気持ちになるのかな。
でも、松川のことだから、これを期に友達に戻るか、とか言いそう。
嫌だな。別れたくないな。
「……」
何も言えない私を見て諦めたのか、松川が先に口を開いた。
「俺はアイツに◯◯を取られると思った」
しかし、それは思ってもみなかった言葉。
取られる……?私が?
それは初めて聞いた松川の嫉妬。
「松川?」
「アイツのことが好きなのか?」
「そんなわけないよ!私が好きなのは松川だもん!」
拭き取った涙がまた溢れてしまった。
それを優しく指ですくい上げた松川。
「俺も……俺も◯◯のことが好き」
その瞳はとても優しく私を見つめていた。
熟年夫婦とか言われたりもしたけど、どうやら私は松川のことをまだまだ分かっていないようだ。
私たちは熟年夫婦初心者です。
ーーFinーー
視界がボヤける。
地面にはポタポタと落ちた涙によって、ところどころ色が変わった。
改めて突きつけられた私と松川の関係。
他人に言われるとキツいな。
私はこんなにも松川のことが好きなのに。
ふいに取り出したスマホ。
松川とやり取りしたメッセージを開いた。
日に日に減っている。
それを見ないように画面をスライドさせて過去のやり取りまで遡った。
まだ初々しい頃のやり取り。
ふふふ、このときは楽しかったな。
あ、この画像懐かしい。
初めて松川の出たバレーの試合を見に行ったときのだ。
絶妙な間隔を開けて並んでいる私たち。
くっつきたくてもくっつけなかった頃。
今は?
松川はくっつかなくてもいいと思っているんだろうな。
戻れるならこの頃に戻りたい。
そして、ちゃんと最初から思いを伝えることができていたら、もう少しまともな関係を築けていたのだろうか。
いや、そうしたら面倒くさいって一蹴りされていたかもしれない。
松川に好いてもらうのって難しいや。
「はは……」
思わず苦笑いが溢れてしまった。
「なに、ポツンと立ってるの」
「え!?」
声のした方を向くと、体育館から松川が顔を覗かせていた。
そう言えばミーティングだって言っていたけど、まさか体育館でしているとは。
私は急いで袖で涙の跡を拭った。
「あーあー、そんなにゴシゴシしたら赤くなるよ」
何事もないように私の側に寄ってきて腕を掴んできた松川。
「……っ!」
「ほら赤くなってる」
「手、離して」
「離さない」
掴まれている腕に力が入るのが分かった。
「さっきの男に何言われたの?」
どこから見ていたのか、内容までは聞こえていなかったみたい。
「何も……」
「何もなわけないよね。そんな顔して」
もう一層のこと伝えた方が楽になるかな。
端から見た私たちの印象を伝えたら、松川も私と同じ気持ちになるのかな。
でも、松川のことだから、これを期に友達に戻るか、とか言いそう。
嫌だな。別れたくないな。
「……」
何も言えない私を見て諦めたのか、松川が先に口を開いた。
「俺はアイツに◯◯を取られると思った」
しかし、それは思ってもみなかった言葉。
取られる……?私が?
それは初めて聞いた松川の嫉妬。
「松川?」
「アイツのことが好きなのか?」
「そんなわけないよ!私が好きなのは松川だもん!」
拭き取った涙がまた溢れてしまった。
それを優しく指ですくい上げた松川。
「俺も……俺も◯◯のことが好き」
その瞳はとても優しく私を見つめていた。
熟年夫婦とか言われたりもしたけど、どうやら私は松川のことをまだまだ分かっていないようだ。
私たちは熟年夫婦初心者です。
ーーFinーー