巡り合わせ
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休み明け。
仕事が終わり職場を出ると、見慣れない車が1台停まっていた。
うちの会社の誰かを待っているのだろうか。
そう思っていたら、車のサイドガラスがゆっくりと下りた。
そして中からは知った男の人がひょっこり顔を出す。
「よう、お疲れ」
「松川……なんで?」
「この間飲んだ時に職場教えてくれたじゃん。俺も今日たまたまこの辺りまで来てたから」
「……」
記憶を思い返せば、確かに話していた気がしなくもない。
松川だから知られてマズイこともないけど、今度からお酒を飲んでも個人情報やたらむやみに言わないようにしないと。
そんなことを考えていたのに、松川は明後日の心配をしていた。
「あ、もしかして◯◯も車通勤だった?」
「違うけど……」
「なら良かった。送っていくから乗りなよ」
せっかくだしお願いしようかな。
助手席のドアを開けて車に乗り込む。
中は余計な物がないすっきりとした車内だった。
強いて言うならバックミラーに小さなバレーボールを象ったキーホルダーがぶら下がっている。
「お願いします……」
「おう」
「ところで、松川って車運転できたんだね」
「まあー、仕事柄?」
ああ、そうか。
霊柩車を運転しないといけないもんね。
「ただ送ってくのもつまらないし、どっかドライブするか」
「いいけど、明日も仕事あるから……」
「分かってるって。そんなに遠くまでは行かねぇよ」
そう言いながら松川は車を発進させた。
彼の運転は意外にも安定している。
「松川って、運転上手だよね」
「そうか?普通じゃね?」
「私すぐ車酔いするけど、今日は大丈夫だから」
「あー、それは大変だな」
松川の方を見ると、こちらを見ながら小さく笑った。
顔が良すぎて思わず視線を逸らす。
窓の外を見ると、車は見知らぬ道を走っていた。
来たこともない道。
ほどなくして車が停まった。
「着いたぞ」
外に出ると、潮風のにおいが鼻をかすめた。
「海……」
「ベタだったか?」
「若干」
「まあ、実際は夜の海なんて真っ暗で何も見えやしないけどな」
松川の言う通り、目の前には空と海の境界線が曖昧な真っ暗闇と、心地良い波の音が聞こえるだけ。
……。
…………。
もう少しだけ海を見ていたいけれど、さすがにそろそろ帰らないと明日の仕事に響く。
「さて、と……」
背伸びをする松川。
彼も同じ気持ちなのかと思いきや、
「この間言ったオススメのラーメン屋、このまま寄れるけど」
この時間からラーメン……。
夜ご飯を食べずに連れ回されたからお腹は空いているけど、
「さすがに太るからまた今度」
「じゃあ昼間に誘うわ」
ただの口約束だけど、また誘ってくれることが嬉しかった。
そして、その約束は意外にもすぐに果たされた。
仕事が終わり職場を出ると、見慣れない車が1台停まっていた。
うちの会社の誰かを待っているのだろうか。
そう思っていたら、車のサイドガラスがゆっくりと下りた。
そして中からは知った男の人がひょっこり顔を出す。
「よう、お疲れ」
「松川……なんで?」
「この間飲んだ時に職場教えてくれたじゃん。俺も今日たまたまこの辺りまで来てたから」
「……」
記憶を思い返せば、確かに話していた気がしなくもない。
松川だから知られてマズイこともないけど、今度からお酒を飲んでも個人情報やたらむやみに言わないようにしないと。
そんなことを考えていたのに、松川は明後日の心配をしていた。
「あ、もしかして◯◯も車通勤だった?」
「違うけど……」
「なら良かった。送っていくから乗りなよ」
せっかくだしお願いしようかな。
助手席のドアを開けて車に乗り込む。
中は余計な物がないすっきりとした車内だった。
強いて言うならバックミラーに小さなバレーボールを象ったキーホルダーがぶら下がっている。
「お願いします……」
「おう」
「ところで、松川って車運転できたんだね」
「まあー、仕事柄?」
ああ、そうか。
霊柩車を運転しないといけないもんね。
「ただ送ってくのもつまらないし、どっかドライブするか」
「いいけど、明日も仕事あるから……」
「分かってるって。そんなに遠くまでは行かねぇよ」
そう言いながら松川は車を発進させた。
彼の運転は意外にも安定している。
「松川って、運転上手だよね」
「そうか?普通じゃね?」
「私すぐ車酔いするけど、今日は大丈夫だから」
「あー、それは大変だな」
松川の方を見ると、こちらを見ながら小さく笑った。
顔が良すぎて思わず視線を逸らす。
窓の外を見ると、車は見知らぬ道を走っていた。
来たこともない道。
ほどなくして車が停まった。
「着いたぞ」
外に出ると、潮風のにおいが鼻をかすめた。
「海……」
「ベタだったか?」
「若干」
「まあ、実際は夜の海なんて真っ暗で何も見えやしないけどな」
松川の言う通り、目の前には空と海の境界線が曖昧な真っ暗闇と、心地良い波の音が聞こえるだけ。
……。
…………。
もう少しだけ海を見ていたいけれど、さすがにそろそろ帰らないと明日の仕事に響く。
「さて、と……」
背伸びをする松川。
彼も同じ気持ちなのかと思いきや、
「この間言ったオススメのラーメン屋、このまま寄れるけど」
この時間からラーメン……。
夜ご飯を食べずに連れ回されたからお腹は空いているけど、
「さすがに太るからまた今度」
「じゃあ昼間に誘うわ」
ただの口約束だけど、また誘ってくれることが嬉しかった。
そして、その約束は意外にもすぐに果たされた。