やっと会えた
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あれから公園に行くたびに一緒に雨宿りをした男の子を探すようになった。
もちろん手紙の彼、人使君も探した。
だけど、彼は現れなかった。
引っ越しをしたのか、はたまた忙しいのか。
分からないまま時間は無情に過ぎ去り、私は中学へと進学した。
勉強や部活に追われる日々の中、必然と公園には寄らなくなった。
母に嘘の言い訳をしなくて済むという安堵。
だけど、それ以上に、彼らとの唯一の接点が消えてしまった喪失感が、私の心にぽっかりと穴を開けていた。
……。
…………。
月日は流れ、中学を卒業する頃。
かつて暴走していた私の個性は、成長と共に制御できるようになっていた。
もう、無差別に不運を撒き散らすことはない。
不運を操れるようになった私は、ようやく友達ができた。
けれど、賑やかな笑い声の中にいても、心の奥底にはあの雨の日の記憶や、手紙の彼への消えない関心が、ずっと静かに残り続けていた。
そして迎えた、春。
私は、難関である雄英高校の普通科へと入学した。
1年C組。
今日から始まる新しい生活に胸を高鳴らせ、指定された席に座る。
緊張のあまり、周りのクラスメイトたちの顔をまともに確認できたのは、ホームルームが始まり、自己紹介の時間が回ってきた時だった。
「聡明中出身の──です。個性は──」
なぜか、出身中学も併せて発表する流れができていた。
さすがは国立の雄英、他県からも多くの才能が集まっている。
そんな中、聞き覚えのある地元の中学校名が耳に飛び込んできた。
私は、咄嗟にその声の主を見た。
「名部中出身、心操人使です。個性は洗脳」
心操……人使……?
その名が呼ばれた瞬間、世界から音が消えた。
重力に逆らうような紫の癖っ毛。
深い隈の刻まれた目元。
そして、周囲が少しだけ身構えるような、『洗脳』という異質な個性。
……見覚えがあるなんてレベルじゃない。
あの雨の日、冷たい土管の中で一緒に雨宿りをした彼。
そして、数年前にゴミ箱で拾った手紙の主。
ずっと会いたいと願っていた人そのものだった。
見つけた。
やっと会えた。
彼は私のことを覚えているだろうか。
いや、そんなことはどちらでもいい。
覚えていなくても、私だけが覚えていればそれでいい。
この数年間の空白なんて、これから埋めていけばいいのだから。
自由時間を告げるチャイムが待ち遠しい。
私は、彼の背中を見つめながら、これから伝える言葉を何度も心の中で練習した。
“お友達になってください”
今度は、雨も、不運も、もう私たちを邪魔したりしない。
ーーFinーー
もちろん手紙の彼、人使君も探した。
だけど、彼は現れなかった。
引っ越しをしたのか、はたまた忙しいのか。
分からないまま時間は無情に過ぎ去り、私は中学へと進学した。
勉強や部活に追われる日々の中、必然と公園には寄らなくなった。
母に嘘の言い訳をしなくて済むという安堵。
だけど、それ以上に、彼らとの唯一の接点が消えてしまった喪失感が、私の心にぽっかりと穴を開けていた。
……。
…………。
月日は流れ、中学を卒業する頃。
かつて暴走していた私の個性は、成長と共に制御できるようになっていた。
もう、無差別に不運を撒き散らすことはない。
不運を操れるようになった私は、ようやく友達ができた。
けれど、賑やかな笑い声の中にいても、心の奥底にはあの雨の日の記憶や、手紙の彼への消えない関心が、ずっと静かに残り続けていた。
そして迎えた、春。
私は、難関である雄英高校の普通科へと入学した。
1年C組。
今日から始まる新しい生活に胸を高鳴らせ、指定された席に座る。
緊張のあまり、周りのクラスメイトたちの顔をまともに確認できたのは、ホームルームが始まり、自己紹介の時間が回ってきた時だった。
「聡明中出身の──です。個性は──」
なぜか、出身中学も併せて発表する流れができていた。
さすがは国立の雄英、他県からも多くの才能が集まっている。
そんな中、聞き覚えのある地元の中学校名が耳に飛び込んできた。
私は、咄嗟にその声の主を見た。
「名部中出身、心操人使です。個性は洗脳」
心操……人使……?
その名が呼ばれた瞬間、世界から音が消えた。
重力に逆らうような紫の癖っ毛。
深い隈の刻まれた目元。
そして、周囲が少しだけ身構えるような、『洗脳』という異質な個性。
……見覚えがあるなんてレベルじゃない。
あの雨の日、冷たい土管の中で一緒に雨宿りをした彼。
そして、数年前にゴミ箱で拾った手紙の主。
ずっと会いたいと願っていた人そのものだった。
見つけた。
やっと会えた。
彼は私のことを覚えているだろうか。
いや、そんなことはどちらでもいい。
覚えていなくても、私だけが覚えていればそれでいい。
この数年間の空白なんて、これから埋めていけばいいのだから。
自由時間を告げるチャイムが待ち遠しい。
私は、彼の背中を見つめながら、これから伝える言葉を何度も心の中で練習した。
“お友達になってください”
今度は、雨も、不運も、もう私たちを邪魔したりしない。
ーーFinーー
