やっと会えた
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「行ってきます!」
「あっ、●●待ちなさい!」
いつものようにランドセルを家に置いてから公園に向かった。
直前に母が何か言おうとしていたけれど、どうせ宿題のことだろう。
公園に着くと、あまり遊んでいる子はいなかった。
「なんでだろう……?」
不思議に思いながら、1人で壁にボールをぶつけ始めて数分。
頬に、冷たい感触が走った。
地面の乾いた砂に、斑点が広がっていく。
「あ……雨?」
もしかして、母が言いかけていたのはこのことだったのかもしれない。
ちゃんと話を聞いておけばよかった。
雨脚は瞬く間に強まり、ザーザーという激しい音を立てる。
私は慌てて、公園の隅にある遊具の土管の中へと避難した。
「ふぅ……っ……」
肩をすぼめて中へ入ると、そこには先客がいた。
私と同じくらいの年頃の男の子。
紫色を帯びた癖っ毛が、湿気で少し跳ねている。
そして何より印象的なのは、その目元にある、深い隈のような影だった。
私は一瞬戸惑い、彼から少し距離を置いて、反対側の壁にぺたんと腰を下ろした。
「……」
「……」
土管の外を叩く雨音だけが、やけに大きく響く。
何か話すべきだろうか。
でも、私と話せば、彼に不運が降りかかる。
けれど、この状況でこれ以上不運なことなんて起こらないだろう。
これ以上、何を恐れる必要があるんだろう。
沈黙に耐えかねてソワソワしていると、先に口を開いたのは彼の方だった。
「雨、止まないね」
「う、うん……」
不意を突かれて、変な声が出た。
「寒くない?」
「だ、大丈夫……」
「ねえ、隣に行ってもいい?」
「い、いいよ……」
心臓が跳ねる。
久しぶりに年の近い子と、しかも男の子と話している。
普通に喋りたいのに、緊張で情けないほど吃ってしまう。
嫌気がさして俯く私の視界に、彼がゆっくりと膝をついて近付いてくるのが見えた。
彼はちょうど1人分くらいの絶妙なスペースを空けて、私の隣に座った。
「迎えは来るの?」
「た、多分……」
「そっか」
土管のひんやりとした空気の中に、彼の体温が微かに混じる。
私も、何か聞きたい。
アナタもお迎えくるの?
他の友達はいないの?
名前は何て言うの?
聞きたいことは山ほどあるのに、喉がキュッと締まって言葉が出てこない。
そんなもどかしい時間の中、傘を差した人が公園へと入ってきた。
キョロキョロ見渡して、誰かを探している様子。
「お母さんだ!」
私は思わず腰を浮かせた。
「迎え、来てよかったね」
「うん!……あ……」
色々聞きたいことがあったのに、このままでは何も聞けずにお別れになってしまう。
私は膝の上で拳をギュッと握りしめ、勇気を振り絞って叫ぶように言った。
「お話できて嬉しかった!また会おうね!」
彼は少し驚いたような間を置いてから、ふわりと笑った。
「うん。またね」
その笑顔を見た瞬間、心臓がトクンと跳ねた。
耳の裏が熱い。
急に恥ずかしさが限界に達して、私は答えを聞くのも待たずに土管から飛び出した。
「お母さーん!」
「●●!」
思いっきり抱きつくと、母の服は少し濡れていた。
「雨降るって言う前に家を飛び出すんだもの」
「ごめんなさーい!」
叱られながらも、私はこっそりと後ろを振り返った。
公園のもう1つの入り口から、別の傘が近付いてくるのが見える。
きっと、あの男の子の母親だ。
お迎え、来てよかったね……。
私は彼に心の中でそう告げて、前を向いた。
「お母さん!あのね、今日、新しいお友達ができたんだよ!」
「あら。それは良かったわね」
私は母の温かい手をギュッと握りしめて帰路についた。
「あっ、●●待ちなさい!」
いつものようにランドセルを家に置いてから公園に向かった。
直前に母が何か言おうとしていたけれど、どうせ宿題のことだろう。
公園に着くと、あまり遊んでいる子はいなかった。
「なんでだろう……?」
不思議に思いながら、1人で壁にボールをぶつけ始めて数分。
頬に、冷たい感触が走った。
地面の乾いた砂に、斑点が広がっていく。
「あ……雨?」
もしかして、母が言いかけていたのはこのことだったのかもしれない。
ちゃんと話を聞いておけばよかった。
雨脚は瞬く間に強まり、ザーザーという激しい音を立てる。
私は慌てて、公園の隅にある遊具の土管の中へと避難した。
「ふぅ……っ……」
肩をすぼめて中へ入ると、そこには先客がいた。
私と同じくらいの年頃の男の子。
紫色を帯びた癖っ毛が、湿気で少し跳ねている。
そして何より印象的なのは、その目元にある、深い隈のような影だった。
私は一瞬戸惑い、彼から少し距離を置いて、反対側の壁にぺたんと腰を下ろした。
「……」
「……」
土管の外を叩く雨音だけが、やけに大きく響く。
何か話すべきだろうか。
でも、私と話せば、彼に不運が降りかかる。
けれど、この状況でこれ以上不運なことなんて起こらないだろう。
これ以上、何を恐れる必要があるんだろう。
沈黙に耐えかねてソワソワしていると、先に口を開いたのは彼の方だった。
「雨、止まないね」
「う、うん……」
不意を突かれて、変な声が出た。
「寒くない?」
「だ、大丈夫……」
「ねえ、隣に行ってもいい?」
「い、いいよ……」
心臓が跳ねる。
久しぶりに年の近い子と、しかも男の子と話している。
普通に喋りたいのに、緊張で情けないほど吃ってしまう。
嫌気がさして俯く私の視界に、彼がゆっくりと膝をついて近付いてくるのが見えた。
彼はちょうど1人分くらいの絶妙なスペースを空けて、私の隣に座った。
「迎えは来るの?」
「た、多分……」
「そっか」
土管のひんやりとした空気の中に、彼の体温が微かに混じる。
私も、何か聞きたい。
アナタもお迎えくるの?
他の友達はいないの?
名前は何て言うの?
聞きたいことは山ほどあるのに、喉がキュッと締まって言葉が出てこない。
そんなもどかしい時間の中、傘を差した人が公園へと入ってきた。
キョロキョロ見渡して、誰かを探している様子。
「お母さんだ!」
私は思わず腰を浮かせた。
「迎え、来てよかったね」
「うん!……あ……」
色々聞きたいことがあったのに、このままでは何も聞けずにお別れになってしまう。
私は膝の上で拳をギュッと握りしめ、勇気を振り絞って叫ぶように言った。
「お話できて嬉しかった!また会おうね!」
彼は少し驚いたような間を置いてから、ふわりと笑った。
「うん。またね」
その笑顔を見た瞬間、心臓がトクンと跳ねた。
耳の裏が熱い。
急に恥ずかしさが限界に達して、私は答えを聞くのも待たずに土管から飛び出した。
「お母さーん!」
「●●!」
思いっきり抱きつくと、母の服は少し濡れていた。
「雨降るって言う前に家を飛び出すんだもの」
「ごめんなさーい!」
叱られながらも、私はこっそりと後ろを振り返った。
公園のもう1つの入り口から、別の傘が近付いてくるのが見える。
きっと、あの男の子の母親だ。
お迎え、来てよかったね……。
私は彼に心の中でそう告げて、前を向いた。
「お母さん!あのね、今日、新しいお友達ができたんだよ!」
「あら。それは良かったわね」
私は母の温かい手をギュッと握りしめて帰路についた。
