見つめ合い
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心操君に合わせる顔がない。
ダメでも……自信がつくまで付き合ってくれるって言ってくれたけれど、やっぱり良い結果を伝えたかった。
だけど、私がうじうじしていても、約束のお昼時間はやって来るわけで、軽快な足音が私のクラスへと近付いてくるのが分かった。
勢いよく教室の扉が開かれる。
「◯◯、どうだった?!」
「……」
そんな期待したような眼差しで見てこないでよ。
私は今までの練習がリセットされたかのように、また心操君の目が見られなくなった。
「◯◯?」
「……」
「◯◯ー!」
「うるさいなー!」
そんなに名前を呼ばないでよ、聞こえているから。
「◯◯が返事しないからだろ。で、どうだったんだ?」
「……ダメだった」
机の上に組まれた自分の指を見つめながら答えた。
「……」
心操君は今どんな顔をしているの?
見ることができないや。
その代わりにツラツラと言い訳を並べた。
「全然ダメだった。ごめんね、あんなに練習に付き合ってもらったのに……。私ってやっぱり洗脳なしじゃ、目を見て話せないのかも……」
現に借りてきた猫のように相澤先生には会話できなかったのに、目を合わせないだけでこんなにも言葉が出てくる。
ははは、と愛想笑いをしていると、
「俺、◯◯に謝らないといけないことがある」
「え?」
心操君から意外なことを言われた。
「ここだと言えないから、ちょっと付いてきて」
「うん……」
教室には数人の生徒しか残っていなかったのに、それでも聞かれたくないことなのか。
私は心操君に連れられて空き教室へと入った。
「ここならいいかな……」
「それで、謝らないといけないことって何?」
「実は途中から洗脳していなかった」
「えっ……いつ」
「6回目のとき……。◯◯が相澤先生のところへ行くって覚悟を決めた日」
そう言えば、そのくらいの回数のときに違和感を覚えたことがある。
やけに、頭がクリアと言うかモヤがかかっていないと言うか。
やっぱりあれは私が洗脳に慣れたのではなく、本当に洗脳していなかったのか。
と、なると私は洗脳なしで目を見て会話できたことになる。
それなら尚更なんで相澤先生とは出来なかったのか。
頭にはてなを浮かべているのを察したのか、心操君は続けて話し始めた。
「俺の自惚れじゃなければだけど、◯◯は俺にだけ目を見て話せるようになったんだと思う」
「そっか……そっかそっか」
腑に落ちた。
授業中、男性の先生と目が合った時に逸らしてしまったことがある。
最初はたまたまだと思っていたけれど、次はクラスメイトに呼ばれた時も目を合わせられなかった。
それなのに毎回心操君とは目を合わせられる。
「根本的なところは治っていなくて◯◯にとっては残念な結果だと思うけど、正直俺は嬉しかった」
嬉しかったの?
それこそ私の自惚れじゃない?
「俺だけ特別なんだって思えたから」
「心操君……」
「自信がつくまで何度も練習に付き合うって言ったけど……ワガママかもしれないけれど、やっぱり◯◯にはそのままでいて欲しい。俺だけ特別に思って欲しい」
「ちょっ、ちょっと待って……!」
腑に落ちたとは言え、怒涛に思いの丈をぶつけられて混乱している。
そもそも洗脳していなかった時に私は心操君となんて会話した?
確か、練習が終わると寂しくなるって。
それから好きとも言ったよね?
自分の意志で、はっきりと。
そんなの、告白しているようなものじゃない。
それなのに心操君は澄まし顔で対応していたの?
私は今こんなにもテンパっているのに。
なんだか段々腹が立ってきた。
「心操君、私の思いに気が付いていたんだよね?なんで今そんなことを言うの?」
「◯◯が克服しようと頑張っていたから、あのときは何も言えなかった」
確かに、あのとき直ぐに洗脳していなかった、とネタばらしされていたら、きっと相澤先生のところへ行くどころではなくなっていた。
「だけど、もういいかなって。◯◯が本当に克服して誰かと目を見て仲良く会話しているのを想像したくないから……。俺だけを見て欲しい」
克服できなかったら、私はヒーロー科編入の道が狭まる。
そんな私でもいいの?
練習でも、洗脳でもなく、普通の私でも。
「そんなの……そんなの私だってこれからも心操君とだけ顔を合わせて、目を見て会話したいよ!
「本当か?◯◯、好きだ!」
「わ、私も好き……心操君のことが好き!」
好き……だけども、目を見ては言えなかった。
だって、心操君の目を見て話せるようになったとは言え、告白は別物だから。
だけど、それを心操君は許さない。
「それなら、ちゃんと俺の顔を見て言って」
「今だけは勘弁して!顔真っ赤だから!」
「それでもいい!」
「私が駄目!」
結局私は心操君の押しに負けて、この後目を見て好きと言わされたのだった。
ーーFinーー
ダメでも……自信がつくまで付き合ってくれるって言ってくれたけれど、やっぱり良い結果を伝えたかった。
だけど、私がうじうじしていても、約束のお昼時間はやって来るわけで、軽快な足音が私のクラスへと近付いてくるのが分かった。
勢いよく教室の扉が開かれる。
「◯◯、どうだった?!」
「……」
そんな期待したような眼差しで見てこないでよ。
私は今までの練習がリセットされたかのように、また心操君の目が見られなくなった。
「◯◯?」
「……」
「◯◯ー!」
「うるさいなー!」
そんなに名前を呼ばないでよ、聞こえているから。
「◯◯が返事しないからだろ。で、どうだったんだ?」
「……ダメだった」
机の上に組まれた自分の指を見つめながら答えた。
「……」
心操君は今どんな顔をしているの?
見ることができないや。
その代わりにツラツラと言い訳を並べた。
「全然ダメだった。ごめんね、あんなに練習に付き合ってもらったのに……。私ってやっぱり洗脳なしじゃ、目を見て話せないのかも……」
現に借りてきた猫のように相澤先生には会話できなかったのに、目を合わせないだけでこんなにも言葉が出てくる。
ははは、と愛想笑いをしていると、
「俺、◯◯に謝らないといけないことがある」
「え?」
心操君から意外なことを言われた。
「ここだと言えないから、ちょっと付いてきて」
「うん……」
教室には数人の生徒しか残っていなかったのに、それでも聞かれたくないことなのか。
私は心操君に連れられて空き教室へと入った。
「ここならいいかな……」
「それで、謝らないといけないことって何?」
「実は途中から洗脳していなかった」
「えっ……いつ」
「6回目のとき……。◯◯が相澤先生のところへ行くって覚悟を決めた日」
そう言えば、そのくらいの回数のときに違和感を覚えたことがある。
やけに、頭がクリアと言うかモヤがかかっていないと言うか。
やっぱりあれは私が洗脳に慣れたのではなく、本当に洗脳していなかったのか。
と、なると私は洗脳なしで目を見て会話できたことになる。
それなら尚更なんで相澤先生とは出来なかったのか。
頭にはてなを浮かべているのを察したのか、心操君は続けて話し始めた。
「俺の自惚れじゃなければだけど、◯◯は俺にだけ目を見て話せるようになったんだと思う」
「そっか……そっかそっか」
腑に落ちた。
授業中、男性の先生と目が合った時に逸らしてしまったことがある。
最初はたまたまだと思っていたけれど、次はクラスメイトに呼ばれた時も目を合わせられなかった。
それなのに毎回心操君とは目を合わせられる。
「根本的なところは治っていなくて◯◯にとっては残念な結果だと思うけど、正直俺は嬉しかった」
嬉しかったの?
それこそ私の自惚れじゃない?
「俺だけ特別なんだって思えたから」
「心操君……」
「自信がつくまで何度も練習に付き合うって言ったけど……ワガママかもしれないけれど、やっぱり◯◯にはそのままでいて欲しい。俺だけ特別に思って欲しい」
「ちょっ、ちょっと待って……!」
腑に落ちたとは言え、怒涛に思いの丈をぶつけられて混乱している。
そもそも洗脳していなかった時に私は心操君となんて会話した?
確か、練習が終わると寂しくなるって。
それから好きとも言ったよね?
自分の意志で、はっきりと。
そんなの、告白しているようなものじゃない。
それなのに心操君は澄まし顔で対応していたの?
私は今こんなにもテンパっているのに。
なんだか段々腹が立ってきた。
「心操君、私の思いに気が付いていたんだよね?なんで今そんなことを言うの?」
「◯◯が克服しようと頑張っていたから、あのときは何も言えなかった」
確かに、あのとき直ぐに洗脳していなかった、とネタばらしされていたら、きっと相澤先生のところへ行くどころではなくなっていた。
「だけど、もういいかなって。◯◯が本当に克服して誰かと目を見て仲良く会話しているのを想像したくないから……。俺だけを見て欲しい」
克服できなかったら、私はヒーロー科編入の道が狭まる。
そんな私でもいいの?
練習でも、洗脳でもなく、普通の私でも。
「そんなの……そんなの私だってこれからも心操君とだけ顔を合わせて、目を見て会話したいよ!
「本当か?◯◯、好きだ!」
「わ、私も好き……心操君のことが好き!」
好き……だけども、目を見ては言えなかった。
だって、心操君の目を見て話せるようになったとは言え、告白は別物だから。
だけど、それを心操君は許さない。
「それなら、ちゃんと俺の顔を見て言って」
「今だけは勘弁して!顔真っ赤だから!」
「それでもいい!」
「私が駄目!」
結局私は心操君の押しに負けて、この後目を見て好きと言わされたのだった。
ーーFinーー