可愛い人
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~可愛い人~
「今日から週刊少年漫画誌に配属しました◯◯●●です。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
昨晩練習をした挨拶をし、深くお辞儀をした。
噛まずに言えて良かった。
経済学部を卒業し、春から大手の出版社に勤務。
本当は経済や学習参考書などを扱う専門分野希望だったのに、何故か週刊少年漫画誌配属。
漫画は嫌いじゃないけど、思った部署に就けず新年度早々歯がゆい思いをした。
「◯◯は……赤葦、指導頼んだ」
「はい」
部長の呼び掛けによって指名された赤葦さんと言う方が一歩前に出た。
「よ、よろしくお願いします!」
「赤葦です。今日からよろしく」
メガネをかけた長身男性。
人を見かけで判断してはいけないが、パッと見インテリそうなのに、この人も漫画誌に携わっているのが少し意外だった。
赤葦さんは大ヒット漫画のメテオアタックの担当編集をしているらしい。
早速今日は赤葦さんに付いて宇内先生の原稿を取りに行く。
「◯◯さん、行くよ」
「はい!」
データで送ればいいのでは?とずっと思っていたが、どうやら先生の叱咤を兼ねているらしく、直接現場へ向かう。
「宇内先生ってどんな方ですか?」
「メンタルの浮き沈みが激しい人、かな」
大変そうな人だと思ったが、赤葦さんは続けてこう言った。
「だけど、そう言う人を支えてコントロールするのが、俺の性に合っているのかもしれない」
と、なんだか誇らしげな表情をしていた。
初めて挨拶をしたときからずっと澄まし顔をしていた人だったが、こんな顔もする人なのか。
ちょっとだけ意外。
私も自分の担当作家を持つようになったら、こんなふうになるのだろうか。
出社1日目ではそんな未来など想像できなかった。
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