いくつあってもいい
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帰りのホームルームは終わったけれど、本と栞はまだ私の鞄の中。
私の勇気が出なかったばっかりに。
教室からゾロゾロと生徒たちが出ていく。
もし、赤葦君が最後に1人残ったら渡そう。
そんな確率の低い決心をして彼を見つめる。
すると、本当に教室に残ったのは赤葦君だけだった。
どうやら、休み時間に貰ったプレゼントを仕舞うのに手こずっていたみたい。
深呼吸をひとつ。
胸の奥が震えるのを感じながら、そっとプレゼントを持って赤葦君の机に近付いた。
「あ、赤葦君!」
「なに、◯◯さん」
「あのね、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
赤葦君は落ち着いた声でそう返す。
その表情はいつものポーカーフェイスで、何を考えているのか全く分からない。
いざ渡すとなると緊張で心臓がバクバクする。
でも、今日を逃したらまた来年だ。
私は意を決して、背中に隠しているプレゼントを差し出そうとした。
その時だった。
赤葦君の机の上に、見覚えのある1冊の本が置いてあるのが目に留まった。
茶色い表紙に、特徴的なタイトル。
それは、私が今まさにプレゼントしようとしている本と全く同じものだった。
え……嘘……。
慌ててプレゼントを後ろに隠し直す。
同じ本を渡すなんて、あまりにも恥ずかしい。
かといって、一緒に贈ろうと思っていた栞だけを渡すのも、なんだか味気ない気がして躊躇してしまった。
どうしよう……。
焦って赤葦君の顔を見ると、彼は不思議そうに首を傾げた。
「そのプレゼント、俺に?」
どうやら、背中に隠しきれず、見られてしまったようだ。
私は観念して、隠していたプレゼントを再び差し出した。
「そのつもりだったんだけど……」
赤葦君はそれを受け取ると、ゆっくりとラッピングを剥がしていく。
中から現れたのは、私が選んだ本とフクロウの栞。
赤葦君は一瞬、手に持った本と机の上の本を見比べる。
このどうしようとなくいたたまれない時間に、つい目を逸らしてしまった。
「ご、ごめんね!私のオススメの本をプレゼントしたかったんだけど、もう持ってる本だなんて知らなくて……。リサーチ不足でした」
前髪を弄りながら、赤葦君の顔を見ないように視線を泳がせる。
自分の観察力のなさに、穴があったら入りたい気分だった。
「だから、改めて別の物を……」
そう言いかけた私の言葉を遮って、赤葦君が口を開いた。
「好きなものは、いくらあってもいいよ」
その言葉に、思わず顔を上げる。
赤葦君は先ほどとは違う、ほんの少しだけ柔らかな表情で、私の目を見て言った。
「それが好きな人からなら、なおさら」
「す、好きな人って……?!」
驚きのあまり、赤葦君から一歩後ずさる。
心臓がうるさくて、呼吸もままならない。
「◯◯さんのことだよ」
赤葦君はそう言って、少しだけはにかむように微笑んだ。
そんな顔をされたら、益々好きになってしまう。
私は顔を真っ赤にして、その場に立ち尽くすことしかできなかった。
ーーFinーー
私の勇気が出なかったばっかりに。
教室からゾロゾロと生徒たちが出ていく。
もし、赤葦君が最後に1人残ったら渡そう。
そんな確率の低い決心をして彼を見つめる。
すると、本当に教室に残ったのは赤葦君だけだった。
どうやら、休み時間に貰ったプレゼントを仕舞うのに手こずっていたみたい。
深呼吸をひとつ。
胸の奥が震えるのを感じながら、そっとプレゼントを持って赤葦君の机に近付いた。
「あ、赤葦君!」
「なに、◯◯さん」
「あのね、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
赤葦君は落ち着いた声でそう返す。
その表情はいつものポーカーフェイスで、何を考えているのか全く分からない。
いざ渡すとなると緊張で心臓がバクバクする。
でも、今日を逃したらまた来年だ。
私は意を決して、背中に隠しているプレゼントを差し出そうとした。
その時だった。
赤葦君の机の上に、見覚えのある1冊の本が置いてあるのが目に留まった。
茶色い表紙に、特徴的なタイトル。
それは、私が今まさにプレゼントしようとしている本と全く同じものだった。
え……嘘……。
慌ててプレゼントを後ろに隠し直す。
同じ本を渡すなんて、あまりにも恥ずかしい。
かといって、一緒に贈ろうと思っていた栞だけを渡すのも、なんだか味気ない気がして躊躇してしまった。
どうしよう……。
焦って赤葦君の顔を見ると、彼は不思議そうに首を傾げた。
「そのプレゼント、俺に?」
どうやら、背中に隠しきれず、見られてしまったようだ。
私は観念して、隠していたプレゼントを再び差し出した。
「そのつもりだったんだけど……」
赤葦君はそれを受け取ると、ゆっくりとラッピングを剥がしていく。
中から現れたのは、私が選んだ本とフクロウの栞。
赤葦君は一瞬、手に持った本と机の上の本を見比べる。
このどうしようとなくいたたまれない時間に、つい目を逸らしてしまった。
「ご、ごめんね!私のオススメの本をプレゼントしたかったんだけど、もう持ってる本だなんて知らなくて……。リサーチ不足でした」
前髪を弄りながら、赤葦君の顔を見ないように視線を泳がせる。
自分の観察力のなさに、穴があったら入りたい気分だった。
「だから、改めて別の物を……」
そう言いかけた私の言葉を遮って、赤葦君が口を開いた。
「好きなものは、いくらあってもいいよ」
その言葉に、思わず顔を上げる。
赤葦君は先ほどとは違う、ほんの少しだけ柔らかな表情で、私の目を見て言った。
「それが好きな人からなら、なおさら」
「す、好きな人って……?!」
驚きのあまり、赤葦君から一歩後ずさる。
心臓がうるさくて、呼吸もままならない。
「◯◯さんのことだよ」
赤葦君はそう言って、少しだけはにかむように微笑んだ。
そんな顔をされたら、益々好きになってしまう。
私は顔を真っ赤にして、その場に立ち尽くすことしかできなかった。
ーーFinーー
