183センチ
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放課後、私は美化委員会の仕事で、校舎裏の花壇の草むしりをしていた。
なんでこんなに忙しい委員会を選んでしまったんだろう……。
地味で、終わりが見えない作業に若干の後悔をしつつも、ひたすら雑草を抜いていく。
パンジーやマリーゴールドを誤って抜かないよう、注意深く根元から雑草の緑を引っ張った。
あまりに夢中になっていたからか、背後に誰かが立っていることに、全く気が付かなかった。
「あれ、◯◯さん」
「ひゃっ?!」
不意に声をかけられ、私は小さな悲鳴を上げて飛び上がってしまった。
驚いて振り返ると、そこにいたのは赤葦君だった。
彼は、汗で少し色が濃くなった部活のTシャツ姿で、手にはタオルとスポーツドリンクのペットボトルを持っている。
きっと、部活の休憩中なのだろう。
「あ、赤葦君……。部活お疲れ様」
「◯◯さんもお疲れ様。委員会の仕事?」
「うん、草むしり」
彼は少し目を細めて、私の作業を見ていた。
そして、突然、改まったように言った。
「ところで……それ、大丈夫?」
「え?」
赤葦君の指差す視線を追うと、私の右手のすぐそばに向けられていた。
そこには、抜いてはいけないはずのパンジーの花が、私の手の中でぐったりと横たわっている。
「……あっ!」
先ほど、驚いて勢いよく立ち上がった時に、うっかり引っ張ってしまったようだ。
私は慌てて両手で土に押し戻し、周囲の土を寄せて根元を固めた。
「よしっ!これで大丈夫なはず!」
私はふう、と額の汗を拭いながら、安堵の息を吐いた。
赤葦君は、そんな私を見て、フッと微笑んだ。
「◯◯さんって、面白いね」
その一言に、自分の頬が少し熱くなったのを感じた。
「あ、そうだ、◯◯さん」
赤葦君は何かを思い出したかのように、私を真っ直ぐ見た。
嫌な予感がする。
「今日言ってた自販機のことなんだけど……」
それだけで、彼が何を言いたいのか理解した。
私は内心、激しく焦った。
「あれは、本当に、その、なんでもなくて……!」
しどろもどろになる私に、赤葦君は口元を緩めた。
その表情は、私を追求しようという雰囲気とは程遠いものだった。
「もしかして、喉渇いてた?」
「……え?」
「自販機に行きたかったけど、また木兎さんが邪魔をしていたのかなって」
彼は、私の発した意味不明な独り言を、最も都合の良い、親切な解釈で受け止めてくれていたのだ。
その優しさに、私はホッと安堵すると同時に、嘘を吐く申し訳なさで胸がいっぱいになった。
「あ、うん……!そう、そうだよ!ちょっと喉渇いてたけど、急いでたから、つい口に出ちゃった、みたいな……」
私は必死に話を合わせた。
「そっか。よかったら、これ」
赤葦君はそう言って、持っていたスポーツドリンクのペットボトルを私に差し出した。
「まだ開けてないから」
「でも、そうしたら赤葦君の飲み物は?」
「俺はウォーターサーバー使うから、大丈夫」
私は、彼の心遣いを素直に受け取った。
ペットボトルのひんやりとした感触が心地よい。
「……ありがとう」
しっかりと彼の目を見てお礼を言った。
「じゃあ、俺、もう戻るね」
「うん、またね」
赤葦君は軽く会釈をして、体育館の方角へと戻っていった。
彼の183センチの背中が、遠ざかっていくのを見送る。
……。
…………。
草むしりがひと段落つき、私はもらったスポーツドリンクを開けた。
冷たい液体が、喉の奥を潤す。
彼は、私が発した意味不明な単語を追求するどころか、飲み物までくれたのだ。
「貰ってばかりだな……」
私はペットボトルを両手で包み込みながら、ぼんやりと呟いた。
なんでこんなに忙しい委員会を選んでしまったんだろう……。
地味で、終わりが見えない作業に若干の後悔をしつつも、ひたすら雑草を抜いていく。
パンジーやマリーゴールドを誤って抜かないよう、注意深く根元から雑草の緑を引っ張った。
あまりに夢中になっていたからか、背後に誰かが立っていることに、全く気が付かなかった。
「あれ、◯◯さん」
「ひゃっ?!」
不意に声をかけられ、私は小さな悲鳴を上げて飛び上がってしまった。
驚いて振り返ると、そこにいたのは赤葦君だった。
彼は、汗で少し色が濃くなった部活のTシャツ姿で、手にはタオルとスポーツドリンクのペットボトルを持っている。
きっと、部活の休憩中なのだろう。
「あ、赤葦君……。部活お疲れ様」
「◯◯さんもお疲れ様。委員会の仕事?」
「うん、草むしり」
彼は少し目を細めて、私の作業を見ていた。
そして、突然、改まったように言った。
「ところで……それ、大丈夫?」
「え?」
赤葦君の指差す視線を追うと、私の右手のすぐそばに向けられていた。
そこには、抜いてはいけないはずのパンジーの花が、私の手の中でぐったりと横たわっている。
「……あっ!」
先ほど、驚いて勢いよく立ち上がった時に、うっかり引っ張ってしまったようだ。
私は慌てて両手で土に押し戻し、周囲の土を寄せて根元を固めた。
「よしっ!これで大丈夫なはず!」
私はふう、と額の汗を拭いながら、安堵の息を吐いた。
赤葦君は、そんな私を見て、フッと微笑んだ。
「◯◯さんって、面白いね」
その一言に、自分の頬が少し熱くなったのを感じた。
「あ、そうだ、◯◯さん」
赤葦君は何かを思い出したかのように、私を真っ直ぐ見た。
嫌な予感がする。
「今日言ってた自販機のことなんだけど……」
それだけで、彼が何を言いたいのか理解した。
私は内心、激しく焦った。
「あれは、本当に、その、なんでもなくて……!」
しどろもどろになる私に、赤葦君は口元を緩めた。
その表情は、私を追求しようという雰囲気とは程遠いものだった。
「もしかして、喉渇いてた?」
「……え?」
「自販機に行きたかったけど、また木兎さんが邪魔をしていたのかなって」
彼は、私の発した意味不明な独り言を、最も都合の良い、親切な解釈で受け止めてくれていたのだ。
その優しさに、私はホッと安堵すると同時に、嘘を吐く申し訳なさで胸がいっぱいになった。
「あ、うん……!そう、そうだよ!ちょっと喉渇いてたけど、急いでたから、つい口に出ちゃった、みたいな……」
私は必死に話を合わせた。
「そっか。よかったら、これ」
赤葦君はそう言って、持っていたスポーツドリンクのペットボトルを私に差し出した。
「まだ開けてないから」
「でも、そうしたら赤葦君の飲み物は?」
「俺はウォーターサーバー使うから、大丈夫」
私は、彼の心遣いを素直に受け取った。
ペットボトルのひんやりとした感触が心地よい。
「……ありがとう」
しっかりと彼の目を見てお礼を言った。
「じゃあ、俺、もう戻るね」
「うん、またね」
赤葦君は軽く会釈をして、体育館の方角へと戻っていった。
彼の183センチの背中が、遠ざかっていくのを見送る。
……。
…………。
草むしりがひと段落つき、私はもらったスポーツドリンクを開けた。
冷たい液体が、喉の奥を潤す。
彼は、私が発した意味不明な単語を追求するどころか、飲み物までくれたのだ。
「貰ってばかりだな……」
私はペットボトルを両手で包み込みながら、ぼんやりと呟いた。
