見てくれるその日まで
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「着きましたよ」
連れてこられた場所とは赤葦君の家だった。
私の住んでいるアパートよりも築浅なデザイナーズマンション。
やっぱり、これはそう言うことだよね?
タクシーから降りたものの、怖気付いてしまって動けないでいると、それを察した赤葦君に、
「優しくするので安心してください」
なんて肩を抱き寄せられながら言われてしまった。
もう逃げられない。
私は覚悟を決めて赤葦君のお家へとお邪魔した。
ーーーー
「ぁ……んっ……気持ちぃ……」
堅苦しいスーツを脱ぎ、赤葦君の匂いがする部屋着を身に付け、何故か私はベッドでうつ伏せ状態にさせられて、マッサージを受けている。
「痛くないですか?」
「ん、だいじょ、ぶ……っぁソコ……」
「だいぶ凝っていますね」
傷を癒すってマッサージのことだったのか。
痛いどころかめちゃくちゃ気持ちが良い。
致すのかと思っていた自分が恥ずかしくなった。
そう言えば、付き合いたてのときはコースケにこうしてマッサージをしてもらっていたな。
……。
…………。
「うっ……っ……」
昔の仲が良かった頃を思い出して、自然と涙が出てきた。
あんな場面を2度も見せられても、やっぱり好きなんだな、と実感させられた。
「◯◯さん?」
「ごめん、マッサージが痛かったとかじゃないから……」
「あの男のこと、思い出したんですか?」
「うん……。なんかこんなことになるなら、赤葦君の言う通りさっさと別れた方がよかったね!」
気を遣わせたくなくて無理やり明るい声を出した。
「無理して笑わないで下さい」
うつ伏せに寝ていた身体を起こされて、赤葦君の胸板に顔を押し付けられた。
「悲しいときは我慢せずに泣いた方がいいですよ」
赤葦君の匂い、温もりに包まれて、私は嗚咽混じりに涙を流した。
「ぅ………っ……す、…好きだった……のに……っ」
「うん」
「素っ気ないっ……た、態度を取られて……も、我慢してたのに……っ」
「うん」
「けっ………結婚だって……グスッ……かん、がえてた……のにっ」
「うん」
赤葦君は余計なことは言わず、ただ肯定だけして、背中を擦ってくれた。
それだけの行為なのに安心できる。
そのお陰で徐々に落ち着きを取り戻していくのが分かった。
これが包容力ってやつなのかな?
年下の癖に……。
いや、私が単にメンタルが弱いだけなのかもしれない。
思う存分泣き終わると、赤葦君はサイドデスクに置いてあったティッシュを箱ごと渡してくれた。
「ありがとう……」
鼻をかんでスッキリすると、赤葦君が私の顔を覗き込んできた。
「?」
「前も言いましたけど、俺は◯◯さんが好きです。だから、俺にしませんか?」
「で、でも……」
そもそも赤葦君はなんで私のことが好きなんだろう。
教育係でもないし、長く一緒に働いてきたわけでもない。
「なんで私なの?赤葦君モテそうなのに……」
「人を好きになるのに、立派な理由は必ずしも必要ないと思います。それに好きな人にモテなければ意味ないですし」
それもそうか、と納得させられたような、上手く丸め込まれたような気分だった。
「本気……なの?」
あれだけ好意を向けられて、まだ疑うのかと思われるかもしれないけれど、浮気されたばかりの私の自尊心はそれだけずたぼろだった。
「◯◯さんの前で嘘なんて言ったことないですよ」
赤葦君は切なげに笑った。
ああ、彼は本当に私のことが好きなんだ。
その誠意に、気持ちに答えたい。
だけど、破綻しているとは言え私はまだコースケと別れていない。
「……」
一瞬口から出かけた言葉を飲み込んだ。
「直ぐに答えなくて良いです。だけど、今だけは俺を見てくれませんか」
赤葦君は大きな手で私の両頬を包み込み、額にキスを落とした。
驚いて視線を上に移すと、優しくて、だけど、どこか苦しそうな彼と目が合う。
「●●さんを俺に下さい……」
そんな言い方ズルいよ。
いや、ズルいのは私の方なのかもしれない。
私は赤葦君に身を任せてしまった。
連れてこられた場所とは赤葦君の家だった。
私の住んでいるアパートよりも築浅なデザイナーズマンション。
やっぱり、これはそう言うことだよね?
タクシーから降りたものの、怖気付いてしまって動けないでいると、それを察した赤葦君に、
「優しくするので安心してください」
なんて肩を抱き寄せられながら言われてしまった。
もう逃げられない。
私は覚悟を決めて赤葦君のお家へとお邪魔した。
ーーーー
「ぁ……んっ……気持ちぃ……」
堅苦しいスーツを脱ぎ、赤葦君の匂いがする部屋着を身に付け、何故か私はベッドでうつ伏せ状態にさせられて、マッサージを受けている。
「痛くないですか?」
「ん、だいじょ、ぶ……っぁソコ……」
「だいぶ凝っていますね」
傷を癒すってマッサージのことだったのか。
痛いどころかめちゃくちゃ気持ちが良い。
致すのかと思っていた自分が恥ずかしくなった。
そう言えば、付き合いたてのときはコースケにこうしてマッサージをしてもらっていたな。
……。
…………。
「うっ……っ……」
昔の仲が良かった頃を思い出して、自然と涙が出てきた。
あんな場面を2度も見せられても、やっぱり好きなんだな、と実感させられた。
「◯◯さん?」
「ごめん、マッサージが痛かったとかじゃないから……」
「あの男のこと、思い出したんですか?」
「うん……。なんかこんなことになるなら、赤葦君の言う通りさっさと別れた方がよかったね!」
気を遣わせたくなくて無理やり明るい声を出した。
「無理して笑わないで下さい」
うつ伏せに寝ていた身体を起こされて、赤葦君の胸板に顔を押し付けられた。
「悲しいときは我慢せずに泣いた方がいいですよ」
赤葦君の匂い、温もりに包まれて、私は嗚咽混じりに涙を流した。
「ぅ………っ……す、…好きだった……のに……っ」
「うん」
「素っ気ないっ……た、態度を取られて……も、我慢してたのに……っ」
「うん」
「けっ………結婚だって……グスッ……かん、がえてた……のにっ」
「うん」
赤葦君は余計なことは言わず、ただ肯定だけして、背中を擦ってくれた。
それだけの行為なのに安心できる。
そのお陰で徐々に落ち着きを取り戻していくのが分かった。
これが包容力ってやつなのかな?
年下の癖に……。
いや、私が単にメンタルが弱いだけなのかもしれない。
思う存分泣き終わると、赤葦君はサイドデスクに置いてあったティッシュを箱ごと渡してくれた。
「ありがとう……」
鼻をかんでスッキリすると、赤葦君が私の顔を覗き込んできた。
「?」
「前も言いましたけど、俺は◯◯さんが好きです。だから、俺にしませんか?」
「で、でも……」
そもそも赤葦君はなんで私のことが好きなんだろう。
教育係でもないし、長く一緒に働いてきたわけでもない。
「なんで私なの?赤葦君モテそうなのに……」
「人を好きになるのに、立派な理由は必ずしも必要ないと思います。それに好きな人にモテなければ意味ないですし」
それもそうか、と納得させられたような、上手く丸め込まれたような気分だった。
「本気……なの?」
あれだけ好意を向けられて、まだ疑うのかと思われるかもしれないけれど、浮気されたばかりの私の自尊心はそれだけずたぼろだった。
「◯◯さんの前で嘘なんて言ったことないですよ」
赤葦君は切なげに笑った。
ああ、彼は本当に私のことが好きなんだ。
その誠意に、気持ちに答えたい。
だけど、破綻しているとは言え私はまだコースケと別れていない。
「……」
一瞬口から出かけた言葉を飲み込んだ。
「直ぐに答えなくて良いです。だけど、今だけは俺を見てくれませんか」
赤葦君は大きな手で私の両頬を包み込み、額にキスを落とした。
驚いて視線を上に移すと、優しくて、だけど、どこか苦しそうな彼と目が合う。
「●●さんを俺に下さい……」
そんな言い方ズルいよ。
いや、ズルいのは私の方なのかもしれない。
私は赤葦君に身を任せてしまった。