見てくれるその日まで
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こんな顔でデスクに戻ることなんてできなくて、ひとまず視界に入った給湯室へと逃げ込んだ。
「ぐっ……っ……っ……なん、で…ぇ…」
定時は過ぎているし、残業代は出ない。
もう少し落ち着いたら戻ろう。
そう思っていたら給湯室に誰かが入ってきた。
「あれ、◯◯さん?」
この声は後輩の赤葦京治君。
彼は黒髪短髪の眼鏡をかけている真面目な青年だ。
タイミングが悪いな。
だけど背を向けている状態だから、顔を見られなければ大丈夫なはず。
「あ、うん。赤葦君もコーヒー?」
俯きながらいそいそと2人分のコーヒーのお湯を沸かし始めた。
「……」
返事がない。
無視をするような子じゃないのに。
不思議に思っていると、いきなり赤葦君に顎をクイッと持ち上げられ、強制的に目を合わせられた。
「なんで泣いているんですか?」
「あ……えっと……」
見られた……見られた……。
涙でぐちゃぐちゃな顔を。
なんでバレたんだろう。
それを察したのか、赤葦君は答えた。
「涙ぐんだ声だったので」
自分では気丈に振る舞ったつもりだったのに、赤葦君はそんな風に感じたのか。
鋭い子だな。
「あはは、変なところ見られちゃったな」
取りあえず誤魔化すように笑った。
「仕事、まだ残っていますか?」
「え……あ、一応あるけど」
「急ぎですか?」
「じゃない……です」
赤葦君の整った顔が近くて、動揺したのか何故か敬語になってしまった。
「それなら、僕も直ぐに帰り支度をするのでこの後一緒にご飯行きませんか?」
これで行く、なんて言ったら私もコースケと同じになってしまう。
……。
…………。
いや、キスもそれ以上の行為をするわけでもなくただの食事。
ダメなわけあるものか。
「行く」
私は二言返事をした。
「荷物、良かったら◯◯さんのも持ってきますけど」
きっとこんな顔で戻れない私を気遣ってくれているんだ。
「お願いしようかな。デスクに掛かっている黒い鞄をそのまま持ってきてくれたらいいから」
「分かりました」
そう言うと赤葦君は給湯室から出ていった。
それと同時にヤカンがピーッと沸騰したことを知らせる。
そう言えば、赤葦君は仕事の気合いを入れるためにコーヒーを取りに来たんじゃないの?
大丈夫なのかしら。
私はコンロの火を消した。
「ぐっ……っ……っ……なん、で…ぇ…」
定時は過ぎているし、残業代は出ない。
もう少し落ち着いたら戻ろう。
そう思っていたら給湯室に誰かが入ってきた。
「あれ、◯◯さん?」
この声は後輩の赤葦京治君。
彼は黒髪短髪の眼鏡をかけている真面目な青年だ。
タイミングが悪いな。
だけど背を向けている状態だから、顔を見られなければ大丈夫なはず。
「あ、うん。赤葦君もコーヒー?」
俯きながらいそいそと2人分のコーヒーのお湯を沸かし始めた。
「……」
返事がない。
無視をするような子じゃないのに。
不思議に思っていると、いきなり赤葦君に顎をクイッと持ち上げられ、強制的に目を合わせられた。
「なんで泣いているんですか?」
「あ……えっと……」
見られた……見られた……。
涙でぐちゃぐちゃな顔を。
なんでバレたんだろう。
それを察したのか、赤葦君は答えた。
「涙ぐんだ声だったので」
自分では気丈に振る舞ったつもりだったのに、赤葦君はそんな風に感じたのか。
鋭い子だな。
「あはは、変なところ見られちゃったな」
取りあえず誤魔化すように笑った。
「仕事、まだ残っていますか?」
「え……あ、一応あるけど」
「急ぎですか?」
「じゃない……です」
赤葦君の整った顔が近くて、動揺したのか何故か敬語になってしまった。
「それなら、僕も直ぐに帰り支度をするのでこの後一緒にご飯行きませんか?」
これで行く、なんて言ったら私もコースケと同じになってしまう。
……。
…………。
いや、キスもそれ以上の行為をするわけでもなくただの食事。
ダメなわけあるものか。
「行く」
私は二言返事をした。
「荷物、良かったら◯◯さんのも持ってきますけど」
きっとこんな顔で戻れない私を気遣ってくれているんだ。
「お願いしようかな。デスクに掛かっている黒い鞄をそのまま持ってきてくれたらいいから」
「分かりました」
そう言うと赤葦君は給湯室から出ていった。
それと同時にヤカンがピーッと沸騰したことを知らせる。
そう言えば、赤葦君は仕事の気合いを入れるためにコーヒーを取りに来たんじゃないの?
大丈夫なのかしら。
私はコンロの火を消した。