可愛い人
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机と椅子だけのシンプルな部屋でのインタビュー。
「ヘイヘイヘーイ、あかーし元気だったか!」
「はい、お久しぶりです」
木兎選手はイメージ通りの明るい人だった。
「週刊少年ヴァーイでオリンピック特集をやる事になりまして、今回は取材を受けて頂いてありがとうございます」
先程試合風景を撮影して見てはいたけど、実際に木兎光太郎選手を目の前にすると、緊張して頭が真っ白。
ミーハーだと思われてしまう。
久しぶりに木兎選手と会うと言っていた赤葦さんは、多少の雑談をするのかと思いきや、懐かしむ間もなく取材をこなしている。
ただ、どことなく柔らかい表情をしていた。
木兎選手は普通になった俺を見逃したのか、とか私では理解できない会話をしている。
学生時代の木兎選手を知っているからこそ赤葦さんと通じ会えることなのだのうか。
結局私の記憶に残ったのは、背が高いと思っていた赤葦さんよりも木兎選手の方が背が高いと言うことと、この後牛タンを食べに行く、と言うどうでもいいことだけ。
社会人失格。何のために取材に同席したのよ。
何にも勉強できないじゃん。
取材後、メモの取り方のアドバイスをするから、と私の取材帳を見た赤葦さんは何故か肩を震わせていた。
軽く咳払いをしてから、いつもの澄まし顔で話す。
「ここは─────して、あそこは───するといいかもね」
「はい、分かりました。次は気を付けます」
「……それにしてもメモに牛タンって……」
「あ……」
それで笑っていたのか。
恥ずかしいメモを見られてしまった。
帰り道、赤葦さんに駅まで送ってもらう間、ひたすら謝った。
「本当にすみません。頭真っ白になっちゃって」
思い出し笑いをした赤葦さんは涙目になりながら言った。
「◯◯さんって、本当に可愛いよね」
赤葦さんが言う可愛い。
それはつまり、私は今、赤葦さんに不快な思いをさせてしまっていると言うこと。
「すみません……」
「え……ああ、ごめん。違うんだ」
「?」
赤葦さんは涙目になった目を擦り、一呼吸してから話し始めた。
「その……前に言った可愛いを使うときのアレじゃなくて、純粋に◯◯さんのことが………可愛いと思って言いました」
「!?」
本当に私って単純だ。
ただ可愛いと言われただけで、こんなにも気持ちが舞い上がるなんて。
赤葦さんのこと、尊敬以上の目で見てもいいですか?
好きになってもいいですか?
ーーFinーー
「ヘイヘイヘーイ、あかーし元気だったか!」
「はい、お久しぶりです」
木兎選手はイメージ通りの明るい人だった。
「週刊少年ヴァーイでオリンピック特集をやる事になりまして、今回は取材を受けて頂いてありがとうございます」
先程試合風景を撮影して見てはいたけど、実際に木兎光太郎選手を目の前にすると、緊張して頭が真っ白。
ミーハーだと思われてしまう。
久しぶりに木兎選手と会うと言っていた赤葦さんは、多少の雑談をするのかと思いきや、懐かしむ間もなく取材をこなしている。
ただ、どことなく柔らかい表情をしていた。
木兎選手は普通になった俺を見逃したのか、とか私では理解できない会話をしている。
学生時代の木兎選手を知っているからこそ赤葦さんと通じ会えることなのだのうか。
結局私の記憶に残ったのは、背が高いと思っていた赤葦さんよりも木兎選手の方が背が高いと言うことと、この後牛タンを食べに行く、と言うどうでもいいことだけ。
社会人失格。何のために取材に同席したのよ。
何にも勉強できないじゃん。
取材後、メモの取り方のアドバイスをするから、と私の取材帳を見た赤葦さんは何故か肩を震わせていた。
軽く咳払いをしてから、いつもの澄まし顔で話す。
「ここは─────して、あそこは───するといいかもね」
「はい、分かりました。次は気を付けます」
「……それにしてもメモに牛タンって……」
「あ……」
それで笑っていたのか。
恥ずかしいメモを見られてしまった。
帰り道、赤葦さんに駅まで送ってもらう間、ひたすら謝った。
「本当にすみません。頭真っ白になっちゃって」
思い出し笑いをした赤葦さんは涙目になりながら言った。
「◯◯さんって、本当に可愛いよね」
赤葦さんが言う可愛い。
それはつまり、私は今、赤葦さんに不快な思いをさせてしまっていると言うこと。
「すみません……」
「え……ああ、ごめん。違うんだ」
「?」
赤葦さんは涙目になった目を擦り、一呼吸してから話し始めた。
「その……前に言った可愛いを使うときのアレじゃなくて、純粋に◯◯さんのことが………可愛いと思って言いました」
「!?」
本当に私って単純だ。
ただ可愛いと言われただけで、こんなにも気持ちが舞い上がるなんて。
赤葦さんのこと、尊敬以上の目で見てもいいですか?
好きになってもいいですか?
ーーFinーー
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