いくつあってもいい
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〜いくつあってもいい〜
11月も終わりに差し掛かり、私はずっとソワソワしていた。
なぜなら、同じクラスで片思い中の赤葦君の誕生日が近付いているから。
授業中も、ふとした拍子に彼のことを考えてしまう。
真剣な眼差しでノートを取る姿の彼。
無難なプレゼントはお菓子やバレー用品だろうか。
でも、市販のお菓子は特別感がないし、手作りは重いかもしれない。
バレー用品だって、彼のこだわりがあるかもしれない。
なにより、私が詳しくない。
さり気なく渡せて、貰っても負担にならないプレゼントはないだろうか。
それでいて、あわよくば私のことを意識してもらえるような……。
なんて、そんな都合の良いものがあるとは思えない。
そうやってぐるぐると考えているうちに、日にちばかりが過ぎていく。
……。
…………。
ある日の休み時間に渡り廊下を歩いていた。
窓の外に広がる中庭の木々はすっかりと落ち、地面には枯葉の山ができている。
そんな中庭のベンチに腰かけ、静かに本を読んでいる赤葦君の姿があった。
その横顔は、いつもより少しだけ柔らかく見える。
赤葦君って、どんな本を読むんだろう。
遠くからでは何を読んでいるのかまでは見えないけれど、雑誌ではないようだ。
本のサイズからして、小説だろうか。
「本、か……」
無意識に呟きながら、私は自分の好きな小説を思い出した。
ファンタジーで、物語の舞台はちょうど今みたいに肌寒い時期。
読み終えた後に、心が温かくなるような、そんな優しいお話。
赤葦君にも、私の好きな小説を読んでもらいたい。
私の好きな物を彼にも知ってほしい。
「……そうだ!」
私は学校帰りに本屋に寄ることにした。
……。
…………。
放課後、私は最寄りの駅前の本屋に立ち寄った。
様々な本がずらりと並ぶ店内には、紙とインクの匂いが満ちている。
私は例の小説を探し始めた。
背表紙を指でなぞりながら、タイトルを確認していく。
「……ぁ」
あった、これだ。
茶色い表紙に、特徴的なタイトル。
なければネット注文も考えていたため、本屋で見つけられてよかった。
私はその本を手に取り、早速レジへと向かう。
「プレゼント用でお願いします」
「かしこまりました」
店員さんがラッピングをしている間、ふとレジ横に置かれた栞に目が留まった。
花柄、風景、キャラクター物。
様々なデザインがある中で、1枚の栞に心を奪われた。
夜空を思わせる深い紺色に、可愛らしいフクロウが描かれている。
この栞のフクロウ、赤葦君に似ているかもしれない。
赤葦君が使っている姿を思い浮かべ、クスりと笑いそうになった。
「すみません、この栞も一緒にお願いします」
気が付くと、栞も一緒に購入していた。
赤葦君、喜んでくれるといいな。
可愛くラッピングされた本を胸に抱え、私は軽い足取りで家路についた。
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