特別なひとかけ
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ーーおまけ(国見side)ーー
朝練が終わって、汗が肌にべたつく6月の体育館。
蒸し暑い空気の中、何人かで輪になってストレッチをしていると、◯◯さんがやってきた。
「お疲れ様です。これよかったら食べて下さい」
そう言いながら、手際よく配られていく小袋のチョコレート。
金田一とかは大袈裟なくらい喜んでいる。
そのうち、◯◯さんが俺の目の前に来て、
「はい、国見君!」
と、そっと差し出した。
みんなが持ってるやつと色が違うのに気づいて、一瞬だけ手が止まった。
赤色のパッケージではなく、ベージュ色に“塩キャラメル味”と書かれた袋。
俺の好きな塩キャラメル味。
何種類かフレーバーの入っている大袋なのかと思っていたけれど、彼女の手にある袋はどう見ても定番のもの。
疑問を覚えつつも、周りに何か言われるのも嫌だったから、表情は変えずに、
「……ありがとう、◯◯さん」
と、いつも通り無愛想に返した。
その場で半分だけ割って口に放り込み、特にリアクションもしないまま、また輪に戻る。
嬉しいのがバレるのも照れくさいし、特別扱いしてくれている、なんて勘違いだと格好悪いし。
◯◯さんからもらった塩キャラメルの甘じょっぱさが、舌の上に残ってる。
なんだか、少しだけ気まずい。
みんながワイワイしている中、どこかで片付けしてる◯◯さんの姿を眺めた。
すると、突然体育館の中に及川さんの声が響いた。
「ちょっと!国見ちゃんのだけチョコの色違くない!?」
すぐに他のみんなも騒ぎ始める。
「あ、本当だ」
「なんで国見だけー?!」
面倒くさいことになった。
ふと、◯◯さんの方へ視線を戻すと、彼女は気まずそうに体育倉庫の方へ慌てて出ていった。
悪いと思った。
本当は、俺がうまくごまかせたらよかったのに。
「なんでもいいでしょ。たかがチョコ……」
そんなことを言って、◯◯さんを追いかけるように、俺も体育倉庫へ向かった。
……。
…………。
倉庫へ入ろうとしたら、ちょうど◯◯さんがモップを持って出てきた。
だから、思い切って話し掛けた。
「◯◯さん……」
ビクッとしたみたいに驚いた顔。
それを見て、また余計に言いにくくなる。
「あ、国見君……。何かな?」
じっと見てきて、何か責められるのかな、って不安そうにしている。
でも、俺が言いたいのはそんなことじゃない。
「……アレ、うまかった」
できるだけ普通の声で。
でも、どうやっても照れは隠しきれないらしい。
◯◯さんは一瞬驚いて、それから嬉しそうに笑う。
「よかった!」
「うん、じゃあ……。それだけだから」
それだけ言って、そのまま体育館の方へ戻る。
気付くと心の奥がじんわりあったかい。
たった一言だったのに。
塩キャラメルの甘じょっぱい余韻が、今日1日消えなさそうな気がした。
朝練が終わって、汗が肌にべたつく6月の体育館。
蒸し暑い空気の中、何人かで輪になってストレッチをしていると、◯◯さんがやってきた。
「お疲れ様です。これよかったら食べて下さい」
そう言いながら、手際よく配られていく小袋のチョコレート。
金田一とかは大袈裟なくらい喜んでいる。
そのうち、◯◯さんが俺の目の前に来て、
「はい、国見君!」
と、そっと差し出した。
みんなが持ってるやつと色が違うのに気づいて、一瞬だけ手が止まった。
赤色のパッケージではなく、ベージュ色に“塩キャラメル味”と書かれた袋。
俺の好きな塩キャラメル味。
何種類かフレーバーの入っている大袋なのかと思っていたけれど、彼女の手にある袋はどう見ても定番のもの。
疑問を覚えつつも、周りに何か言われるのも嫌だったから、表情は変えずに、
「……ありがとう、◯◯さん」
と、いつも通り無愛想に返した。
その場で半分だけ割って口に放り込み、特にリアクションもしないまま、また輪に戻る。
嬉しいのがバレるのも照れくさいし、特別扱いしてくれている、なんて勘違いだと格好悪いし。
◯◯さんからもらった塩キャラメルの甘じょっぱさが、舌の上に残ってる。
なんだか、少しだけ気まずい。
みんながワイワイしている中、どこかで片付けしてる◯◯さんの姿を眺めた。
すると、突然体育館の中に及川さんの声が響いた。
「ちょっと!国見ちゃんのだけチョコの色違くない!?」
すぐに他のみんなも騒ぎ始める。
「あ、本当だ」
「なんで国見だけー?!」
面倒くさいことになった。
ふと、◯◯さんの方へ視線を戻すと、彼女は気まずそうに体育倉庫の方へ慌てて出ていった。
悪いと思った。
本当は、俺がうまくごまかせたらよかったのに。
「なんでもいいでしょ。たかがチョコ……」
そんなことを言って、◯◯さんを追いかけるように、俺も体育倉庫へ向かった。
……。
…………。
倉庫へ入ろうとしたら、ちょうど◯◯さんがモップを持って出てきた。
だから、思い切って話し掛けた。
「◯◯さん……」
ビクッとしたみたいに驚いた顔。
それを見て、また余計に言いにくくなる。
「あ、国見君……。何かな?」
じっと見てきて、何か責められるのかな、って不安そうにしている。
でも、俺が言いたいのはそんなことじゃない。
「……アレ、うまかった」
できるだけ普通の声で。
でも、どうやっても照れは隠しきれないらしい。
◯◯さんは一瞬驚いて、それから嬉しそうに笑う。
「よかった!」
「うん、じゃあ……。それだけだから」
それだけ言って、そのまま体育館の方へ戻る。
気付くと心の奥がじんわりあったかい。
たった一言だったのに。
塩キャラメルの甘じょっぱい余韻が、今日1日消えなさそうな気がした。
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