ひと冬の恋
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リフトに座ると、ゆっくりと動き出して山へと上っていく。
初めは楽しんでいた景色も、徐々に高くなるにつれ恐怖心が生まれた。
そして、登頂する頃にはすっかり怖気付く始末。
そんな、私を無視して、サナは1人先に滑っていく。
本当についさっきまで私と同じ初心者だったなんて信じられない。
「●●はやくー!」
サナに呼ばれ、意を決してへっぴり腰ながら滑り始めた。
だけど、姿勢が悪くてすぐに転ける。
散々へっぴり腰はダメだと教わったのに。
「いててっ……」
実際には雪がクッション代わりになってそこまで痛くはないけれど、反射的に言葉が出た。
早く立ち上がりたいのに、雪のせいで上手く身動きが取れない。
ワタワタと1人でテンパっていると、
「邪魔……」
後ろからそう聞こえると同時に、私の横を凄いスピードで駆け抜ける1人のスノーボーダー。
その速さに唖然としていると、サナが私の元まで登ってきてくれた。
「今の人、危ないね」
「うん……。だけど、こんなところで転がっている私も悪いし」
それに、あんな暴言を吐かれたのにも関わらず、少しだけ格好良く見えた。
あれがゲレンデマジックと言うものなのか。
その後、転びながらもサナの手を借りて、何とか滑れるようになった。
気付けば午前中はあっという間で、私たちはお昼を食べるためにレストランのある休憩所へと向かった。
お昼時なのもあってレストラン内は思ったよりも混んでいる。
そんな中、なんとか席を確保して、各々好きなメニューを注文し、席に着いて食べ始めた。
ちなみにサナはカレーライス、私はラーメン。
ふと、視線をあげるとレストラン内にいる1人の男性と目が合った。
いや、正確には合った気がした。
だって彼の方はレストランに入ってきたばかりなのか、ゴーグルをまだ付けていたから。
彼は何事も無かったように視線を戻し、空いている席を探し始めた。
「どうしたの?」
そんな私に気が付いたサナが尋ねてきたかの思えば、視線を辿って彼女も男性へと目を向ける。
「あー、●●の横を猛スピードで通り過ぎた人だ」
言われてみれば同じ背格好かもしれない。
「一瞬だったのに良く覚えているね」
「そりゃあムカついたから」
何故か私以上にサナが腹を立てていた。
私は再度男性へと視線を戻すと、どうやら連れがいたようで楽しそうにじゃれ合っていた。
……っと、見惚れている場合じゃない。
早く食べて、午後の部も頑張ろう。
私は少しだけ伸びたラーメンを口に運んだ。
ーーーー
昼休憩を挟んで午後の部へと挑む。
体力が回復したから大丈夫かと思いきや、相変わらず私は転けまくる訳で、その都度サナは足を止めて待っていてくれる。
本当はもっとたくさん滑りたいだろうに、申し訳ない気持ちが大きくなる。
それなのにサナは滑るどころか私に気を利かせて休憩を提案してくれた。
「少し休もうか」
「うん……」
滑ってくる人の邪魔にならないよう、コースの端へと避難する。
「本当に足手まといでごめんっ!」
誠心誠意謝ると、サナは笑って許してくれた。
「いいって!いいって!一緒に滑った方が楽しいし!」
すると、そんな私たちの元に2人組の男性がやってきたかと思えば、
「あ、下手くそな人だ」
そのうちの1人が私に言い放った。
この人……。
私に邪魔だと言い捨てて横を滑り抜けた人だ。
言い返す言葉を探していると、サナが代わりに反論してくれた。
「ちょっと失礼なんじゃないですか?!」
だけど、相手は悪びれることなく続ける。
「下手くそに下手くそって言って、何が悪いんだよ」
「くっ……」
悔しさのあまり、ゴーグル越しに男性を睨みつけると、連れの男性が仲裁に入ってきた。
「おい、国見。少し言いすぎじゃないか?」
「……チッ」
国見と呼ばれた男性は舌打ちをしてから滑っていってしまった。
「おい、待てよ。……ったく。2人とも悪かったな」
国見の代わりに連れの男性が謝ると、彼も滑っていった。
「……」
「……」
残された私とサナ。
「なんなのよ、アレ」
「さ、さぁ?」
しばらくの間、呆然と彼らの去った跡を見つめた。
初めは楽しんでいた景色も、徐々に高くなるにつれ恐怖心が生まれた。
そして、登頂する頃にはすっかり怖気付く始末。
そんな、私を無視して、サナは1人先に滑っていく。
本当についさっきまで私と同じ初心者だったなんて信じられない。
「●●はやくー!」
サナに呼ばれ、意を決してへっぴり腰ながら滑り始めた。
だけど、姿勢が悪くてすぐに転ける。
散々へっぴり腰はダメだと教わったのに。
「いててっ……」
実際には雪がクッション代わりになってそこまで痛くはないけれど、反射的に言葉が出た。
早く立ち上がりたいのに、雪のせいで上手く身動きが取れない。
ワタワタと1人でテンパっていると、
「邪魔……」
後ろからそう聞こえると同時に、私の横を凄いスピードで駆け抜ける1人のスノーボーダー。
その速さに唖然としていると、サナが私の元まで登ってきてくれた。
「今の人、危ないね」
「うん……。だけど、こんなところで転がっている私も悪いし」
それに、あんな暴言を吐かれたのにも関わらず、少しだけ格好良く見えた。
あれがゲレンデマジックと言うものなのか。
その後、転びながらもサナの手を借りて、何とか滑れるようになった。
気付けば午前中はあっという間で、私たちはお昼を食べるためにレストランのある休憩所へと向かった。
お昼時なのもあってレストラン内は思ったよりも混んでいる。
そんな中、なんとか席を確保して、各々好きなメニューを注文し、席に着いて食べ始めた。
ちなみにサナはカレーライス、私はラーメン。
ふと、視線をあげるとレストラン内にいる1人の男性と目が合った。
いや、正確には合った気がした。
だって彼の方はレストランに入ってきたばかりなのか、ゴーグルをまだ付けていたから。
彼は何事も無かったように視線を戻し、空いている席を探し始めた。
「どうしたの?」
そんな私に気が付いたサナが尋ねてきたかの思えば、視線を辿って彼女も男性へと目を向ける。
「あー、●●の横を猛スピードで通り過ぎた人だ」
言われてみれば同じ背格好かもしれない。
「一瞬だったのに良く覚えているね」
「そりゃあムカついたから」
何故か私以上にサナが腹を立てていた。
私は再度男性へと視線を戻すと、どうやら連れがいたようで楽しそうにじゃれ合っていた。
……っと、見惚れている場合じゃない。
早く食べて、午後の部も頑張ろう。
私は少しだけ伸びたラーメンを口に運んだ。
ーーーー
昼休憩を挟んで午後の部へと挑む。
体力が回復したから大丈夫かと思いきや、相変わらず私は転けまくる訳で、その都度サナは足を止めて待っていてくれる。
本当はもっとたくさん滑りたいだろうに、申し訳ない気持ちが大きくなる。
それなのにサナは滑るどころか私に気を利かせて休憩を提案してくれた。
「少し休もうか」
「うん……」
滑ってくる人の邪魔にならないよう、コースの端へと避難する。
「本当に足手まといでごめんっ!」
誠心誠意謝ると、サナは笑って許してくれた。
「いいって!いいって!一緒に滑った方が楽しいし!」
すると、そんな私たちの元に2人組の男性がやってきたかと思えば、
「あ、下手くそな人だ」
そのうちの1人が私に言い放った。
この人……。
私に邪魔だと言い捨てて横を滑り抜けた人だ。
言い返す言葉を探していると、サナが代わりに反論してくれた。
「ちょっと失礼なんじゃないですか?!」
だけど、相手は悪びれることなく続ける。
「下手くそに下手くそって言って、何が悪いんだよ」
「くっ……」
悔しさのあまり、ゴーグル越しに男性を睨みつけると、連れの男性が仲裁に入ってきた。
「おい、国見。少し言いすぎじゃないか?」
「……チッ」
国見と呼ばれた男性は舌打ちをしてから滑っていってしまった。
「おい、待てよ。……ったく。2人とも悪かったな」
国見の代わりに連れの男性が謝ると、彼も滑っていった。
「……」
「……」
残された私とサナ。
「なんなのよ、アレ」
「さ、さぁ?」
しばらくの間、呆然と彼らの去った跡を見つめた。
