もじもじヒーロー
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悲鳴と共に店内は騒然となり、棚が崩れて商品が床に散らばる。
見れば、天井に穴が開いていた。
その元凶となったヴィランは上半身裸で、脳らしき器官がむき出しになっているグロテスクな姿だった。
ニュースで見たことある、“脳無 ”と呼ばれているヴィラン。
ソイツらは、天井以外にも入り口からズシンと重い足音を立てて乱入してきていた。
「な、何これ……!」
周囲がパニックに陥る中、環君も一瞬だけ怯んだように見えた。
けれど、すぐに表情を引き締め、私の方を振り返る。
「●●さん、ここから離れて。できれば物が倒れてこない場所」
いつもより低く、かつ力強い声。
「わ、分かった」
私は驚きながらも、言われた通り棚の付近を避けて、壁際にしゃがみ込み、身を隠した。
その間にも、環君は人混みを掻き分け、脳無の前に立ち塞がる。
脳無が伸ばした巨大な腕が、彼に襲いかかる。
一瞬で彼の髪や肌がぐん、と硬質な色へと変化していく。
これが、彼の個性……?
それは、もじもじしていて控えめな普段の姿とは全く違い、芯の通った勇敢なヒーローの顔だった。
環君の体から、タコの足や甲殻、翼のようなものが同時に生え、素早く動く脳無の動きを追い詰める。
俊敏さ、パワー、どれも圧倒的。
彼は、パニックになっている人たちをかばいながら、柔軟なタコの腕で脳無の手を捕らえ、翼で素早く後ろへ回る。
そしてガッチリと拘束すると、一瞬の隙をついて強力な蹴りをお見舞いした。
「ハアァーッ!」
ドン、と音を立てて脳無が床に叩きつけられ、そのまま動かなくなる。
あれほど暴れていた脳無を、環君は1人で押さえ込んだのだ。
「凄い……」
私はただ、呆然とその光景を見つめていた。
何がびくびくしながら建物の影に隠れる、よ。
今目の前にいるのは、誰より頼もしくて、格好良い彼だった。
サンイーター……。
見とれていると、脳無を片付けた環君が近付いてきた。
「●●さん……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。守ってくれてありがとうね」
「あ……はい……いえ……」
頬を掻きながら、少し照れたような彼。
先ほどまで凛々しく戦っていた人と同一人物なのか、疑いたくなるほど覇気がなくなっていた。
だけど、今の私は彼の本当の強さを知っている。
たどたどしく俯いている環君の姿に、自然と微笑みが溢れた。
きっともう、スーパーでタコを見るたびに思い出すのは、もじもじした横顔だけじゃない。
誰よりも頼もしく、誰よりも優しいヒーローの姿。
ーーFinーー
見れば、天井に穴が開いていた。
その元凶となったヴィランは上半身裸で、脳らしき器官がむき出しになっているグロテスクな姿だった。
ニュースで見たことある、“
ソイツらは、天井以外にも入り口からズシンと重い足音を立てて乱入してきていた。
「な、何これ……!」
周囲がパニックに陥る中、環君も一瞬だけ怯んだように見えた。
けれど、すぐに表情を引き締め、私の方を振り返る。
「●●さん、ここから離れて。できれば物が倒れてこない場所」
いつもより低く、かつ力強い声。
「わ、分かった」
私は驚きながらも、言われた通り棚の付近を避けて、壁際にしゃがみ込み、身を隠した。
その間にも、環君は人混みを掻き分け、脳無の前に立ち塞がる。
脳無が伸ばした巨大な腕が、彼に襲いかかる。
一瞬で彼の髪や肌がぐん、と硬質な色へと変化していく。
これが、彼の個性……?
それは、もじもじしていて控えめな普段の姿とは全く違い、芯の通った勇敢なヒーローの顔だった。
環君の体から、タコの足や甲殻、翼のようなものが同時に生え、素早く動く脳無の動きを追い詰める。
俊敏さ、パワー、どれも圧倒的。
彼は、パニックになっている人たちをかばいながら、柔軟なタコの腕で脳無の手を捕らえ、翼で素早く後ろへ回る。
そしてガッチリと拘束すると、一瞬の隙をついて強力な蹴りをお見舞いした。
「ハアァーッ!」
ドン、と音を立てて脳無が床に叩きつけられ、そのまま動かなくなる。
あれほど暴れていた脳無を、環君は1人で押さえ込んだのだ。
「凄い……」
私はただ、呆然とその光景を見つめていた。
何がびくびくしながら建物の影に隠れる、よ。
今目の前にいるのは、誰より頼もしくて、格好良い彼だった。
サンイーター……。
見とれていると、脳無を片付けた環君が近付いてきた。
「●●さん……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。守ってくれてありがとうね」
「あ……はい……いえ……」
頬を掻きながら、少し照れたような彼。
先ほどまで凛々しく戦っていた人と同一人物なのか、疑いたくなるほど覇気がなくなっていた。
だけど、今の私は彼の本当の強さを知っている。
たどたどしく俯いている環君の姿に、自然と微笑みが溢れた。
きっともう、スーパーでタコを見るたびに思い出すのは、もじもじした横顔だけじゃない。
誰よりも頼もしく、誰よりも優しいヒーローの姿。
ーーFinーー
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