もじもじヒーロー
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ある日の休日。
スーパーで必要なものをかごに入れて、ふと海鮮コーナーの前を通りかかる。
その瞬間、ディスプレイ用に水槽の中で泳いでいる生ダコと目が合った。
「……あっ!」
うっかり声が漏れそうになり、慌てて口元を押さえる。
ファットガム事務所でたこ焼きを食べた日をきっかけに、スーパーで鮮魚コーナーのタコを見る度にサンイーターさん……もとい環君のことが頭を過るようになった。
控えめで、もじもじとして、どこか頼りなさそうな彼の姿。
だけど、事務所にインターンで来ているくらいなんだから、きっと強いのだろう。
ただ、戦っている姿を想像しようとしても、どうしてもびくびくと建物の影に隠れる彼の姿しか想像できなかった。
「ふふっ……」
その妄想に、つい笑いが溢れる。
彼とはあれ以来会っていないけれど、元気にしているだろうか。
また、タコと追いかけっこをしていたり。
それかファットガムさんと仲良くたこ焼きを食べていたり。
……考えているだけで、胃袋がたこ焼きを欲してきた。
せっかくだし、今日の夕飯はたこ焼きにしようかな。
確かキッチンの棚の奥底にいつか使うかもと用意していたたこ焼き器があったはず。
そうと決まれば……。
私は生タコ、ではなく、ボイル済みのカットされたタコのパックに手を伸ばそうとした。
すると、同じパック目掛けて、隣からも手が伸びてきた。
「「あっ……」」
声が重なり、思わず隣を見やる。
そこに立っていたのは、優しげな目とたれ気味の黒髪。
「た……環君?」
彼も驚いたように目を見開き、そして、すぐに視線を落としておろおろと手を引っ込めた。
「●●さん!?」
しどろもどろになりながらも、ちゃんと私の名前を憶えてくれていたらしい。
そのことが、なんだか嬉しかった。
「す、す、すみません!●●さんのタコでしたか!あ、あの……」
どうぞ、と環君は差し出してきた。
「私こそごめんね。私は他のタコでも大丈夫だよ」
環君は差し出しかけた手を慌てて引っ込めて、何度も首を振った。
「い、いや、僕も…他のタコで……大丈夫、です」
2人して、なぜか遠慮しあいながら、お互いタコのパックを譲り合う。
「あははっ、これじゃあ切りが無いね」
思わず笑ってしまった。
「じゃあ、遠慮なく貰おうかな」
環君の手からタコのパックを受け取ると、彼は満足そうに微笑んだ。
「ところで、今日もお使い?」
「あ、はい……生ダコだとまた逃がすかもしれないって……。今日はボイルのものを……」
それが良い。
生だと調理が大変だし、何より腕に吸盤が貼り付こうものなら、中々取れない。
おまけに結構痛い。
「●●さんも今晩はたこ焼きですか?」
「うん、そうよ」
タコをみていたら、アナタを思い出したから、とは口が裂けても言えないけど。
「そ、そうですか……。それなら、よければまた────」
環君が何かを言いかけたそのとき、店の奥から突然爆発音が響いた。
スーパーで必要なものをかごに入れて、ふと海鮮コーナーの前を通りかかる。
その瞬間、ディスプレイ用に水槽の中で泳いでいる生ダコと目が合った。
「……あっ!」
うっかり声が漏れそうになり、慌てて口元を押さえる。
ファットガム事務所でたこ焼きを食べた日をきっかけに、スーパーで鮮魚コーナーのタコを見る度にサンイーターさん……もとい環君のことが頭を過るようになった。
控えめで、もじもじとして、どこか頼りなさそうな彼の姿。
だけど、事務所にインターンで来ているくらいなんだから、きっと強いのだろう。
ただ、戦っている姿を想像しようとしても、どうしてもびくびくと建物の影に隠れる彼の姿しか想像できなかった。
「ふふっ……」
その妄想に、つい笑いが溢れる。
彼とはあれ以来会っていないけれど、元気にしているだろうか。
また、タコと追いかけっこをしていたり。
それかファットガムさんと仲良くたこ焼きを食べていたり。
……考えているだけで、胃袋がたこ焼きを欲してきた。
せっかくだし、今日の夕飯はたこ焼きにしようかな。
確かキッチンの棚の奥底にいつか使うかもと用意していたたこ焼き器があったはず。
そうと決まれば……。
私は生タコ、ではなく、ボイル済みのカットされたタコのパックに手を伸ばそうとした。
すると、同じパック目掛けて、隣からも手が伸びてきた。
「「あっ……」」
声が重なり、思わず隣を見やる。
そこに立っていたのは、優しげな目とたれ気味の黒髪。
「た……環君?」
彼も驚いたように目を見開き、そして、すぐに視線を落としておろおろと手を引っ込めた。
「●●さん!?」
しどろもどろになりながらも、ちゃんと私の名前を憶えてくれていたらしい。
そのことが、なんだか嬉しかった。
「す、す、すみません!●●さんのタコでしたか!あ、あの……」
どうぞ、と環君は差し出してきた。
「私こそごめんね。私は他のタコでも大丈夫だよ」
環君は差し出しかけた手を慌てて引っ込めて、何度も首を振った。
「い、いや、僕も…他のタコで……大丈夫、です」
2人して、なぜか遠慮しあいながら、お互いタコのパックを譲り合う。
「あははっ、これじゃあ切りが無いね」
思わず笑ってしまった。
「じゃあ、遠慮なく貰おうかな」
環君の手からタコのパックを受け取ると、彼は満足そうに微笑んだ。
「ところで、今日もお使い?」
「あ、はい……生ダコだとまた逃がすかもしれないって……。今日はボイルのものを……」
それが良い。
生だと調理が大変だし、何より腕に吸盤が貼り付こうものなら、中々取れない。
おまけに結構痛い。
「●●さんも今晩はたこ焼きですか?」
「うん、そうよ」
タコをみていたら、アナタを思い出したから、とは口が裂けても言えないけど。
「そ、そうですか……。それなら、よければまた────」
環君が何かを言いかけたそのとき、店の奥から突然爆発音が響いた。
