太陽とひまわり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜太陽とひまわり〜
夏休み前のある朝、登校の準備をしながら何気なくテレビを点けると、流れていたのは「今年の夏休みに訪れたい!オススメ旅行先特集」だった。
画面いっぱいに広がるのは、目も眩むほどの鮮やかな黄色いひまわり畑。
一面の花々が、強い日差しを浴びてキラキラと輝いている。
“ひまわりは、太陽の動きに合わせて花や葉の向きを変える性質を持っているんですよ〜”
画面の中から明るいレポーターの声が耳に入ってくる。
そんな小さな豆知識を頭の隅に入れつつ、私は家を出た。
……。
…………。
通い慣れた校舎に入ると、クラスメイトの賑やかな話し声が聞こえてくる。
教室のドアを開け、自分の席へと視線をやった瞬間、私の胸は一瞬ドキリと跳ねた。
見知らぬ男子生徒が、堂々と私の席に座っている。
「あれ……?」
だけど、すぐに思い出した。
昨日席替えをしたばかりだったことに。
私は胸のざわつきをなんとか落ち着かせ、平静を装って新しい自分の席へと向かう。
「◯◯さん、おはよう!」
席に着いて早々声をかけてきたのは、新しい席の隣になった日向君だった。
「……おはよう」
朝から元気いっぱいの彼は、まるで太陽みたいに眩しい。
話すだけでこっちの元気が吸い取られてしまうようで、なんだか疲れてしまう。
「◯◯さんって課題やってきた?!」
「まあ、一応……」
「良かったら、写させてくれない?」
「えぇ……」
彼の授業態度は、目に余るものがあった。
授業中、船を漕いでいるのを見かけることは日常茶飯事。
当てられても答えられないことも少なくない。
その揚げ句に、何の苦労もなく、易々と答えを写そうとする考えに、私はうんざりした。
私だって、昨夜は頭を抱えながら、参考書とにらめっこしてやっと解いたのに。
正直に言って、絶対に貸したくない。
その思いが顔に出ていたのか、私が渋っていると、彼は焦ったように身を乗り出してきた。
「やってはみたけど、全然分からなくて……。だから、お願いします!」
日向君はまたもや、周りの迷惑も考えず大きな声で、両手を合わせ、大袈裟に頭を下げて頼み込んできた。
そのせいで、教室内で身支度をしていた生徒たちの視線が、一斉にこちらに集まってくる。
勘弁して欲しい。
目立ちたくない。
「分かったから静かにして」
私はため息混じりに答えた。
「本当?!ありがとう!」
日向君は、花が開いたように満面の笑みを浮かべる。
「だから、静かにしてって」
「ごめん!」
本当に分かったのだろうか。
私は諦めと若干の怒りが混じった感情を抱えながら、ノートを彼に貸した。
受け取るや否や、日向君は急いで私の答えを書き写し始める。
その様子を上から覗き込むと、彼のノートはほとんどが白いままだった。
本当にやる努力をしてきたのだろうか……。
喉の奥まで出かかった不満を飲み込む。
昨日席替えしたばかりだというのに、もう既にこの席から逃げ出したい。
そんなネガティブな気持ちを抱きながら、私はただ、日向君が答えを写し終えるのをじっと待った。
1/4ページ
