〜第二章〜 偽りの好意
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〜第二章〜 偽りの好意
「何で男の子の姿なの?!」
待ち合わせ場所に着くなり、ミリオは両手を広げて大袈裟に嘆いてみせた。
「何でって言われても……」
先日のショッピングモール襲来の件で私の個性『性転換』がミリオに知られてしまい、私が女だと言うことがバレてしまった。
そのおかげで、私たちは晴れて恋人という関係になった……はずなのに。
10年以上も男の子の姿で彼と接してきた私にとって、急に女の子の姿で彼と向き合うのは、気恥ずかしかった。
だから、結局今日も私は慣れ親しんだ男の子の姿でここに来ている。
「●●ちゃんは学校ではスカートを履いているんだよね?!」
「そうだよ」
だって、制服がスカートだもん。
「私生活でも女の子の姿なんだよね?!」
「そうだよ」
だって、常に個性発動させるなんて疲れるもん。
「じゃあ、なんで俺の前だけ!!尚更意味が分からないよ!!」
「男の子の姿の私は嫌いなの?」
わざと、少しだけ上目遣いで、困ったような声を出す。
強気で質問攻めにしてきていたミリオは、その瞬間言葉を詰まらせ、途端にしゅん、と肩を落とした。
「そんな聞き方はズルいよ」
確信犯だ。
ミリオが私のこの姿を嫌いなはずがない。
だって彼は、この姿の私を好きになって、悩んで、その上で大切に想ってくれていたのだから。
そんなミリオと今日は、先日のお買い物のリベンジだ。
あの日のモールはまだ半壊状態で立ち入れないため、私たちは別のショッピングモールへと向かって歩き出した。
その道中のことだった。
「おー、アンタは」
前方から、大きな荷物を担いだおばあちゃんがミリオに話しかけてきた。
「おばあちゃん。また重そうな荷物を持って……。手伝うよ」
ミリオは迷うことなく歩み寄り、おばあちゃんの荷物に手をかけようとした。
その手慣れた様子から、彼が以前も同じように彼女を助けたことが容易に想像できた。
「いやぁ、悪いねぇ。でも、孫がもうすぐ車で来てくれるから、大丈夫じゃよ」
「それなら安心だ!でも、困ったことがあったら、いつでも俺に言ってね!」
「ありがとさん、優しい子だねぇ」
別れ際、ふと後ろを振り返ると、おばあちゃんの言っていた通り、男性が駆け寄って荷物を受け取っていた。
お孫だろうか。
そんな微笑ましい光景を眺めていると、今度は反対側から小さな影が走ってきた。
「お兄ちゃん!この間はありがとう」
ピンクの風船を持った、ツインテールの小さな女の子だ。
「なっちゃん。今度はしっかり風船を離さないように持ってるんだよ?」
ミリオは優しく少女の頭を撫でる。
「うん、分かった!」
少女はしっかりと握りしめた風船をミリオに見せてから、少し離れたところで待っている母親らしい人のところへと走っていった。
「モテるね、ミリオは。なんていうか、善意が歩いているみたい」
「え?!そんなんじゃないよ」
合流してからまだ数分。
それほど距離も歩いていないというのに、ミリオは次から次へと街の人々に声をかけられる。
さすが、ヒーローを目指す人は違うね。
彼の優しさを再確認すると同時に、独占したいと思私のささやかな欲求が生まれた。
