〜第一章〜 偽りの性別
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「んっ……っ」
重い瞼を開けると、目の前には逞しい胸板が広がっていた。
全裸のミリオに抱きかかえられていることに気付き、心臓が跳ねた。
それと同時に深い安堵が込み上げる。
よかった、無事だったんだね。
「ミリオ………あ、」
その瞬間、自分の喉から漏れた音に凍りついた。
意識を失っていたせいで個性が解け、声帯も、骨格も、完全に女の子に戻ってしまっている。
今さら声を低くして誤魔化すべきか。
だけど、そんな付け焼き刃の演技など、今の華奢な体つきの前では無意味だと悟る。
「本当の声、可愛いんだね」
ミリオが、優しく、慈しむような眼差しで私を見つめていた。
ダメだ、もう誤魔化せない。
私は震える唇を噛み締め、震える声で真実を口にした。
「今まで嘘を吐いていてごめん。今の姿が本当の私なの」
「……」
ミリオは黙り込み、私をじっと見つめている。
当然だ。
幻滅しただろう。
呆れただろう。
10年以上も1番近くにいた親友が、性別というあまりにも大きな嘘を吐いていたのだから。
どんなに責められても、軽蔑されても、受け入れる覚悟はできていた。
さあ、何でも思いの丈をぶつけていいよ。
それなのに、返ってきた言葉は意外なものだった。
「よかったー!」
悲鳴に近いほどの歓喜の声。
「……えっ?よかった?」
「俺、恋愛対象が男だと思って悩んでいたから」
「どう言うこと?」
「あ、恋愛対象が男って言っても◯◯以外の男には全くドキドキしないのね。だから◯◯限定だと思うんだけど」
ミリオは私の肩を掴み、顔を近付けた。
その瞳には、嘘偽りのない喜びが溢れている。
「俺が女の子、もしくは◯◯が女の子なら良かったのにーって何度思ったことか」
頭が追いつかない。
パニックになる私を置いて、ミリオは一気にまくしたてた。
「だから、せめてずっと親友でいようって決めていたから、◯◯が女の子ですっごく嬉しい!奇跡みたいだ!」
「ミリオ……」
溢れそうになる涙を堪える私を見て、彼はふっと真剣な表情を浮かべた。
「俺も◯◯のことを下の名前で呼びたい」
それは、先程まで自分の恋愛対象について熱く語っていたミリオではなく、1人の男としての、真っ直ぐな眼差しだった。
「名前、聞かせてくれない?」
もう教えてもいいんだ。
隠さなくてもいいんだ。
やっとミリオに私の名前を呼んでもらえる。
「●●………私の名前は●●」
「●●ちゃんか!●●ちゃん……。良い名前だね!」
ミリオは噛み締めるように、何度も、愛おしそうに私の名前を呼んだ。
そして、乱れた金髪をかき上げ、改めて姿勢を正す。
「改めまして、●●ちゃん。俺は●●ちゃんのことが好きです。良かったら俺と付き合って下さい!」
視界が、涙で滲んでいく。
名前を呼んでもらえただけでも、奇跡だと思ったのに。
私の偽りすらも、彼は受け入れてくれた。
答えなんて、ずっと昔から決まっていた。
「……もちろんっ!」
瓦礫に囲まれた、お世辞にもロマンチックとは言えない場所だけれど、私にとっては最高のシチュエーションだった。
ーーFinーー
重い瞼を開けると、目の前には逞しい胸板が広がっていた。
全裸のミリオに抱きかかえられていることに気付き、心臓が跳ねた。
それと同時に深い安堵が込み上げる。
よかった、無事だったんだね。
「ミリオ………あ、」
その瞬間、自分の喉から漏れた音に凍りついた。
意識を失っていたせいで個性が解け、声帯も、骨格も、完全に女の子に戻ってしまっている。
今さら声を低くして誤魔化すべきか。
だけど、そんな付け焼き刃の演技など、今の華奢な体つきの前では無意味だと悟る。
「本当の声、可愛いんだね」
ミリオが、優しく、慈しむような眼差しで私を見つめていた。
ダメだ、もう誤魔化せない。
私は震える唇を噛み締め、震える声で真実を口にした。
「今まで嘘を吐いていてごめん。今の姿が本当の私なの」
「……」
ミリオは黙り込み、私をじっと見つめている。
当然だ。
幻滅しただろう。
呆れただろう。
10年以上も1番近くにいた親友が、性別というあまりにも大きな嘘を吐いていたのだから。
どんなに責められても、軽蔑されても、受け入れる覚悟はできていた。
さあ、何でも思いの丈をぶつけていいよ。
それなのに、返ってきた言葉は意外なものだった。
「よかったー!」
悲鳴に近いほどの歓喜の声。
「……えっ?よかった?」
「俺、恋愛対象が男だと思って悩んでいたから」
「どう言うこと?」
「あ、恋愛対象が男って言っても◯◯以外の男には全くドキドキしないのね。だから◯◯限定だと思うんだけど」
ミリオは私の肩を掴み、顔を近付けた。
その瞳には、嘘偽りのない喜びが溢れている。
「俺が女の子、もしくは◯◯が女の子なら良かったのにーって何度思ったことか」
頭が追いつかない。
パニックになる私を置いて、ミリオは一気にまくしたてた。
「だから、せめてずっと親友でいようって決めていたから、◯◯が女の子ですっごく嬉しい!奇跡みたいだ!」
「ミリオ……」
溢れそうになる涙を堪える私を見て、彼はふっと真剣な表情を浮かべた。
「俺も◯◯のことを下の名前で呼びたい」
それは、先程まで自分の恋愛対象について熱く語っていたミリオではなく、1人の男としての、真っ直ぐな眼差しだった。
「名前、聞かせてくれない?」
もう教えてもいいんだ。
隠さなくてもいいんだ。
やっとミリオに私の名前を呼んでもらえる。
「●●………私の名前は●●」
「●●ちゃんか!●●ちゃん……。良い名前だね!」
ミリオは噛み締めるように、何度も、愛おしそうに私の名前を呼んだ。
そして、乱れた金髪をかき上げ、改めて姿勢を正す。
「改めまして、●●ちゃん。俺は●●ちゃんのことが好きです。良かったら俺と付き合って下さい!」
視界が、涙で滲んでいく。
名前を呼んでもらえただけでも、奇跡だと思ったのに。
私の偽りすらも、彼は受け入れてくれた。
答えなんて、ずっと昔から決まっていた。
「……もちろんっ!」
瓦礫に囲まれた、お世辞にもロマンチックとは言えない場所だけれど、私にとっては最高のシチュエーションだった。
ーーFinーー
