〜第一章〜 偽りの性別
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あれから10年以上が経った。
幼かった私たちは高校生になり、関係性も近所の遊び相手から親友へと変わった。
何でも話せるし、何でも分かち合える。
ただ1つ、私が女の子であること以外は。
そのうち言えばいい、いつか、タイミングが来たら。
そう自分に言い聞かせているうちに、ズルズルと月日だけが積み重なり、今更打ち明けるには高すぎる壁が出来上がってしまった。
だから、個性を完璧に制御できるようになった今でも、私はミリオと会う時は必ず男の子の姿になる。
幸い、通っている学校は別々だ。
女子高生としての私の日常を、彼に知られる心配はない。
「お!◯◯!遅いぞー!」
待ち合わせ場所の広場に着くと、人混みの中でも一際目立つ明るい声が響いた。
相変わらず、下の名前は教えていない。それでも彼は、出会った頃と同じように親しげに苗字で呼んでくれる。
「ごめん、ごめん」
今日はミリオに誘われて、大型ショッピングモールへやってきた。
ショーウィンドウに、並んで歩く2人の姿が映る。
ガッシリとした体格のミリオと、それに劣らない骨格を作った私。
女の子の姿のままだったら、デートに見えたのかな……。
一瞬だけ頭をよぎった空想を、慌てて心の奥に押し込める。
これだけ長い年月を共に過ごして、太陽のように明るく、誰に対しても真っ直ぐな彼に惹かれないなんて、無理な話だった。
だけど、ミリオにとっての私は、あくまで気の置けない男友達の1人に過ぎない。
その事実が、時折胸に刺さる。
「今日は何を買いたいの?」
「服を見たくてね!」
「いつも直ぐに脱いじゃうのに?」
「もうそんなヘマは滅多にしないよ!」
滅多にってことは、たまにするんだ。
「ふふっ、やっぱりミリオは面白いね」
「今、笑うところだったかなー?」
おどけて見せる私に、ミリオは大真面目に首を傾げている。
その仕草すら愛おしくて、私はまた、隠し事の罪悪感を笑いで誤魔化した。
「あっ!ここの服屋に入ってみたい!」
ミリオが少年のような足取りで入店し、私も一歩遅れてその後に続く。
店内にはトレンドのメンズ服が並んでいた。
彼は迷う様子もなく2着のシャツを手に取ると、私の目の前に突き出した。
「これと、こっちならどっちがいい?」
ミリオよ、それは彼女が彼氏にする定番な質問だよ。
苦笑いが漏れそうになる。
女性相手なら「どっちでもいい」なんて言えば角が立つだろうが、相手が私なら、彼は素直に意見を受け入れてくれるだろう。
「今日のパンツにはこっちの方が似合うんじゃない?」
私は友人として、けれど密かに自分好みの方を指差した。
「分かった!◯◯の選んだ方にするよ!」
ミリオはパッと顔を輝かせ、そのままレジへと向かった。
迷いのないその背中を見つめながら、不意に嫌な予感が胸をかすめる。
あんなに嬉しそうにして……もしかして、誰かとデートに着ていく服なのかな?
ミリオの好きな人。
片思いの相手。
あるいは、気になっている誰か。
私が選んだ服を着て、彼は私じゃない誰かに会いに行くのだろうか。
ちょっと……いや、かなり嫌かも。
零れそうになった本音を、口の中で飲み込む。
そんなことを考えているなんて知らず、会計を済ませてショップバッグを手にしたミリオが来た。
「お待たせ!」
「ううん。せっかくだし、パンツも見てみる?選ぶよ」
「本当に?助かる!」
本心を隠して良い人のフリをする私も大概だ。
幼かった私たちは高校生になり、関係性も近所の遊び相手から親友へと変わった。
何でも話せるし、何でも分かち合える。
ただ1つ、私が女の子であること以外は。
そのうち言えばいい、いつか、タイミングが来たら。
そう自分に言い聞かせているうちに、ズルズルと月日だけが積み重なり、今更打ち明けるには高すぎる壁が出来上がってしまった。
だから、個性を完璧に制御できるようになった今でも、私はミリオと会う時は必ず男の子の姿になる。
幸い、通っている学校は別々だ。
女子高生としての私の日常を、彼に知られる心配はない。
「お!◯◯!遅いぞー!」
待ち合わせ場所の広場に着くと、人混みの中でも一際目立つ明るい声が響いた。
相変わらず、下の名前は教えていない。それでも彼は、出会った頃と同じように親しげに苗字で呼んでくれる。
「ごめん、ごめん」
今日はミリオに誘われて、大型ショッピングモールへやってきた。
ショーウィンドウに、並んで歩く2人の姿が映る。
ガッシリとした体格のミリオと、それに劣らない骨格を作った私。
女の子の姿のままだったら、デートに見えたのかな……。
一瞬だけ頭をよぎった空想を、慌てて心の奥に押し込める。
これだけ長い年月を共に過ごして、太陽のように明るく、誰に対しても真っ直ぐな彼に惹かれないなんて、無理な話だった。
だけど、ミリオにとっての私は、あくまで気の置けない男友達の1人に過ぎない。
その事実が、時折胸に刺さる。
「今日は何を買いたいの?」
「服を見たくてね!」
「いつも直ぐに脱いじゃうのに?」
「もうそんなヘマは滅多にしないよ!」
滅多にってことは、たまにするんだ。
「ふふっ、やっぱりミリオは面白いね」
「今、笑うところだったかなー?」
おどけて見せる私に、ミリオは大真面目に首を傾げている。
その仕草すら愛おしくて、私はまた、隠し事の罪悪感を笑いで誤魔化した。
「あっ!ここの服屋に入ってみたい!」
ミリオが少年のような足取りで入店し、私も一歩遅れてその後に続く。
店内にはトレンドのメンズ服が並んでいた。
彼は迷う様子もなく2着のシャツを手に取ると、私の目の前に突き出した。
「これと、こっちならどっちがいい?」
ミリオよ、それは彼女が彼氏にする定番な質問だよ。
苦笑いが漏れそうになる。
女性相手なら「どっちでもいい」なんて言えば角が立つだろうが、相手が私なら、彼は素直に意見を受け入れてくれるだろう。
「今日のパンツにはこっちの方が似合うんじゃない?」
私は友人として、けれど密かに自分好みの方を指差した。
「分かった!◯◯の選んだ方にするよ!」
ミリオはパッと顔を輝かせ、そのままレジへと向かった。
迷いのないその背中を見つめながら、不意に嫌な予感が胸をかすめる。
あんなに嬉しそうにして……もしかして、誰かとデートに着ていく服なのかな?
ミリオの好きな人。
片思いの相手。
あるいは、気になっている誰か。
私が選んだ服を着て、彼は私じゃない誰かに会いに行くのだろうか。
ちょっと……いや、かなり嫌かも。
零れそうになった本音を、口の中で飲み込む。
そんなことを考えているなんて知らず、会計を済ませてショップバッグを手にしたミリオが来た。
「お待たせ!」
「ううん。せっかくだし、パンツも見てみる?選ぶよ」
「本当に?助かる!」
本心を隠して良い人のフリをする私も大概だ。
