〜第一章〜 偽りの性別
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〜第一章〜 偽りの性別
私は5歳までは女の子だった。
正確には高校生になった今でも女の子だけど。
そんな曖昧な言い方をするのには私の個性が関係している。
個性『性転換』。
主軸は女の子だけど、個性を使って男の子にもなれる。
骨格、声帯、筋肉量全てにおいて。
うまく使いこなせなかった幼少期は本当に苦労した。
戻りたくても中々女の子に戻れなくて、しばらく男の子の姿で過ごしたことも。
だから使いこなせるようになるまでは、基本的にはズボンを履いて、髪も短髪。
中性的な服装を心がけた。
お陰で
あの頃は本当につらかったなー。
だけど、そんな頃に一人だけ優しくしてくれた子がいた。
それは男の子の姿から戻れなくて公園で泣いていたときのこと─────。
「……っ……うっ……」
「ねぇ、君!」
「?」
呼ばれた方を向くと私と同じくらいの年頃の男の子。
金髪に青い瞳、ふざけたような顔。
「僕はミリオ!何泣いているんだい!坊や!」
「えっ?」
自分だって坊やじゃん。
そう思ったのに、
「友達に個性でからかわれたの」
なんて素直に話してしまう私。
「君はどんな個性なんだい!」
「いいたくない」
だって言ったらアナタも私を男女って言うに決まっている。
「そうか!それなら面白いもの見せてあげる!」
「面白いもの?」
「うん!」
そう言ってミリオ君はうーんっと唸りだしたかと思えば、気付いたら真っ裸になった。
足元には先程まで着ていた服が散らばっている。
「………きゃっ!」
私は急いで視界を手で隠した。
「いや〜ごめんごめん!まだ上手く扱えないんだ!」
真っ裸になることが面白いこと?
個性を使ってそうなったの?
変な子だ。
「ふふっ」
だけど、自然と笑みが溢れていた。
「笑ってくれた!変なものを見せちゃってごめん!だけど男同士だから問題ないよね?」
なんて、嬉しそうに言いながら落ちた服を拾って着替えるミリオ君。
益々女だって言えなくなってしまった。
「そう言えば名前聞いていなかったよね?」
「あー……」
そう思った矢先に……。
「◯◯」
名字でいいかな?
「なんで名字なのさ!まあいいけどね!もし悲しいことがあっても、僕が君を笑わせるから!これからもよろしく◯◯君!」
これが私とミリオの出会い。
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