〜第二章〜 ズボラでも見捨てないで
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次の日も、またその次の日も飲みに誘われたり、会食があったりと京治君の作り置きに手を付けることはなかった。
そうこうしているうちにやってきた休日。
時刻はお昼過ぎ。
ごみ袋は相変わらず出していない。
そんなごみ屋敷1歩手前の状態の部屋で目を覚ますと、最初にやってきた空腹。
「お腹空いた……」
のそのそと起き上がり冷蔵庫を開けると、中身の入ったタッパーが寂しそうにこちらを見ていた。
最初に見つけたときと比べると、多少変色もしている。
「さすがに、そろそろ食べないとマズイよね……」
遅めのお昼ご飯を食べるため、お皿にタッパーの中身を少しずつ取り分けてレンジで温める。
チンッと音がして、温かいそれをリビングまで運ぶ。
手を合わせてから、私は恐る恐るそれに口を付けた。
「うん……大丈夫そう」
色は多少アレだけれど、食べてみるといつも京治君が作る料理の味だった。
やっぱり京治君のご飯は美味しいな……。
だけど、さすがに量が多いから、タッパーに入った残りは今日の夕食と明日の朝に回そう。
お昼過ぎまで寝ていたのに、お腹がいっぱいになったら、なんだか眠たくなってきた。
休みの日なんだしいいよね。
洗い物もせず、そのまま座椅子にもたれ掛かる形で目を閉じた。
……。
…………。
ピンポーン
インターフォンの音で目が覚めた。
窓の外は真っ暗。
思っていたより寝てしまったようだ。
目を擦りながら玄関へ向かうと、鍵をガチャガチャと開けようとする音がしている。
「えっ……」
こんなことが出来るのは合鍵を渡した京治君だけだけど、彼は今日バイトのはず。
そうなると不審者?
何か武器になりそうな物はないか。
野球のバッド……ゴルフのドライバー……当たり前だけれどそんなものはない。
わたわたとしている間に鍵が開けられた。
「……!?」
苦肉の策で転がっているごみ袋の後ろに咄嗟に隠れた。
ドアが開く音がして、コツコツと足音が聞こえ始めた。
近付いてくる足音に心臓がバクバクする。
呼吸を押し殺すように手で口を塞いでいると、ひょいっとごみ袋が退けられた。
「●●さん、そんなところで何しているんですか?」
「け、京治君?!」
安堵からか一気に緊張が解けた。
しばらく見つめ合ったあと、京治君は口を開いた。
「散々ごみ捨てるように言ったのに」
「ごめんごめん。ところで今日バイトだったんじゃなかった?」
「一応連絡したんですけど……。手違いでシフトがブッキングしたのでなくなりました。それより夜ご飯済ませましたか?何か作ります」
京治君はそう言うとおもむろに冷蔵庫に手を掛けた。
「あっ……待っ」
「……」
止めようとした時には遅く、中身を見られてしまった。
京治君が作ってくれた作り置きのタッパーを。
そのどれもが結構な量が残っている。
「●●さん……」
「ごめん!ちょっとご飯誘われたり会食があって食べられなかったんだけど、今日明日で食べようと思っていたの!」
飲み会も会食も嘘ではない。
ただ、断ろうと思えば断れた。
その事実を隠し、両手を合わせて謝った。
それでも京治君ならなんだかんだ許してくれる。
仕方がないですね、って。
だけど、今日は違った。
「俺、まだ学生なんで社会人の食事の付き合いとかよく分かりませんが、さすがにこの量は……」
京治君の思い掛けない言葉に、自分の家なのに居心地が悪くなる。
「何も夜じゃなくて弁当箱に詰めてお昼に食べるとか……。それとも俺が作ったおかずを持って行くのが恥ずかしいんですか?」
京治君の声色がどんどん低くなっていく。
私は慌てて否定した。
「そんなことはないよ!」
だけど、現におかずは残っているワケで、説得力はない。
「俺が好きで料理したくて材料買ってきているので、お金を請求するつもりは微塵もありません。だけど、それでもやるせない気持ちになるというか……」
京治君は複雑そうな表情をして俯いた。
今の私には謝ることしか出来ない。
「本当にごめんなさい」
頭を下げながら言った。
だけど、
「今は●●さんの顔見たくないです……。すみません……」
玄関の方へ翻す京治君。
「待って……!!」
引き止めるために咄嗟に腕を掴んだけれど、振り払われてしまった。
これは拒絶だ。
京治君は振り返ることなく出ていった。
ドアの閉まる音がやけに大きく響く。
私は1人呆然と立ち尽くすしかなかった。
そうこうしているうちにやってきた休日。
時刻はお昼過ぎ。
ごみ袋は相変わらず出していない。
そんなごみ屋敷1歩手前の状態の部屋で目を覚ますと、最初にやってきた空腹。
「お腹空いた……」
のそのそと起き上がり冷蔵庫を開けると、中身の入ったタッパーが寂しそうにこちらを見ていた。
最初に見つけたときと比べると、多少変色もしている。
「さすがに、そろそろ食べないとマズイよね……」
遅めのお昼ご飯を食べるため、お皿にタッパーの中身を少しずつ取り分けてレンジで温める。
チンッと音がして、温かいそれをリビングまで運ぶ。
手を合わせてから、私は恐る恐るそれに口を付けた。
「うん……大丈夫そう」
色は多少アレだけれど、食べてみるといつも京治君が作る料理の味だった。
やっぱり京治君のご飯は美味しいな……。
だけど、さすがに量が多いから、タッパーに入った残りは今日の夕食と明日の朝に回そう。
お昼過ぎまで寝ていたのに、お腹がいっぱいになったら、なんだか眠たくなってきた。
休みの日なんだしいいよね。
洗い物もせず、そのまま座椅子にもたれ掛かる形で目を閉じた。
……。
…………。
ピンポーン
インターフォンの音で目が覚めた。
窓の外は真っ暗。
思っていたより寝てしまったようだ。
目を擦りながら玄関へ向かうと、鍵をガチャガチャと開けようとする音がしている。
「えっ……」
こんなことが出来るのは合鍵を渡した京治君だけだけど、彼は今日バイトのはず。
そうなると不審者?
何か武器になりそうな物はないか。
野球のバッド……ゴルフのドライバー……当たり前だけれどそんなものはない。
わたわたとしている間に鍵が開けられた。
「……!?」
苦肉の策で転がっているごみ袋の後ろに咄嗟に隠れた。
ドアが開く音がして、コツコツと足音が聞こえ始めた。
近付いてくる足音に心臓がバクバクする。
呼吸を押し殺すように手で口を塞いでいると、ひょいっとごみ袋が退けられた。
「●●さん、そんなところで何しているんですか?」
「け、京治君?!」
安堵からか一気に緊張が解けた。
しばらく見つめ合ったあと、京治君は口を開いた。
「散々ごみ捨てるように言ったのに」
「ごめんごめん。ところで今日バイトだったんじゃなかった?」
「一応連絡したんですけど……。手違いでシフトがブッキングしたのでなくなりました。それより夜ご飯済ませましたか?何か作ります」
京治君はそう言うとおもむろに冷蔵庫に手を掛けた。
「あっ……待っ」
「……」
止めようとした時には遅く、中身を見られてしまった。
京治君が作ってくれた作り置きのタッパーを。
そのどれもが結構な量が残っている。
「●●さん……」
「ごめん!ちょっとご飯誘われたり会食があって食べられなかったんだけど、今日明日で食べようと思っていたの!」
飲み会も会食も嘘ではない。
ただ、断ろうと思えば断れた。
その事実を隠し、両手を合わせて謝った。
それでも京治君ならなんだかんだ許してくれる。
仕方がないですね、って。
だけど、今日は違った。
「俺、まだ学生なんで社会人の食事の付き合いとかよく分かりませんが、さすがにこの量は……」
京治君の思い掛けない言葉に、自分の家なのに居心地が悪くなる。
「何も夜じゃなくて弁当箱に詰めてお昼に食べるとか……。それとも俺が作ったおかずを持って行くのが恥ずかしいんですか?」
京治君の声色がどんどん低くなっていく。
私は慌てて否定した。
「そんなことはないよ!」
だけど、現におかずは残っているワケで、説得力はない。
「俺が好きで料理したくて材料買ってきているので、お金を請求するつもりは微塵もありません。だけど、それでもやるせない気持ちになるというか……」
京治君は複雑そうな表情をして俯いた。
今の私には謝ることしか出来ない。
「本当にごめんなさい」
頭を下げながら言った。
だけど、
「今は●●さんの顔見たくないです……。すみません……」
玄関の方へ翻す京治君。
「待って……!!」
引き止めるために咄嗟に腕を掴んだけれど、振り払われてしまった。
これは拒絶だ。
京治君は振り返ることなく出ていった。
ドアの閉まる音がやけに大きく響く。
私は1人呆然と立ち尽くすしかなかった。
