〜第二章〜 ズボラでも見捨てないで
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机を拭く作業なんてあっという間に終わるワケで、キッチンから聞こえてくる規則正しい包丁の音に耳を傾けながらぼーっと待っていた。
「……」
ちょっかい掛けてこようかな。
そうと決まれば。
私はスッと立ち上がりキッチンに繋がる扉を開けた。
すると、ふわりと良い香りが漂ってきた。
「●●さん、どうしたんですか?」
京治君は包丁を握る手を止めて、こちらに向く。
「ん〜、何作っているのかなーって」
「もうすぐ出来ますから」
それだけ言うと、京治君は再び視線を手元に戻した。
これじゃあ、腹ペコで待てない子みたいじゃない。
つまらない。
こうなれば……。
私は京治君の背後に立ち、後ろから抱き着いてやった。
彼の背中に顔を埋めると、私とは違う柔軟剤の匂いがする。
それから、ガッチリと逞しい身体。
バレーは高校で辞めたみたいだけれど、鍛えているのか、相変わらず筋肉質だ。
「危ないですよ」
「うん……」
そうは言えど、京治君は無理に私を振り解きはせず、そのままにさせてくれた。
彼が右に移動しようものなら私もくっついて右に動き、彼が左に移動すると私も一緒に動く。
さながら蟹の様だ。
そんな私の奇怪な行動にも、京治君は何も言わない。
だから調子に乗ってしまった。
背伸びをして京治君のうなじを唇で触れる。
すると、彼は少しくすぐったそうにしたかと思えば、
「邪魔するならリビングで待っていてください」
少しだけ威圧的な声色。
これはマズいやつだ。
ただ、スキンシップを取りたかっただけなのに。
「ごめん……」
私はパッと体を離して、言われるがままリビングへと戻った。
そして、大人しく座って待つこと10分。
お盆を持った京治君がリビングにやって来た。
「お待たせしました」
お盆にはご飯、キャベツとミニトマトが添えられた豚の生姜焼き、味噌汁、おまけにきんぴら。
お店で出てくるような定食だった。
「うわ〜美味しそう!」
配膳後、手を合わせていただきますと言うと、彼も一緒に手を合わせた。
先ずは生姜焼きを一口。
肉汁が口一杯に広がって、とても美味しい。
キャベツの千切りもシャクシャクとした歯ごたえが良くて、お肉の脂をリセットしてくれる。
味噌汁も出汁がよく効いていて美味しいし、きんぴらごぼうも絶妙な甘さでご飯が進む。
黙々と食べていると、ハッと思い出した。
京治君、もう怒っていないかな。
様子をうかがうように彼の横顔をチラチラと見ると、それに気が付いた京治君は、
「もう怒っていないですよ」
優しく笑った。
良かった。
その後、食べ終わった私たちは2人仲良く片付け作業をしてから、コーヒーを淹れて一息ついた。
「ご飯作っているとき、ちょっかい掛けてごめんね……。あの……スキンシップ取りたくて……」
コーヒーをすすりながら謝り損ねたことを謝罪した。
今思えば、構って欲しいからちょっかいを掛けていただなんて、子ども染みたことをしてしまった。
これではどちらが年上なのやら。
すると、京治君から意外な返事が返って来た。
「俺の方こそすみません」
「え?」
なんで京治君が謝るの?
「さっきは包丁が危なかったのであんな事を言いましたけど……本当は嬉しかったです」
「京治君!!」
思わず京治君に抱き着いてしまった。
「うわっ!●●さん!コーヒー溢れます!」
さっき危ないから、と言われたところなのに。
だけど、今度は怒られずに京治君は静かにコーヒーを机に置いて抱きしめ返してくれた。
彼の体温を感じながら、この幸せな時間がずっと続きますように、と願った。
「……」
ちょっかい掛けてこようかな。
そうと決まれば。
私はスッと立ち上がりキッチンに繋がる扉を開けた。
すると、ふわりと良い香りが漂ってきた。
「●●さん、どうしたんですか?」
京治君は包丁を握る手を止めて、こちらに向く。
「ん〜、何作っているのかなーって」
「もうすぐ出来ますから」
それだけ言うと、京治君は再び視線を手元に戻した。
これじゃあ、腹ペコで待てない子みたいじゃない。
つまらない。
こうなれば……。
私は京治君の背後に立ち、後ろから抱き着いてやった。
彼の背中に顔を埋めると、私とは違う柔軟剤の匂いがする。
それから、ガッチリと逞しい身体。
バレーは高校で辞めたみたいだけれど、鍛えているのか、相変わらず筋肉質だ。
「危ないですよ」
「うん……」
そうは言えど、京治君は無理に私を振り解きはせず、そのままにさせてくれた。
彼が右に移動しようものなら私もくっついて右に動き、彼が左に移動すると私も一緒に動く。
さながら蟹の様だ。
そんな私の奇怪な行動にも、京治君は何も言わない。
だから調子に乗ってしまった。
背伸びをして京治君のうなじを唇で触れる。
すると、彼は少しくすぐったそうにしたかと思えば、
「邪魔するならリビングで待っていてください」
少しだけ威圧的な声色。
これはマズいやつだ。
ただ、スキンシップを取りたかっただけなのに。
「ごめん……」
私はパッと体を離して、言われるがままリビングへと戻った。
そして、大人しく座って待つこと10分。
お盆を持った京治君がリビングにやって来た。
「お待たせしました」
お盆にはご飯、キャベツとミニトマトが添えられた豚の生姜焼き、味噌汁、おまけにきんぴら。
お店で出てくるような定食だった。
「うわ〜美味しそう!」
配膳後、手を合わせていただきますと言うと、彼も一緒に手を合わせた。
先ずは生姜焼きを一口。
肉汁が口一杯に広がって、とても美味しい。
キャベツの千切りもシャクシャクとした歯ごたえが良くて、お肉の脂をリセットしてくれる。
味噌汁も出汁がよく効いていて美味しいし、きんぴらごぼうも絶妙な甘さでご飯が進む。
黙々と食べていると、ハッと思い出した。
京治君、もう怒っていないかな。
様子をうかがうように彼の横顔をチラチラと見ると、それに気が付いた京治君は、
「もう怒っていないですよ」
優しく笑った。
良かった。
その後、食べ終わった私たちは2人仲良く片付け作業をしてから、コーヒーを淹れて一息ついた。
「ご飯作っているとき、ちょっかい掛けてごめんね……。あの……スキンシップ取りたくて……」
コーヒーをすすりながら謝り損ねたことを謝罪した。
今思えば、構って欲しいからちょっかいを掛けていただなんて、子ども染みたことをしてしまった。
これではどちらが年上なのやら。
すると、京治君から意外な返事が返って来た。
「俺の方こそすみません」
「え?」
なんで京治君が謝るの?
「さっきは包丁が危なかったのであんな事を言いましたけど……本当は嬉しかったです」
「京治君!!」
思わず京治君に抱き着いてしまった。
「うわっ!●●さん!コーヒー溢れます!」
さっき危ないから、と言われたところなのに。
だけど、今度は怒られずに京治君は静かにコーヒーを机に置いて抱きしめ返してくれた。
彼の体温を感じながら、この幸せな時間がずっと続きますように、と願った。
