〜第一章〜 ズボラでも愛して
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帰りの車の中は、驚くほど静寂に包まれていた。
行きよりもずっと長く感じた帰路。
「赤葦君、着いたよ」
彼の家からそれほど遠くない場所に車を停めたけれど、赤葦君は一向に降りる気配がない。
彼はただ俯いている。
「赤葦君?」
再度名前を呼ぶと、彼はゆっくりと顔を上げた。
その視線は、真っ直ぐに私を捉え、一切の迷いがない。
「●●さん、俺は本気です」
思わず息を呑んだ。
彼の表情は、何かを覚悟したような、真剣そのものの眼差しだった。
「あと5年待ってください。社会人になったら、俺と結婚してください」
私の頭の中で、現実の数字が弾かれる。
5年もあれば、アナタには無限の出会いがある。
私より若くて綺麗で、性格の良い女性とたくさん出会えるかもしれない。
赤葦君は私のことを「おばさんだなんて思ったことない」と言ってくれた。
だけど、5年後にも同じことが言えるの?
「その頃には私、アラサーだよ」
自分で言って、その言葉が急に悲しくなる。
「責任取ります」
彼は静かに、しかし力強く言った。
「掃除も料理も苦手だよ」
元カレだって幻滅するほどの、だらしなさだ。
「構いません」
「アラサーの恋愛は重たいよ」
「その方が助かります」
赤葦君は間髪入れずに、すぐに答える。
私に不安を与えないためか、それとも、本当にそれだけ本気なのか。
「やっぱり赤葦君は変人だ」
私はそう言って、力なく笑った。
だけど、断れない私がいる。
何故なら、私だってとっくに、彼の優しさや、真面目さに、恋をしていたのだから。
「そこまで言われたら、仕方ないな〜。こちらこそよろしくお願いします」
私は少し照れ臭くて、頬を掻いた。
その瞬間、急に赤葦君の顔が近付いてきた。
視界を埋め尽くす彼の顔。
チュッ
唇に、柔らかくて暖かい感触。
一瞬だけ触れて、すぐに離れた。
「今日はこれだけにしておきます。おやすみなさい」
そう言って赤葦君は、まるで何事もなかったかのように、サッと車から降りていった。
「……え、今、キスされた?」
キスなんて慣れていると思っていたのに、自分の顔が熱く赤くなっているのが分かった。
外は真冬なのに、車内の空気が一気に春になったようだった。
ーーFinーー
行きよりもずっと長く感じた帰路。
「赤葦君、着いたよ」
彼の家からそれほど遠くない場所に車を停めたけれど、赤葦君は一向に降りる気配がない。
彼はただ俯いている。
「赤葦君?」
再度名前を呼ぶと、彼はゆっくりと顔を上げた。
その視線は、真っ直ぐに私を捉え、一切の迷いがない。
「●●さん、俺は本気です」
思わず息を呑んだ。
彼の表情は、何かを覚悟したような、真剣そのものの眼差しだった。
「あと5年待ってください。社会人になったら、俺と結婚してください」
私の頭の中で、現実の数字が弾かれる。
5年もあれば、アナタには無限の出会いがある。
私より若くて綺麗で、性格の良い女性とたくさん出会えるかもしれない。
赤葦君は私のことを「おばさんだなんて思ったことない」と言ってくれた。
だけど、5年後にも同じことが言えるの?
「その頃には私、アラサーだよ」
自分で言って、その言葉が急に悲しくなる。
「責任取ります」
彼は静かに、しかし力強く言った。
「掃除も料理も苦手だよ」
元カレだって幻滅するほどの、だらしなさだ。
「構いません」
「アラサーの恋愛は重たいよ」
「その方が助かります」
赤葦君は間髪入れずに、すぐに答える。
私に不安を与えないためか、それとも、本当にそれだけ本気なのか。
「やっぱり赤葦君は変人だ」
私はそう言って、力なく笑った。
だけど、断れない私がいる。
何故なら、私だってとっくに、彼の優しさや、真面目さに、恋をしていたのだから。
「そこまで言われたら、仕方ないな〜。こちらこそよろしくお願いします」
私は少し照れ臭くて、頬を掻いた。
その瞬間、急に赤葦君の顔が近付いてきた。
視界を埋め尽くす彼の顔。
チュッ
唇に、柔らかくて暖かい感触。
一瞬だけ触れて、すぐに離れた。
「今日はこれだけにしておきます。おやすみなさい」
そう言って赤葦君は、まるで何事もなかったかのように、サッと車から降りていった。
「……え、今、キスされた?」
キスなんて慣れていると思っていたのに、自分の顔が熱く赤くなっているのが分かった。
外は真冬なのに、車内の空気が一気に春になったようだった。
ーーFinーー
