〜第一章〜 ズボラでも愛して
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ピンポーン
翌朝、チャイムの音と共に私は飛び起きた。
こんな朝早くから誰よ。
宅配便なんか頼んでいたっけ。
まだ頭はぼんやりとしている。
「はいはーい」
眠い目を擦りながら、部屋着姿にひどい寝癖を付けたまま、私はドアを開けた。
そして、そこに立っていたのは、赤葦君だった。
「おはようございます、●●さん。お邪魔します」
いつも玄関モニターで確認するのに、今日に限って忘れていた。
そして、この格好。
なんというだらしない姿で、お礼を言いに来てくれた赤葦君を出迎えてしまったんだ。
彼は傘を返しに来ただけとは思えない、やや大きめの鞄を提げ、私の返事を待たずに静かに部屋に上がってきた。
「傘とタオル、昨日はありがとうございました」
「あ、うん」
されるがまま、私は彼を受け入れた。
そして、遅ればせながら、ようやく焦りを覚えた。
なんで部屋に上がるの?
と、言うか、部屋を片付けていない……。
「部屋汚くてごめんね、あはは……」
私は精一杯の苦笑いを浮かべた。
すると、赤葦君は靴を揃えながら淡々と言った。
「送り届けたときに見ているので、気にしないで下さい」
そう言えばそうだったっけ。
良かった……いや、良くもないか。
安堵していると、赤葦君は服の袖を捲り、鞄からマスク、エプロン、そしてゴム手袋を取り出し、流れるような動作で装着していった。
「何してるの?」
「見ての通り、掃除です」
赤葦君は、ゴム手袋をはめた手を組みながら、冷静に私を見た。
それは分かるけど……。
私が聞きたかったのは、なんで掃除を始めたのか、だった。
「●●さん、言ったじゃないですか。また話を聞いて欲しいって」
「言ったけど……」
「俺、受験生なんですよ。長時間寒い公園の中にいると風邪を引く可能性があるし、ここなら勉強も出来て一石二鳥だと思うんですよ」
話を聞いてほしいと言ったのは私だし、部屋が綺麗になるなら願ったり叶ったり。
だけど、さすがに高校生に部屋の掃除をさせるのは情けない。
私が阻止しようと一歩踏み出した瞬間、彼は私の肩に手を置いた。
「とりあえず掃除を始めたいので、●●さんは顔を洗ってきてください」
「え……ちょっ……!」
有無を言わさぬ力で、私は脱衣所へと押し込まれてしまった。
確かに、まだ顔も洗ってないし、いつまでもこの寝癖をつけた状態は避けたかった……。
ここは素直に甘えさせて貰おう。
蛇口を捻ると、肌に刺さるような冷たい水が勢いよく流れ出てきた。
「うぅ〜!」
目が覚める冷たさだ。
それにしても、昨日一昨日知り合ったばかりの高校生に、ここまで好き放題されていいものなのか。
大人の威厳が、どこにもない。
ふと、脱ぎ散らかして乱雑に落ちている下着の存在を思い出し、私は顔を洗うのを中断した。
急いで寝癖を直し、着替えを済ませてから、私は寝室兼リビングへと急いだ。
「待って、赤葦君!」
「はい、どうかしましたか」
朝起きたときと比べて、部屋はまるで別世界のように見違えるほど綺麗に片付いていた。
「片付いてる……」
呆然とする私に、赤葦君は淡々と報告した。
「ごみは分別しておいたのを玄関に置いておいたので、決められた日に出してください」
「あ、はい」
私が顔を洗い、着替えているわずか数分の間に、ここまで綺麗に片付けができるなんて。
そんなことよりも、私は一番聞きたいことを恐る恐る尋ねた。
「見た?」
「何をですか」
「えっと、そこにあった……」
私が、服の山があった場所を指差すと、赤葦君は冷静に答えた。
「あー、はい。シワが酷いのは洗濯機に入れておきました。それ以外は畳んであります」
見ると、確かにご丁寧に畳まれた服の下に、私の下着類が隠されるように重ねられていた。
淡々としている赤葦君に、私は完全にペースを掻き乱されている。
なんとか冷静を装わなければ。
「そ、そう。ありがとう。良かったらお礼に朝ご飯を作るけど、食べる?」
彼は腕を組み、私のキッチンをチラりと見た。
「栄養ドリンクがたくさんあったので、食材ないかと思いまして、買って来ました」
至れり尽くせり、なんてできる子なの。
じゃなくて、
「食材くらいあります!」
私は勢いよく冷蔵庫を開けた。
中には、お茶、ビール、栄養ドリンク、冷えピタ、そして、申し訳程度の調味料。
私は静かに、冷蔵庫を閉じた。
翌朝、チャイムの音と共に私は飛び起きた。
こんな朝早くから誰よ。
宅配便なんか頼んでいたっけ。
まだ頭はぼんやりとしている。
「はいはーい」
眠い目を擦りながら、部屋着姿にひどい寝癖を付けたまま、私はドアを開けた。
そして、そこに立っていたのは、赤葦君だった。
「おはようございます、●●さん。お邪魔します」
いつも玄関モニターで確認するのに、今日に限って忘れていた。
そして、この格好。
なんというだらしない姿で、お礼を言いに来てくれた赤葦君を出迎えてしまったんだ。
彼は傘を返しに来ただけとは思えない、やや大きめの鞄を提げ、私の返事を待たずに静かに部屋に上がってきた。
「傘とタオル、昨日はありがとうございました」
「あ、うん」
されるがまま、私は彼を受け入れた。
そして、遅ればせながら、ようやく焦りを覚えた。
なんで部屋に上がるの?
と、言うか、部屋を片付けていない……。
「部屋汚くてごめんね、あはは……」
私は精一杯の苦笑いを浮かべた。
すると、赤葦君は靴を揃えながら淡々と言った。
「送り届けたときに見ているので、気にしないで下さい」
そう言えばそうだったっけ。
良かった……いや、良くもないか。
安堵していると、赤葦君は服の袖を捲り、鞄からマスク、エプロン、そしてゴム手袋を取り出し、流れるような動作で装着していった。
「何してるの?」
「見ての通り、掃除です」
赤葦君は、ゴム手袋をはめた手を組みながら、冷静に私を見た。
それは分かるけど……。
私が聞きたかったのは、なんで掃除を始めたのか、だった。
「●●さん、言ったじゃないですか。また話を聞いて欲しいって」
「言ったけど……」
「俺、受験生なんですよ。長時間寒い公園の中にいると風邪を引く可能性があるし、ここなら勉強も出来て一石二鳥だと思うんですよ」
話を聞いてほしいと言ったのは私だし、部屋が綺麗になるなら願ったり叶ったり。
だけど、さすがに高校生に部屋の掃除をさせるのは情けない。
私が阻止しようと一歩踏み出した瞬間、彼は私の肩に手を置いた。
「とりあえず掃除を始めたいので、●●さんは顔を洗ってきてください」
「え……ちょっ……!」
有無を言わさぬ力で、私は脱衣所へと押し込まれてしまった。
確かに、まだ顔も洗ってないし、いつまでもこの寝癖をつけた状態は避けたかった……。
ここは素直に甘えさせて貰おう。
蛇口を捻ると、肌に刺さるような冷たい水が勢いよく流れ出てきた。
「うぅ〜!」
目が覚める冷たさだ。
それにしても、昨日一昨日知り合ったばかりの高校生に、ここまで好き放題されていいものなのか。
大人の威厳が、どこにもない。
ふと、脱ぎ散らかして乱雑に落ちている下着の存在を思い出し、私は顔を洗うのを中断した。
急いで寝癖を直し、着替えを済ませてから、私は寝室兼リビングへと急いだ。
「待って、赤葦君!」
「はい、どうかしましたか」
朝起きたときと比べて、部屋はまるで別世界のように見違えるほど綺麗に片付いていた。
「片付いてる……」
呆然とする私に、赤葦君は淡々と報告した。
「ごみは分別しておいたのを玄関に置いておいたので、決められた日に出してください」
「あ、はい」
私が顔を洗い、着替えているわずか数分の間に、ここまで綺麗に片付けができるなんて。
そんなことよりも、私は一番聞きたいことを恐る恐る尋ねた。
「見た?」
「何をですか」
「えっと、そこにあった……」
私が、服の山があった場所を指差すと、赤葦君は冷静に答えた。
「あー、はい。シワが酷いのは洗濯機に入れておきました。それ以外は畳んであります」
見ると、確かにご丁寧に畳まれた服の下に、私の下着類が隠されるように重ねられていた。
淡々としている赤葦君に、私は完全にペースを掻き乱されている。
なんとか冷静を装わなければ。
「そ、そう。ありがとう。良かったらお礼に朝ご飯を作るけど、食べる?」
彼は腕を組み、私のキッチンをチラりと見た。
「栄養ドリンクがたくさんあったので、食材ないかと思いまして、買って来ました」
至れり尽くせり、なんてできる子なの。
じゃなくて、
「食材くらいあります!」
私は勢いよく冷蔵庫を開けた。
中には、お茶、ビール、栄養ドリンク、冷えピタ、そして、申し訳程度の調味料。
私は静かに、冷蔵庫を閉じた。
