〜第一章〜 ズボラでも愛して
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ピピピピピピピッ
けたたましいアラーム音に、私は飛び起きた。
「申し訳ございません!……あれ?」
声に出して謝罪の言葉を言いかけたところで、ここは自宅のベッドの上だと気付く。身体中が鉛のように重い。
「痛っ」
頭が割れるように痛む。
完全に二日酔いだ。
昨日はあれから、どうやって帰ってきたっけ……?
曖昧な記憶を辿るけれど、公園のベンチでやけ酒をしたところまでが限界で、その後の記憶はひどく曖昧だ。
取りあえず、昨夜のままメイクも落とさず、シワになったスーツを着て寝てしまったみたいだから、先に顔を洗わないと。
重い体を起こすと、視界の隅に、見慣れないものが入った。
「なにこのメモ」
テーブルの上に、私のではない、几帳面で綺麗な字で書かれたメモ書きが置いてある。
“公園で酔い潰れていたので、申し訳ないと思いながら鞄から身元の分かるものを探して家まで送りました。鍵はポストに入れてあります。 赤葦”
「あっ……!」
ようやく、昨夜の出来事と、このメモの主を思い出した。
声を掛けてくれた高校生に、私は八つ当たりをしたのだ。
それなのに、彼は私を家まで送ってくれたなんて。
「てか、この家に入った!?」
私は慌てて部屋を見渡した。
そこには、脱ぎっぱなしの服でできた小さな山、テーブルの上とキッチンには飲んだまま放置された大量の栄養ドリンクの空き瓶。
まとめないといけないと思いつつまだ手をつけていない段ボールの山。
そして、チラチラと切れかけの照明器具。
この、生活感とズボラさの権化のような部屋に、あの高校生が入った……?
恥ずかしさで顔が熱くなる。
だけど、今はそんなことよりも、遅刻しないように仕事へ行く準備をしなければならない。
ーーーー
痛み止めを服用しながら、二日酔いをだましだまし耐え、なんとか今日の仕事が終わった。
残業はせず、すぐに会社を出た。
昨日の高校生、同じ時間に公園に行けばまた会えるかな?
もう1度、ちゃんとお礼を言いたい。
公園へ行く途中、私は自販機に立ち寄って、ホットの缶コーヒーを一つ購入した。
それをポケットに押し込み、寒さを凌ぎながら、昨夜と同じベンチに座って待つ。
ふーっと息を吐くと、白い息が出た。
「もうすぐ12月か……」
本来なら、ユウタにあげるクリスマスプレゼントをウキウキで考えていただろう。
感傷に耽りながらしばらく待つと、黒いスラックスとグレーのジャケットが見えた。
彼だ。
「お姉さん、またこんなところで飲んでいるんですか?」
少年は怪訝な目で私を見つめた。
「ふふふ、今日はシラフ」
私は笑って答えた。
メモ書きに、確か彼の名前が書いてあったはず。
「えっと、赤……」
私が口ごもると、彼は落ち着いた声で名を告げた。
「赤葦。赤葦京治です。●●さん」
「な、なんで私の名前を?!」
驚いて立ち上がりかける私に、彼は冷静に返した。
「家へ送るために、鞄から免許証を見ました」
そう言えば、そうか。
赤葦君は私の隣に、少し距離を置いて静かに腰掛けた。
「昨日はなんでやけ酒してたんですか?」
唐突な問いだったけれど、不思議と隠す気になれなかった。
「彼氏の浮気現場に遭遇しちゃってね」
「それは……災難でしたね」
マフラーで口元が埋もれている赤葦君の頬が、ほんのりとした赤みを帯びているのに気が付いた。
「あ、寒いよね。これあげる。まだ温かいから」
私はポケットから缶コーヒーを取り出し、彼に渡した。
まだ手のひらに温かさが残っている。
「ありがとうございます」
ニコッと優しく笑う赤葦君は、高校生のはずなのに、どこか大人びて見えた。
「赤葦君って、高校生?」
「はい、3年生です」
「じゃあ、受験勉強大変だね」
「そうですね」
私たちは、他愛のないことから、昨日あった最悪な出来事まで、たくさんの会話を交わした。
不思議と赤葦君には、包み隠さずなんでも話せてしまう。
「また話、聞いてもらってもいいかな?」
私がそう尋ねた、その瞬間だった。
ポツッ……ポツッ……ザーッ
突然、冷たい雨が降り始めた。
「あっ………」
最悪のタイミングだ。
「ごめんね、話しすぎちゃった。家、直ぐそこだから、傘だけでも借りてって」
立ち上がり、雨を避けようとする私に、赤葦君は申し訳なさそうに答えた。
「では、お言葉に甘えて」
私たちはアパート目指して、小走りで暗い道を駆けた。
けたたましいアラーム音に、私は飛び起きた。
「申し訳ございません!……あれ?」
声に出して謝罪の言葉を言いかけたところで、ここは自宅のベッドの上だと気付く。身体中が鉛のように重い。
「痛っ」
頭が割れるように痛む。
完全に二日酔いだ。
昨日はあれから、どうやって帰ってきたっけ……?
曖昧な記憶を辿るけれど、公園のベンチでやけ酒をしたところまでが限界で、その後の記憶はひどく曖昧だ。
取りあえず、昨夜のままメイクも落とさず、シワになったスーツを着て寝てしまったみたいだから、先に顔を洗わないと。
重い体を起こすと、視界の隅に、見慣れないものが入った。
「なにこのメモ」
テーブルの上に、私のではない、几帳面で綺麗な字で書かれたメモ書きが置いてある。
“公園で酔い潰れていたので、申し訳ないと思いながら鞄から身元の分かるものを探して家まで送りました。鍵はポストに入れてあります。 赤葦”
「あっ……!」
ようやく、昨夜の出来事と、このメモの主を思い出した。
声を掛けてくれた高校生に、私は八つ当たりをしたのだ。
それなのに、彼は私を家まで送ってくれたなんて。
「てか、この家に入った!?」
私は慌てて部屋を見渡した。
そこには、脱ぎっぱなしの服でできた小さな山、テーブルの上とキッチンには飲んだまま放置された大量の栄養ドリンクの空き瓶。
まとめないといけないと思いつつまだ手をつけていない段ボールの山。
そして、チラチラと切れかけの照明器具。
この、生活感とズボラさの権化のような部屋に、あの高校生が入った……?
恥ずかしさで顔が熱くなる。
だけど、今はそんなことよりも、遅刻しないように仕事へ行く準備をしなければならない。
ーーーー
痛み止めを服用しながら、二日酔いをだましだまし耐え、なんとか今日の仕事が終わった。
残業はせず、すぐに会社を出た。
昨日の高校生、同じ時間に公園に行けばまた会えるかな?
もう1度、ちゃんとお礼を言いたい。
公園へ行く途中、私は自販機に立ち寄って、ホットの缶コーヒーを一つ購入した。
それをポケットに押し込み、寒さを凌ぎながら、昨夜と同じベンチに座って待つ。
ふーっと息を吐くと、白い息が出た。
「もうすぐ12月か……」
本来なら、ユウタにあげるクリスマスプレゼントをウキウキで考えていただろう。
感傷に耽りながらしばらく待つと、黒いスラックスとグレーのジャケットが見えた。
彼だ。
「お姉さん、またこんなところで飲んでいるんですか?」
少年は怪訝な目で私を見つめた。
「ふふふ、今日はシラフ」
私は笑って答えた。
メモ書きに、確か彼の名前が書いてあったはず。
「えっと、赤……」
私が口ごもると、彼は落ち着いた声で名を告げた。
「赤葦。赤葦京治です。●●さん」
「な、なんで私の名前を?!」
驚いて立ち上がりかける私に、彼は冷静に返した。
「家へ送るために、鞄から免許証を見ました」
そう言えば、そうか。
赤葦君は私の隣に、少し距離を置いて静かに腰掛けた。
「昨日はなんでやけ酒してたんですか?」
唐突な問いだったけれど、不思議と隠す気になれなかった。
「彼氏の浮気現場に遭遇しちゃってね」
「それは……災難でしたね」
マフラーで口元が埋もれている赤葦君の頬が、ほんのりとした赤みを帯びているのに気が付いた。
「あ、寒いよね。これあげる。まだ温かいから」
私はポケットから缶コーヒーを取り出し、彼に渡した。
まだ手のひらに温かさが残っている。
「ありがとうございます」
ニコッと優しく笑う赤葦君は、高校生のはずなのに、どこか大人びて見えた。
「赤葦君って、高校生?」
「はい、3年生です」
「じゃあ、受験勉強大変だね」
「そうですね」
私たちは、他愛のないことから、昨日あった最悪な出来事まで、たくさんの会話を交わした。
不思議と赤葦君には、包み隠さずなんでも話せてしまう。
「また話、聞いてもらってもいいかな?」
私がそう尋ねた、その瞬間だった。
ポツッ……ポツッ……ザーッ
突然、冷たい雨が降り始めた。
「あっ………」
最悪のタイミングだ。
「ごめんね、話しすぎちゃった。家、直ぐそこだから、傘だけでも借りてって」
立ち上がり、雨を避けようとする私に、赤葦君は申し訳なさそうに答えた。
「では、お言葉に甘えて」
私たちはアパート目指して、小走りで暗い道を駆けた。
