男の子のお姫様
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体育館へ入ると、既に大勢のお客さんが待機していた。
「あそこの席、空いているよ」
丁度二席並んで空いていたところへ私たちは腰掛けた。
程なくして演劇か始まった。
「ただいまより1-A組による演劇、シンデレラの開幕です」
ナレーションがそう言うと、照明が落とされた。
『昔々、病気で母を亡くし、父が連れてきた再婚相手と共に暮らすことになった一人の少女がいました』
スポットライトが当てられた一人の少女。
ボロボロの衣装を着ていて、雑巾がけをしている。
俯いていて、こちらには顔が見えない角度。
『彼女は継母に仕事を押し付けられたあげく、二人の義姉にいじめられて、灰かぶりのシンデレラと呼ばれていました』
あの義姉役の子、先程宣伝に来ていた男の子だ。
てっきりシンデレラ役だと思っていたのに違った。
じゃあ、あの雑巾がけをしている子は誰?
「シンデレラ、ここがまだ汚れているわよ!」
「はい、お姉様。直ぐに掃除します」
義姉の命令に答えるように立ち上がったシンデレラ役の子。
浩輔君だった。
見に来てほしくないって言っていたから、どんな役かと思えばヒロインじゃないの。
それに、本人は気にしているかもしれないけれど、小柄だから女装も違和感がない。
『ある日、王様が3日間開く舞踏会で、王子様が花嫁を探すという話が舞い込んできました。シンデレラも舞踏会に参加したいとお願いしましたが、継母は認めません』
シンデレラを置いて継母と義姉二人が舞踏会へ行くために舞台から捌けると、ミュージカルのように歌い出したシンデレラ。
いや、浩輔君。
少しだけ緊張が感じられたけど、たくさん練習したことがうかがえる。
歌いながら小鳥やネズミ役の子と戯れているところへ魔女が登場した。
そして魔法を唱えた後に暗転したかと思えば、ボロボロの衣装を着ていたシンデレラが、美しいお姫様へと大変身した。
「綺麗……」
私は思わず呟いていた。
「さあ舞踏会へお行き。ただし、12時の鐘が鳴る前に帰るんだよ。さもないと魔法が解けてしまうから」
魔女がシンデレラに仕上げのガラスの靴を履かせると、カボチャの馬車に乗りこみ、舞踏会へと向かった。
段ボールで作られたカボチャの馬車。
手作り感が満載で微笑ましく思った。
舞踏会へ着くと、待っていた王子様役の子は案の定女の子だった。
「美しい……。どうか私と踊っていただけませんか」
手を差し伸べる王子様役の女の子。
「ええ、喜んで」
二人は曲に合わせてくるくると踊った。
向かい合わせになると分かりやすいけど、王子様役の女の子の方が浩輔君より背が高かった。
ぎこちない踊り。
それがまた可愛らしさを彷彿とさせる。
周りで踊っている舞踏会の参加者はドレスを着た男子生徒はもちろん、伯爵役も男子生徒だった。
女子生徒が足りなかったんだろうな。
夜更けまで踊り続ける二人。
「いけない、もう帰らないと!」
浩輔君はガラスの靴を脱ぎ捨てて、王子様役の女子から逃げるように去った。
次に登場したときには、またボロボロの衣装に戻っていた。
そこから先の展開もグリム童話通り、王子様は残されたガラスの靴を頼りにシンデレラを探した。
浩輔君がガラスの靴を履くとぴったり。
『王子様とシンデレラは結ばれ、幸せに暮らしました。めでたしめでたし』
演劇が終わると舞台に役の子、裏方の子、小道具の子みんなが登壇して横一列に手を繋いで整列した。
「最後まで見てくださり、ありがとうございました」
客席の拍手を合図に生徒たちは深々とお辞儀をして、幕が降ろされた。
「あそこの席、空いているよ」
丁度二席並んで空いていたところへ私たちは腰掛けた。
程なくして演劇か始まった。
「ただいまより1-A組による演劇、シンデレラの開幕です」
ナレーションがそう言うと、照明が落とされた。
『昔々、病気で母を亡くし、父が連れてきた再婚相手と共に暮らすことになった一人の少女がいました』
スポットライトが当てられた一人の少女。
ボロボロの衣装を着ていて、雑巾がけをしている。
俯いていて、こちらには顔が見えない角度。
『彼女は継母に仕事を押し付けられたあげく、二人の義姉にいじめられて、灰かぶりのシンデレラと呼ばれていました』
あの義姉役の子、先程宣伝に来ていた男の子だ。
てっきりシンデレラ役だと思っていたのに違った。
じゃあ、あの雑巾がけをしている子は誰?
「シンデレラ、ここがまだ汚れているわよ!」
「はい、お姉様。直ぐに掃除します」
義姉の命令に答えるように立ち上がったシンデレラ役の子。
浩輔君だった。
見に来てほしくないって言っていたから、どんな役かと思えばヒロインじゃないの。
それに、本人は気にしているかもしれないけれど、小柄だから女装も違和感がない。
『ある日、王様が3日間開く舞踏会で、王子様が花嫁を探すという話が舞い込んできました。シンデレラも舞踏会に参加したいとお願いしましたが、継母は認めません』
シンデレラを置いて継母と義姉二人が舞踏会へ行くために舞台から捌けると、ミュージカルのように歌い出したシンデレラ。
いや、浩輔君。
少しだけ緊張が感じられたけど、たくさん練習したことがうかがえる。
歌いながら小鳥やネズミ役の子と戯れているところへ魔女が登場した。
そして魔法を唱えた後に暗転したかと思えば、ボロボロの衣装を着ていたシンデレラが、美しいお姫様へと大変身した。
「綺麗……」
私は思わず呟いていた。
「さあ舞踏会へお行き。ただし、12時の鐘が鳴る前に帰るんだよ。さもないと魔法が解けてしまうから」
魔女がシンデレラに仕上げのガラスの靴を履かせると、カボチャの馬車に乗りこみ、舞踏会へと向かった。
段ボールで作られたカボチャの馬車。
手作り感が満載で微笑ましく思った。
舞踏会へ着くと、待っていた王子様役の子は案の定女の子だった。
「美しい……。どうか私と踊っていただけませんか」
手を差し伸べる王子様役の女の子。
「ええ、喜んで」
二人は曲に合わせてくるくると踊った。
向かい合わせになると分かりやすいけど、王子様役の女の子の方が浩輔君より背が高かった。
ぎこちない踊り。
それがまた可愛らしさを彷彿とさせる。
周りで踊っている舞踏会の参加者はドレスを着た男子生徒はもちろん、伯爵役も男子生徒だった。
女子生徒が足りなかったんだろうな。
夜更けまで踊り続ける二人。
「いけない、もう帰らないと!」
浩輔君はガラスの靴を脱ぎ捨てて、王子様役の女子から逃げるように去った。
次に登場したときには、またボロボロの衣装に戻っていた。
そこから先の展開もグリム童話通り、王子様は残されたガラスの靴を頼りにシンデレラを探した。
浩輔君がガラスの靴を履くとぴったり。
『王子様とシンデレラは結ばれ、幸せに暮らしました。めでたしめでたし』
演劇が終わると舞台に役の子、裏方の子、小道具の子みんなが登壇して横一列に手を繋いで整列した。
「最後まで見てくださり、ありがとうございました」
客席の拍手を合図に生徒たちは深々とお辞儀をして、幕が降ろされた。