男の子のお姫様
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週明けの講義の合間。
私はラウンジの隅の席で、スマホとにらめっこをしていた。
「伊達工……文化祭……と」
検索結果に表示された公式サイトをタップすると、硬派なデザインのトップページが現れる。
開催日は今週の金曜と土曜日。
一般公開は土曜日のみ。
「行ける……。行けちゃうな、土曜日」
カレンダーの空白を見つめながら、私は先日カフェで見た、彼の困ったような顔を思い出していた。
サイト内を巡回していると、ふと『部活動紹介』というバナーが目に留まる。
どうやら、動画のコンテンツのようだ。
確か、浩輔君はバレー部だっけ……。
更新日を確認すると、最近更新されたばかりのようだった。
あわよくば、浩輔君が映ってたりしないかな……。
少しだけ期待を胸に、再生ボタンを押した。
画面の中では、BGMと共に凄まじい迫力の練習風景が流れる。
『伊達工のバレー部は鉄壁と呼ばれるブロックを主軸にしたスタイルを貫き通し─────。多くの部員を抱えており、実力も極めて高い。』
ナレーションが流れる中、画面を埋め尽くすのは壁のように高くそびえ立つ大柄な選手たち。
その迫力に圧倒されそうになった瞬間、カメラがコートの床近く、低い視点に切り替わった。
『また、屈指の高さと堅さを誇る伊達工の中で、唯一“鉄壁”に直接参加しないリベロもレベルが高い。地上でチームを支える、彼もまた立派な鉄壁の一員である。』
激しいスパイクの軌道を読み、滑り込むようにしてボールを拾い上げる、小さな背中。
一瞬だけ画面に大写しになったのは、真剣な眼差しでコートを見据える、凛々しい浩輔君の横顔だった。
「格好良い……」
思わず独り言が漏れた。
他の背の高い部員たちに囲まれれば、彼は確かに霞んでしまうほど小柄だ。
だけど、私の中では、誰よりもその姿が眩しく、一番輝いて見えた。
「あれ、●●。何見てるの?熱心だね」
「えっ、カオリ……!」
背後から急に声をかけられ、心臓が跳ね上がる。
友達のカオリが、不思議そうな顔をして私の手元を覗き込んでいた。
「あ、そのユニフォーム……伊達工じゃん。私の弟も伊達工に通ってるんだよ」
「そうなんだ」
「●●も、誰か知り合いでもいるの?」
「あ……うん。ちょっと、ね……」
弟はいないし、かといって浩輔君を知り合いと呼ぶには他人行儀すぎる気がする。
でも、友達と言うには、まだ私たちの距離はもどかしくて。
曖昧に言葉を濁す私に、カオリがパッと顔を輝かせて提案してきた。
「あ、そうだ!近々文化祭があるんだけど、●●も一緒に行かない?」
願ってもないお誘い。
断る理由なんて、どこにもない。
「行く!絶対、行く!」
身を乗り出す勢いで返事をした私を見て、カオリは少し驚いたように目を丸くした。
「あはは、そんなに食いつく?よっぽど工業高校に興味あったんだね」
ごめんね、浩輔君……。
心の中で、そっと謝る。
でも、これはお友達に誘われたから。
あくまで付き添いだから仕方ないよね。
私は自分に都合の良い言い訳を並べて、週末に備えた。
私はラウンジの隅の席で、スマホとにらめっこをしていた。
「伊達工……文化祭……と」
検索結果に表示された公式サイトをタップすると、硬派なデザインのトップページが現れる。
開催日は今週の金曜と土曜日。
一般公開は土曜日のみ。
「行ける……。行けちゃうな、土曜日」
カレンダーの空白を見つめながら、私は先日カフェで見た、彼の困ったような顔を思い出していた。
サイト内を巡回していると、ふと『部活動紹介』というバナーが目に留まる。
どうやら、動画のコンテンツのようだ。
確か、浩輔君はバレー部だっけ……。
更新日を確認すると、最近更新されたばかりのようだった。
あわよくば、浩輔君が映ってたりしないかな……。
少しだけ期待を胸に、再生ボタンを押した。
画面の中では、BGMと共に凄まじい迫力の練習風景が流れる。
『伊達工のバレー部は鉄壁と呼ばれるブロックを主軸にしたスタイルを貫き通し─────。多くの部員を抱えており、実力も極めて高い。』
ナレーションが流れる中、画面を埋め尽くすのは壁のように高くそびえ立つ大柄な選手たち。
その迫力に圧倒されそうになった瞬間、カメラがコートの床近く、低い視点に切り替わった。
『また、屈指の高さと堅さを誇る伊達工の中で、唯一“鉄壁”に直接参加しないリベロもレベルが高い。地上でチームを支える、彼もまた立派な鉄壁の一員である。』
激しいスパイクの軌道を読み、滑り込むようにしてボールを拾い上げる、小さな背中。
一瞬だけ画面に大写しになったのは、真剣な眼差しでコートを見据える、凛々しい浩輔君の横顔だった。
「格好良い……」
思わず独り言が漏れた。
他の背の高い部員たちに囲まれれば、彼は確かに霞んでしまうほど小柄だ。
だけど、私の中では、誰よりもその姿が眩しく、一番輝いて見えた。
「あれ、●●。何見てるの?熱心だね」
「えっ、カオリ……!」
背後から急に声をかけられ、心臓が跳ね上がる。
友達のカオリが、不思議そうな顔をして私の手元を覗き込んでいた。
「あ、そのユニフォーム……伊達工じゃん。私の弟も伊達工に通ってるんだよ」
「そうなんだ」
「●●も、誰か知り合いでもいるの?」
「あ……うん。ちょっと、ね……」
弟はいないし、かといって浩輔君を知り合いと呼ぶには他人行儀すぎる気がする。
でも、友達と言うには、まだ私たちの距離はもどかしくて。
曖昧に言葉を濁す私に、カオリがパッと顔を輝かせて提案してきた。
「あ、そうだ!近々文化祭があるんだけど、●●も一緒に行かない?」
願ってもないお誘い。
断る理由なんて、どこにもない。
「行く!絶対、行く!」
身を乗り出す勢いで返事をした私を見て、カオリは少し驚いたように目を丸くした。
「あはは、そんなに食いつく?よっぽど工業高校に興味あったんだね」
ごめんね、浩輔君……。
心の中で、そっと謝る。
でも、これはお友達に誘われたから。
あくまで付き添いだから仕方ないよね。
私は自分に都合の良い言い訳を並べて、週末に備えた。
