男の子のお姫様
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帰宅して早々、着替えもそこそこにベッドへ倒れ込んだ。
仰向けになり、スマホを顔の前に掲げる。
連絡先一覧に新しく追加された“作並浩輔”の四文字。
「浩輔君……か……」
無意識にその名前を呟いた、その時だった。
手のひらの中で、スマホが短い振動と共に通知音を鳴らす。
「あわっ、わわっ!」
危うく顔面にスマホを落としそうになる。
慌てて体勢を立て直し、画面を覗き込むと、そこには案じていた彼からのメッセージが届いていた。
“今帰宅しました。●●さんも無事に家に着きましたか?今日は本当にありがとうございました。改めてお礼をしたいので、良ければご都合の良い日を教えてください”
驚くほど丁寧すぎる文面。
「よかった、無事に帰れたんだ……」
道端でうずくまっていた彼の青白い顔が脳裏をよぎり、まずは安堵の息が漏れる。
それにしても、こうしてお互いの帰宅を報告し合うなんて。
まるで、付き合いたての恋人同士みたい。
「……いやいや、何考えてるの私。ただの社交辞令だってば」
誰に聞かれているワケでもないのに、気恥ずかしさを誤魔化すように1人で言い訳をする。
「なんて返そう……」
“浩輔君も部活忙しそうだし、お礼は気にしなくていいよ”
そこまで打ち込んだものの、親指が送信ボタンの前で止まった。
これじゃあ、せっかく連絡を交換したのに、これっきりになってしまう……。
もう少しだけ、もう一度だけでいいから、彼に会いたいと思ってしまった。
私は文字を思い切って全て消し、打ち直した。
“浩輔君も部活が忙しい時期だよね?私の予定は融通がきくから合わせるよ!”
よし、送信。
大学は必修さえ押さえれば自由な時間も多いし、入っているサークルも言ってしまえばただの飲みサーだ。
サボったところで、誰も気にしない。
彼のようなスタメンで頑張る現役高校生に合わせるのが、年上の余裕ってものだ。
……けれど。
「……返事、来なくなっちゃったな」
数分待っても、既読すらつかない。
考えてみれば、彼は体調を崩すほど疲れていたのだ。
もう寝てしまったのだろう。
「私も、寝る準備しなきゃ」
明日、起きた時に通知が来ていたらいいな。
淡い期待を抱きながら、私は寝支度を始めた。
……。
…………。
翌朝。
カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
時間を確認しようとスマホを見ると、チカチカと通知ランプが点滅していることに気が付く。
「浩輔君からだ……!」
ガバッと飛び起き、ロックを解除する。
受信時刻は1時間以上も前。
私がまだ夢の中にいる時。
決して、私の起きる時間が遅いワケじゃない。
きっと彼は、朝練のためにこの時間に起き、家を出たのだろう。
“おはようございます。昨夜はすぐに眠ってしまい、返信が遅れてすみません。お気遣いありがとうございます。それでは、今週末にお茶などいかがでしょうか?”
「うーん……文面が堅いっ!真面目すぎ!」
思わず画面にツッコミを入れてしまった。
ひとまず快諾の旨を書いて返事をした。
「さて……次はどうやって打ち解けようかな」
やはり、ここは年上の私がリードしないとね。
その前に、週末のデートに向けて、退屈な講義を乗り越えなければならない。
鏡の中の自分に気合を入れ、私は足取り軽く身支度を始めた。
仰向けになり、スマホを顔の前に掲げる。
連絡先一覧に新しく追加された“作並浩輔”の四文字。
「浩輔君……か……」
無意識にその名前を呟いた、その時だった。
手のひらの中で、スマホが短い振動と共に通知音を鳴らす。
「あわっ、わわっ!」
危うく顔面にスマホを落としそうになる。
慌てて体勢を立て直し、画面を覗き込むと、そこには案じていた彼からのメッセージが届いていた。
“今帰宅しました。●●さんも無事に家に着きましたか?今日は本当にありがとうございました。改めてお礼をしたいので、良ければご都合の良い日を教えてください”
驚くほど丁寧すぎる文面。
「よかった、無事に帰れたんだ……」
道端でうずくまっていた彼の青白い顔が脳裏をよぎり、まずは安堵の息が漏れる。
それにしても、こうしてお互いの帰宅を報告し合うなんて。
まるで、付き合いたての恋人同士みたい。
「……いやいや、何考えてるの私。ただの社交辞令だってば」
誰に聞かれているワケでもないのに、気恥ずかしさを誤魔化すように1人で言い訳をする。
「なんて返そう……」
“浩輔君も部活忙しそうだし、お礼は気にしなくていいよ”
そこまで打ち込んだものの、親指が送信ボタンの前で止まった。
これじゃあ、せっかく連絡を交換したのに、これっきりになってしまう……。
もう少しだけ、もう一度だけでいいから、彼に会いたいと思ってしまった。
私は文字を思い切って全て消し、打ち直した。
“浩輔君も部活が忙しい時期だよね?私の予定は融通がきくから合わせるよ!”
よし、送信。
大学は必修さえ押さえれば自由な時間も多いし、入っているサークルも言ってしまえばただの飲みサーだ。
サボったところで、誰も気にしない。
彼のようなスタメンで頑張る現役高校生に合わせるのが、年上の余裕ってものだ。
……けれど。
「……返事、来なくなっちゃったな」
数分待っても、既読すらつかない。
考えてみれば、彼は体調を崩すほど疲れていたのだ。
もう寝てしまったのだろう。
「私も、寝る準備しなきゃ」
明日、起きた時に通知が来ていたらいいな。
淡い期待を抱きながら、私は寝支度を始めた。
……。
…………。
翌朝。
カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
時間を確認しようとスマホを見ると、チカチカと通知ランプが点滅していることに気が付く。
「浩輔君からだ……!」
ガバッと飛び起き、ロックを解除する。
受信時刻は1時間以上も前。
私がまだ夢の中にいる時。
決して、私の起きる時間が遅いワケじゃない。
きっと彼は、朝練のためにこの時間に起き、家を出たのだろう。
“おはようございます。昨夜はすぐに眠ってしまい、返信が遅れてすみません。お気遣いありがとうございます。それでは、今週末にお茶などいかがでしょうか?”
「うーん……文面が堅いっ!真面目すぎ!」
思わず画面にツッコミを入れてしまった。
ひとまず快諾の旨を書いて返事をした。
「さて……次はどうやって打ち解けようかな」
やはり、ここは年上の私がリードしないとね。
その前に、週末のデートに向けて、退屈な講義を乗り越えなければならない。
鏡の中の自分に気合を入れ、私は足取り軽く身支度を始めた。
