アナタを守らせて下さい
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーー作並sideーー
あれから●●先輩は制服姿で現れるようになった。
「テスト終わったのに図書室で勉強?部活だって大変なんでしょ」
今日も当たり前のように図書室で勉強していた僕の隣に座る。
こうして見ると普通に女性なのに、なぜ男だと勘違いしていたのか。
周りに女子生徒が少な過ぎて感覚が麻痺していたとしか思えない。
「逆に部活が大変だから休み時間は勉強に充てようと思って……」
「偉いね!」
そう言って●●先輩は僕の頭をワシャワシャと撫でる。
嬉しいような恥ずかしいような。
「止めてくださいよー」
「あはは、可愛い〜」
髪の毛を直しながら赤らめた顔を隠す。
「それにしても今日は何だか眠たいなー」
●●先輩はおもむろに机に突っ伏した。
すると、あることに気が付く。
「あれ、●●先輩、背中に何か付いていますよ」
「え?」
腕を背中に回すけれど体が硬いのか背中の物に手が届いていない。
「と、届かない……。ごめんけど取ってくれない?」
背を向ける●●先輩の背中にはB5サイズの白い紙が貼られていた。
紙はテープで留められていたため、簡単に剥がすことができた。
問題なのはその紙に書かれていた文字。
「HIT ME……」
「なんだろうね、これ」
本来の意味は“私に連絡をして”だけれど、直訳すると“私を叩いて”になる。
言い方は悪いけれど、一般教養に力を入れていない伊達工の生徒なら後者の意味しか知らなさそう。
「●●先輩、ここに来る間、誰かに背中を叩かれませんでしたか?」
「そう言えば何人かに叩かれたかも。ちょっと強めの挨拶かなーって」
そんな訳あるかよ。
制服をなくしたと聞いたときから可笑しいとは思っていたけれど、●●先輩ってもしかして…….。
「嫌がらせされています?」
「そんなことないよ。ちょっと運がないだけで」
「いや、どう見ても意図的ですよ!」
「考えすぎだって」
困った顔で笑う●●先輩。
それもそう。
僕はデリカシーのないことを聞いているのだから。
虐められていますよね、と聞いて素直に認めるのがどれほど酷なことなのか。
だけど、見過ごすわけにはいかなかった。
それが好きな先輩のことなら尚更。
以前、体育祭のことで濁した話がある。
あれと何か関係しているのか。
「話してください」
「話すって何を?」
「とぼけないでください。体育祭で何かあったんじゃないですか?」
「え〜なんでもないよ〜」
どこまでとぼける気でいるのか。
そんなに僕には言えないことなのか。
「僕では頼りになりませんか?」
「……」
「そうですよね。歳下だし、背は低いし、男らしくないし」
「そんなことは……っ!」
「なら、僕に●●先輩を守らせて下さい」
「浩輔……」
それから●●先輩は静かに話し始めた。
体育祭で公開告白をされて断ったこと。
それ以来、告白してきた男のファンだと思われる人たちから嫌がらせを受けていること。
制服紛失、汚損、そして背中の貼り紙。
軽いことから酷いことまで全て。
「いやー参っちゃうよね。私なんかの相手をするなんて、みんな暇なのかなー」
●●先輩は気にしていないように笑った。
だけど、空元気なのが分かる。
●●先輩が本気で笑うときはこんな笑い方をしない。
知り合って間もないけれど、ずっと見てきたから。
「無理して笑わないで下さい。大体事情は分かりました。後は僕がなんとかするので」
「でも……」
「こう言うときは素直に助けてって言えばいいんですよ」
「浩輔……助けて」
「はい、もちろんです」
やっと……やっと●●先輩の本音が聞けた気がした。
あれから●●先輩は制服姿で現れるようになった。
「テスト終わったのに図書室で勉強?部活だって大変なんでしょ」
今日も当たり前のように図書室で勉強していた僕の隣に座る。
こうして見ると普通に女性なのに、なぜ男だと勘違いしていたのか。
周りに女子生徒が少な過ぎて感覚が麻痺していたとしか思えない。
「逆に部活が大変だから休み時間は勉強に充てようと思って……」
「偉いね!」
そう言って●●先輩は僕の頭をワシャワシャと撫でる。
嬉しいような恥ずかしいような。
「止めてくださいよー」
「あはは、可愛い〜」
髪の毛を直しながら赤らめた顔を隠す。
「それにしても今日は何だか眠たいなー」
●●先輩はおもむろに机に突っ伏した。
すると、あることに気が付く。
「あれ、●●先輩、背中に何か付いていますよ」
「え?」
腕を背中に回すけれど体が硬いのか背中の物に手が届いていない。
「と、届かない……。ごめんけど取ってくれない?」
背を向ける●●先輩の背中にはB5サイズの白い紙が貼られていた。
紙はテープで留められていたため、簡単に剥がすことができた。
問題なのはその紙に書かれていた文字。
「HIT ME……」
「なんだろうね、これ」
本来の意味は“私に連絡をして”だけれど、直訳すると“私を叩いて”になる。
言い方は悪いけれど、一般教養に力を入れていない伊達工の生徒なら後者の意味しか知らなさそう。
「●●先輩、ここに来る間、誰かに背中を叩かれませんでしたか?」
「そう言えば何人かに叩かれたかも。ちょっと強めの挨拶かなーって」
そんな訳あるかよ。
制服をなくしたと聞いたときから可笑しいとは思っていたけれど、●●先輩ってもしかして…….。
「嫌がらせされています?」
「そんなことないよ。ちょっと運がないだけで」
「いや、どう見ても意図的ですよ!」
「考えすぎだって」
困った顔で笑う●●先輩。
それもそう。
僕はデリカシーのないことを聞いているのだから。
虐められていますよね、と聞いて素直に認めるのがどれほど酷なことなのか。
だけど、見過ごすわけにはいかなかった。
それが好きな先輩のことなら尚更。
以前、体育祭のことで濁した話がある。
あれと何か関係しているのか。
「話してください」
「話すって何を?」
「とぼけないでください。体育祭で何かあったんじゃないですか?」
「え〜なんでもないよ〜」
どこまでとぼける気でいるのか。
そんなに僕には言えないことなのか。
「僕では頼りになりませんか?」
「……」
「そうですよね。歳下だし、背は低いし、男らしくないし」
「そんなことは……っ!」
「なら、僕に●●先輩を守らせて下さい」
「浩輔……」
それから●●先輩は静かに話し始めた。
体育祭で公開告白をされて断ったこと。
それ以来、告白してきた男のファンだと思われる人たちから嫌がらせを受けていること。
制服紛失、汚損、そして背中の貼り紙。
軽いことから酷いことまで全て。
「いやー参っちゃうよね。私なんかの相手をするなんて、みんな暇なのかなー」
●●先輩は気にしていないように笑った。
だけど、空元気なのが分かる。
●●先輩が本気で笑うときはこんな笑い方をしない。
知り合って間もないけれど、ずっと見てきたから。
「無理して笑わないで下さい。大体事情は分かりました。後は僕がなんとかするので」
「でも……」
「こう言うときは素直に助けてって言えばいいんですよ」
「浩輔……助けて」
「はい、もちろんです」
やっと……やっと●●先輩の本音が聞けた気がした。