赤は情熱の色
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〜赤は情熱の色〜
私の個性は『赤面』。
昔から異性に対して緊張して、すぐに赤面してしまうこの個性が嫌いだった。
酷いときは顔から湯気が出ることも。
だから小学生までのあだ名は機関車。
中学に上がってからは、女子生徒に、
「◯◯さんってぶりっ子だよね」
「男子の気を引こうとしている」
と陰口を言われ。男子生徒には、
「思わせぶりな態度取るなよ」
「はあ?脈ありだと思ったから告白したのに」
なんて勘違いをさせてしまって心無いことを言われることも多々。
そのせいで女の子の友達はいないし、個性とか関係なしに異性も苦手になった。
だから私は高校からは知り合いのいない女子校に進学して、異性と目を合わせないように前髪を伸ばした。
そんなある日、新学期が始まり、学校へ向かっている途中のこと。
「あ、●●ちゃん!」
私の姿を見つけるやいなや、そう言って笑顔で駆け寄ってきたのは中学が同じだった緑谷出久君。
言い方がアレかもしれないけど、彼からは男らしさを感じないからか、身内以外で唯一赤面をしない相手。
去年までは色々と助けてもらった。
「出久君、おはよう」
「●●ちゃんの高校ってこの辺なの?」
「うん。出久君は?」
「僕は雄英高校なんだ!」
「そっかー!ずっと行きたいって言っていたもんね。おめでとう」
それよりも気になるのは、出久君の後ろでつまらなさそうにこちらの様子を伺っている男性。
端正な顔立ちで白と赤のツートンカラーの髪色。
極めつけに左目を中心に火傷痕がある。
出久君のクラスメイトかな?
私の視線に気が付いたのか、出久君は彼の紹介をしてくれた。
「彼は轟焦凍君!僕のクラスメイトなんだ!」
「は、初めまして」
「おう」
まずい、顔が熱くなっているのが分かる。
できるだけ視線を合わせないようにしないと。
「顔、赤いぞ」
そう思っていたのに、早々に気付かれてしまった。
「あわわ、これはね!轟君!」
なんて、私の代わりに説明をしようとしてくれた出久君。
だけど、轟君はそんな出久君の話を聞かずに私に近づき右手を私の顔の前に出してきた。
咄嗟に目を瞑る。
次の瞬間、ふわーっと冷たい冷気が降り掛かってきた。
冷たい。
ゆっくり目を開けると、轟君の手からミスト状の冷気が出てきていた。
顔の火照りが下がっていくのが分かる。
「あ、ありがとうございます……」
「熱中症には気を付けろ。緑谷行くぞ」
「あ、うん。またね●●ちゃん」
轟君の後を追うように出久は雄英高校のある方へと走っていった。
轟焦凍君か……。
熱中症だと勘違いされちゃった。
こんなこと初めて。
大抵の人は気があるから顔を赤らめている、と思うのに。