勇気を下さい
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
目が覚めた瞬間、鼻をつく消毒液の匂いと、真っ白な天井が視界に飛び込んできた。
生きてる……?
鉛のように重い身体をどうにか動かして隣のベッドに目を向けると、そこには規則正しく胸を上下させて眠るミチルちゃんの姿があった。
よかった……。
本当に、よかった。
濁流の中で意識が遠のく直前、彼女の指が岩から離れるのが見えた気がして、生きた心地がしなかったのだ。
安堵の溜息を漏らしたその時、気配に気付いたのか、ミチルちゃんがゆっくりと身を起こした。
「ミチルちゃ……」
無事を喜び、名前を呼ぼうとした私の言葉は、鋭い絶叫によって遮られた。
「なんで!!」
耳を刺すような、激しい拒絶の響き。
「ど、どうしたの……?」
「どうしたの、じゃないよ!なんでもっと早く助けてくれなかったの!?アンタの個性は乾燥でしょ!?水は得意なはずじゃない!」
詰め寄る彼女の瞳には、どす黒い恐怖と、それを上塗りするような怒りが露わになっていた。
「ごめんなさい……」
絞り出すように謝ることしかできなかった。
確かに私の個性は『乾燥』だ。
だけど、それは水の中を魚のように泳げたり、海を割ったりできるような超常の力じゃない。
ただ、人より肌が乾きやすく、人より少しだけ水分を吸収できる、それだけ。
けれど、死の淵を彷徨った彼女の恐怖を思えば、どんな弁明も言い訳にしか聞こえない気がした。
「私、もう少しで死ぬところだったんだよ……っ!」
「……」
「どうせアンタの忠告を聞かなかった私を、バカにしてたんでしょ。自分だけ安全な場所にいて、上から私を見下ろして……」
「違っ……そんなこと……っ」
喉の奥で言葉が詰まる。
ミチルちゃんには、あんなに必死だった私の姿が、そんなふうに見えていたの?
私は、カナヅチの恐怖に震えながらも、アナタを助けたくて飛び込んだんだよ。
泥水を飲んで、息ができなくて、それでも手を伸ばして……。
結局、助けるどころか自分まで溺れて、誰かに救われる結果になってしまったけれど。
「アンタの顔なんか、もう見たくない」
冷たく切り捨てた言葉と共に、シャッと音を立ててカーテンが引かれた。
薄い布1枚が、私と彼女の間に絶望的な境界線を引く。
視界が歪んだ。
溢れ出そうになる涙を、必死で堪える。
今、泣き声を上げれば、この薄い仕切りを越えて彼女に届いてしまう。
泣きたいのは、私じゃない。
ミチルちゃんの方なのに……。
震える足でそっとベッドから降りる。
重いカーテンの向こうに背を向け、私は逃げるように病室を後にした。
生きてる……?
鉛のように重い身体をどうにか動かして隣のベッドに目を向けると、そこには規則正しく胸を上下させて眠るミチルちゃんの姿があった。
よかった……。
本当に、よかった。
濁流の中で意識が遠のく直前、彼女の指が岩から離れるのが見えた気がして、生きた心地がしなかったのだ。
安堵の溜息を漏らしたその時、気配に気付いたのか、ミチルちゃんがゆっくりと身を起こした。
「ミチルちゃ……」
無事を喜び、名前を呼ぼうとした私の言葉は、鋭い絶叫によって遮られた。
「なんで!!」
耳を刺すような、激しい拒絶の響き。
「ど、どうしたの……?」
「どうしたの、じゃないよ!なんでもっと早く助けてくれなかったの!?アンタの個性は乾燥でしょ!?水は得意なはずじゃない!」
詰め寄る彼女の瞳には、どす黒い恐怖と、それを上塗りするような怒りが露わになっていた。
「ごめんなさい……」
絞り出すように謝ることしかできなかった。
確かに私の個性は『乾燥』だ。
だけど、それは水の中を魚のように泳げたり、海を割ったりできるような超常の力じゃない。
ただ、人より肌が乾きやすく、人より少しだけ水分を吸収できる、それだけ。
けれど、死の淵を彷徨った彼女の恐怖を思えば、どんな弁明も言い訳にしか聞こえない気がした。
「私、もう少しで死ぬところだったんだよ……っ!」
「……」
「どうせアンタの忠告を聞かなかった私を、バカにしてたんでしょ。自分だけ安全な場所にいて、上から私を見下ろして……」
「違っ……そんなこと……っ」
喉の奥で言葉が詰まる。
ミチルちゃんには、あんなに必死だった私の姿が、そんなふうに見えていたの?
私は、カナヅチの恐怖に震えながらも、アナタを助けたくて飛び込んだんだよ。
泥水を飲んで、息ができなくて、それでも手を伸ばして……。
結局、助けるどころか自分まで溺れて、誰かに救われる結果になってしまったけれど。
「アンタの顔なんか、もう見たくない」
冷たく切り捨てた言葉と共に、シャッと音を立ててカーテンが引かれた。
薄い布1枚が、私と彼女の間に絶望的な境界線を引く。
視界が歪んだ。
溢れ出そうになる涙を、必死で堪える。
今、泣き声を上げれば、この薄い仕切りを越えて彼女に届いてしまう。
泣きたいのは、私じゃない。
ミチルちゃんの方なのに……。
震える足でそっとベッドから降りる。
重いカーテンの向こうに背を向け、私は逃げるように病室を後にした。
