子供でいられなかった子供時代
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車はしばらく走った後、目的地に着いたのか停止した。
車から降ろされる前に腕をロープでぐるぐる巻に拘束された。
私ならまだしも、こんなに小さな焦凍にまで。
「降りろ」
大人しく指示に従う。
何かの工場だろうか。
周りを見渡すとよく分からない機械がたくさん。
使われていないのか、埃と油の混ざった嫌な臭いが充満していた。
そんな工場内の積み荷置き場に座らされた。
そして、唯一自由だった足も逃げられないように、と拘束され、手も機械に繋げるように結び直された。
「俺はボスに連絡しに行くから、お前はコイツらを見張っていろ」
「分かった」
室内には私たちと見張りの男一人。
個性を使うなら今しかない。
私は焦凍に個性の影響を与えないように背中に隠した後、男に向って足でリズムを刻んだ。
小さく、聞こえない程度の音で。
初めての相手の心拍数を把握するのは難しい。
実践経験が浅いから尚更。
だけど、今は焦凍を助けること一心にひたすらリズムを刻んだ。
すると、
「なんか、急に心臓が……立ち眩みか?ここ、空気悪いもんな」
ようやく個性が聞いてきたのか、男に異変が起きた。
「換気してくるから、お前らは動くなよ!」
男は足早に一部の窓の換気を始めた。
今のうちだ。
「焦凍、この拘束具燃やせる?」
私は拘束されている腕を焦凍に向けた。
コクリと頷いた焦凍は左手からボッと火を放ち拘束具を焼き切った。
手だけ開放されれば後はこっちのもの。
急いで足の拘束具と焦凍の手足を解いた。
細くて小さな焦凍の手足にはくっきりと拘束具の締め付けられた跡が。
可哀想に。
「よく頑張ったね。あの男が戻って来る前にネェネと逃げようね」
しかし、
「誰が戻ってくる前に、だ?」
「!?」
振り向くと、見張りの男だけではなく、電話を掛けに行っていた男共々戻ってきていた。
「たく、ガキだからって目を離すなよ」
「すみません」
「さあ、いい子だからもう一度縛られておこうか」
「嫌だ……来ないで!」
こんな状態では私の個性は使えない。
使えても役に立たない。
どうしよう。どうしたら。
ふと、私たちを繋いでいた機械からポタポタと茶色い液体が漏れていることに気が付いた。
この臭い、知っている。
「焦凍!ここに向って火を出して!」
もしかしたら爆発するかもしれない。
だけど、そうしないと今度こそ逃げるチャンスがなくなる。
私は焦凍を守るようにしっかりと抱き抱えてから、火を放ってもらった。
BaaaaaaaN!! KabooM!!
火は油に引火し、凄まじい威力で爆発した。
背中で爆風を受け止め、私たちは飛ばされた。
だけど、焦凍を抱き締める腕は決して緩めず。
熱風が熱い。背中がただれていそう。
痛い、熱い、痛い、熱い。
だけど、逃げないと。炎が広がる前に。
背の低い私たちは比較的煙幕を吸わずに建物の外へと出ることが出来た。
「ネェネ…」
「心配してくれてるの?」
背中、どうなっているんだろう。
痛みで意識が飛びそう。
そんなとき、爆発音を聞きつけたのか、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
これで安心だ。
よかったね、焦凍。私たち助かったんだよ。
安心からか、はたまた痛みのせいか。
私は意識を失った。
後から聞いた話によると、トップヒーローのエンデヴァーに恨みを持った組織が、息子の焦凍を人質に取って、復讐しようと計画されたことらしい。
駆けつけたヒーローによって組織は跡形もなく消滅したけれど、私の背中には消えない大きな火傷の痕が残った。
車から降ろされる前に腕をロープでぐるぐる巻に拘束された。
私ならまだしも、こんなに小さな焦凍にまで。
「降りろ」
大人しく指示に従う。
何かの工場だろうか。
周りを見渡すとよく分からない機械がたくさん。
使われていないのか、埃と油の混ざった嫌な臭いが充満していた。
そんな工場内の積み荷置き場に座らされた。
そして、唯一自由だった足も逃げられないように、と拘束され、手も機械に繋げるように結び直された。
「俺はボスに連絡しに行くから、お前はコイツらを見張っていろ」
「分かった」
室内には私たちと見張りの男一人。
個性を使うなら今しかない。
私は焦凍に個性の影響を与えないように背中に隠した後、男に向って足でリズムを刻んだ。
小さく、聞こえない程度の音で。
初めての相手の心拍数を把握するのは難しい。
実践経験が浅いから尚更。
だけど、今は焦凍を助けること一心にひたすらリズムを刻んだ。
すると、
「なんか、急に心臓が……立ち眩みか?ここ、空気悪いもんな」
ようやく個性が聞いてきたのか、男に異変が起きた。
「換気してくるから、お前らは動くなよ!」
男は足早に一部の窓の換気を始めた。
今のうちだ。
「焦凍、この拘束具燃やせる?」
私は拘束されている腕を焦凍に向けた。
コクリと頷いた焦凍は左手からボッと火を放ち拘束具を焼き切った。
手だけ開放されれば後はこっちのもの。
急いで足の拘束具と焦凍の手足を解いた。
細くて小さな焦凍の手足にはくっきりと拘束具の締め付けられた跡が。
可哀想に。
「よく頑張ったね。あの男が戻って来る前にネェネと逃げようね」
しかし、
「誰が戻ってくる前に、だ?」
「!?」
振り向くと、見張りの男だけではなく、電話を掛けに行っていた男共々戻ってきていた。
「たく、ガキだからって目を離すなよ」
「すみません」
「さあ、いい子だからもう一度縛られておこうか」
「嫌だ……来ないで!」
こんな状態では私の個性は使えない。
使えても役に立たない。
どうしよう。どうしたら。
ふと、私たちを繋いでいた機械からポタポタと茶色い液体が漏れていることに気が付いた。
この臭い、知っている。
「焦凍!ここに向って火を出して!」
もしかしたら爆発するかもしれない。
だけど、そうしないと今度こそ逃げるチャンスがなくなる。
私は焦凍を守るようにしっかりと抱き抱えてから、火を放ってもらった。
BaaaaaaaN!! KabooM!!
火は油に引火し、凄まじい威力で爆発した。
背中で爆風を受け止め、私たちは飛ばされた。
だけど、焦凍を抱き締める腕は決して緩めず。
熱風が熱い。背中がただれていそう。
痛い、熱い、痛い、熱い。
だけど、逃げないと。炎が広がる前に。
背の低い私たちは比較的煙幕を吸わずに建物の外へと出ることが出来た。
「ネェネ…」
「心配してくれてるの?」
背中、どうなっているんだろう。
痛みで意識が飛びそう。
そんなとき、爆発音を聞きつけたのか、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
これで安心だ。
よかったね、焦凍。私たち助かったんだよ。
安心からか、はたまた痛みのせいか。
私は意識を失った。
後から聞いた話によると、トップヒーローのエンデヴァーに恨みを持った組織が、息子の焦凍を人質に取って、復讐しようと計画されたことらしい。
駆けつけたヒーローによって組織は跡形もなく消滅したけれど、私の背中には消えない大きな火傷の痕が残った。