子供でいられなかった子供時代
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本当の弟ではなかったけれど、実の弟のように可愛がった。
手遊び歌であやしたり、ミルクをあげたり、オムツだって替えられる。
しかし、最初こそ嬉しかったけれど、時が経つにつれて自分が召使のように思えた。
焦凍は2歳に、私は小学校1年生のとき。
「●●ちゃんは今日も近所の子のお世話?」
「うん、そうなの」
「それじゃあ、一緒に遊べないね」
「ごめんね、また誘って」
「分かった!」
友達が遊びに誘ってくれても、断る日々。
遊びを制限されて、私の生活は焦凍を中心に回った。
何で私ばっかり。私だって皆と遊びたいのに。
ある日のこと、焦凍のお母さんがノイローゼで倒れた。
旦那さんはトップヒーローだとかで中々家に帰って来ないし、一番上のお兄ちゃんはいつも個性訓練でいない。
真ん中の二人は家のことはできても育児には参加しなかったのか、焦凍の扱いに戸惑っている。
そのため私に懐いている焦凍は我が家で預かることに。
「それじゃあお母さん、お仕事に行ってくるから。お昼頃には帰るからいい子にしているのよ」
「うん、いってらっしゃい」
手を振りながらお母さんを送り出した。
せっかく学校がお休みの日なのに、お母さんもお父さんも休日出勤。
友達の遊びも断らないといけなくなり、本当に最悪な休日だ。
そんな私の考えなど知らずに、呑気に指しゃぶりをしている焦凍。
でも、まあ、焦凍に罪はない。
「はぁー」
私は大きなため息を吐いてから焦凍に話しかけた。
「焦凍、何して遊ぶ?」
「う〜ボゥル」
「ボールね」
私は倉庫からボールを引っ張り出して、庭でボール遊びを始めた。
遊びと行っても適当に転がす程度。
そんなとき、急に母親が恋しくなったのか、
「ママーママー!」
と、ぐずりだした焦凍。
「おばさ……焦凍のお母さんはネンネしてるから、しばらくはネェネと遊ぼうね」
「むー」
2歳の焦凍は言葉こそ拙いが、ある程度は理解できることが増えてきた。
コロコロと焦凍の方へボールを転がすと、
「えいっ」
ボッ!!
「ちょっと焦凍!」
癇癪を起こした焦凍が個性を使ってボールに火をつけた。
さすがトップヒーローの息子。
既に個性が表れているのもさながら、威力も凄い。
私の個性『振動』とは大違いだ。
振動と言っても地震を起こしたり、超撃破を出すわけではない。
舌打ちや足踏みなどでリズムを刻むことによって、対象物に対して心拍数を上げたりとコントロールできるようになるだけ。
ただし静かな空間に限る。
それにしても、
「ボール、これじゃあもう使えないね」
炭と化したボールは元が何だったのか分からないほど跡形もなくなっていた。
すると、塀の外から声がした。
「良ければ新しいボールをあげようか?」
知らない人の声。
両親は“誰かの助けになることをしなさい”と言っていた。
助ける方も助けられる方も良い気分になる。
だから、この知らない人もそうなんだと思った。
私はせっかくの行為に甘えることにした。
焦凍を一人で庭に放置するわけにもいかず、抱っこをしながら回り込んで正面玄関から塀の外へと出る。
声だけでは分からなかったが、そこには二人の男性がいた。
「おじさん、ボールは?」
「ボールはね、車の中だよ」
そう言って、もう一人のおじさんが近くに停まっていた車のドアを開けた。
前の目にりになるように車の中を覗き込むと、
「きゃっ!」
私は背中を押されて、焦凍もろとも車に押し込まれた。
「エンデヴァーの息子、確保。おまけ付きだけど、まあいいだろう」
男たちの会話。
幼ながら、男たちの目当てが焦凍だと理解した私は、この子を守らないと、と使命感にかられていた。
「ネェネ」
「大丈夫、大丈夫だからね、焦凍」
私は焦凍をぎゅっと強く抱きしめた。
手遊び歌であやしたり、ミルクをあげたり、オムツだって替えられる。
しかし、最初こそ嬉しかったけれど、時が経つにつれて自分が召使のように思えた。
焦凍は2歳に、私は小学校1年生のとき。
「●●ちゃんは今日も近所の子のお世話?」
「うん、そうなの」
「それじゃあ、一緒に遊べないね」
「ごめんね、また誘って」
「分かった!」
友達が遊びに誘ってくれても、断る日々。
遊びを制限されて、私の生活は焦凍を中心に回った。
何で私ばっかり。私だって皆と遊びたいのに。
ある日のこと、焦凍のお母さんがノイローゼで倒れた。
旦那さんはトップヒーローだとかで中々家に帰って来ないし、一番上のお兄ちゃんはいつも個性訓練でいない。
真ん中の二人は家のことはできても育児には参加しなかったのか、焦凍の扱いに戸惑っている。
そのため私に懐いている焦凍は我が家で預かることに。
「それじゃあお母さん、お仕事に行ってくるから。お昼頃には帰るからいい子にしているのよ」
「うん、いってらっしゃい」
手を振りながらお母さんを送り出した。
せっかく学校がお休みの日なのに、お母さんもお父さんも休日出勤。
友達の遊びも断らないといけなくなり、本当に最悪な休日だ。
そんな私の考えなど知らずに、呑気に指しゃぶりをしている焦凍。
でも、まあ、焦凍に罪はない。
「はぁー」
私は大きなため息を吐いてから焦凍に話しかけた。
「焦凍、何して遊ぶ?」
「う〜ボゥル」
「ボールね」
私は倉庫からボールを引っ張り出して、庭でボール遊びを始めた。
遊びと行っても適当に転がす程度。
そんなとき、急に母親が恋しくなったのか、
「ママーママー!」
と、ぐずりだした焦凍。
「おばさ……焦凍のお母さんはネンネしてるから、しばらくはネェネと遊ぼうね」
「むー」
2歳の焦凍は言葉こそ拙いが、ある程度は理解できることが増えてきた。
コロコロと焦凍の方へボールを転がすと、
「えいっ」
ボッ!!
「ちょっと焦凍!」
癇癪を起こした焦凍が個性を使ってボールに火をつけた。
さすがトップヒーローの息子。
既に個性が表れているのもさながら、威力も凄い。
私の個性『振動』とは大違いだ。
振動と言っても地震を起こしたり、超撃破を出すわけではない。
舌打ちや足踏みなどでリズムを刻むことによって、対象物に対して心拍数を上げたりとコントロールできるようになるだけ。
ただし静かな空間に限る。
それにしても、
「ボール、これじゃあもう使えないね」
炭と化したボールは元が何だったのか分からないほど跡形もなくなっていた。
すると、塀の外から声がした。
「良ければ新しいボールをあげようか?」
知らない人の声。
両親は“誰かの助けになることをしなさい”と言っていた。
助ける方も助けられる方も良い気分になる。
だから、この知らない人もそうなんだと思った。
私はせっかくの行為に甘えることにした。
焦凍を一人で庭に放置するわけにもいかず、抱っこをしながら回り込んで正面玄関から塀の外へと出る。
声だけでは分からなかったが、そこには二人の男性がいた。
「おじさん、ボールは?」
「ボールはね、車の中だよ」
そう言って、もう一人のおじさんが近くに停まっていた車のドアを開けた。
前の目にりになるように車の中を覗き込むと、
「きゃっ!」
私は背中を押されて、焦凍もろとも車に押し込まれた。
「エンデヴァーの息子、確保。おまけ付きだけど、まあいいだろう」
男たちの会話。
幼ながら、男たちの目当てが焦凍だと理解した私は、この子を守らないと、と使命感にかられていた。
「ネェネ」
「大丈夫、大丈夫だからね、焦凍」
私は焦凍をぎゅっと強く抱きしめた。