勇気を下さい
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~勇気を下さい~
私にはコンプレックスがある。
太股にある火傷の痕。
昔はもう少し小さかったのに、足の成長と共に傷痕も伸びて、目も当てられない状態。
そんな火傷の原因は私の個性によるもの。
私の個性は『乾燥』。
炎天下に長い時間に居すぎるだけで火傷をおってしまう。
太股の火傷も天気のいい日の縁側で正座した状態でうたた寝をしていたら、ジュッ………と。
保湿や日光対策は大変だけど、雨の日とか湿気の多い時期は肌が一段と潤って体調がよくなる。
逆に言えば梅雨時以外は顔の一部が乾燥して鱗のように見える。
そのため、よく、
「●●の鱗って個性の影響?ドラゴン系の異形?」
なんて言われることもしばしば。
ドラゴンなんて大層な物じゃない。
「ただの乾燥だよ」
お化粧で誤魔化そうとした時期もあったけど、これを含めて私だし。
早々に隠すことはやめた。
だけど、太股の火傷の痕は別。
自分のうっかりで作ってしまった傷だから。
痛みはもうないけれど、見られる度に指摘されるのが嫌で、規定より少し長めの制服のスカートを着用して学校へ通っている。
そんなある日のこと。
校内を通り抜ける気持ちの良い風。
自然の物なのか、個性による物なのか。
そのどちらなのかは分からないけど、次々と女子生徒のスカートが捲れ上がっていく。
「うひょー!収穫収穫!」
1年A組の峰田実を筆頭に何人かの男子生徒が騒いでいる。
私も咄嗟にスカートを押さえたけど、間に合わず。無常にも捲れ上がった。
「きゃっ!」
誰かに火傷の痕が見られていないか周りを見渡すと一人の少年と目が合ってしまった。
端正な顔立ち、オッドアイの目、白と赤の髪色、極め付けには彼にも左目を中心に火傷の痕があった。
轟………焦凍。
ふいっと直ぐに視線を反らされたけど、絶対に見られた。
ヒーロー科の彼と普通科の私ではほとんど接点はない。
体育祭で一方的に私が知っている可能性もある。
だけど、気まずさは拭えない。
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