歪んだ正義
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熱い……熱い……。
焼けそうだ。
崩壊しかけた建物のフロアの壁を容赦なく炎が包み込む。
それでも奥へ進むと、揺れる炎の向こうに人影が見えた。
もしかしたら、あの子の母親かもしれない。
「大丈夫ですか!」
私は叫んだ。
勢いよく駆け寄り、咳き込みながらその腕を掴もうとした。
だけど、その人物は振り返り、私の手をフイッとかわす。
「え……?」
振り返ったその人物に見覚えがあった。
ボロボロのパーカーではなく、真新しい黒いコート。
何度も言葉を交わした、公園で出会った青年だった。
「やあ、ヒーロー」
「なんで、アナタがこんなところに……」
「それは、俺がヴィラン連合の死柄木弔だからさ」
炎の明かりが、彼の横顔を照らす。
「死柄木……弔……?」
声が震える。
信じられなかった。
信じたくなかった。
「なんで……」
「なぜって……?アンタなら分かるんじゃないのか?ヒーローに対して強い憎しみを抱いているからだよ」
冷ややかな視線に私の意識は釘付けだった。
私もヒーローに対して疑念を抱いていたから。
弱い者や困っている者を守るはずだったヒーローの汚い部分。
モンちゃんのような小さな命も、救うどころか切り捨てる。
クソみたいな“大義”に。
だけど……。
「だとしても、関係ない人たちを巻き込みすぎだよ!」
「変わらないから!」
「!?」
初めて彼が張る声を聞いたせいで、一瞬だけ体が強張った。
口答えをしなくなった私を確認すると、彼は続きを話し始めた。
「これくらいやらないと、何も変わらないんだよ。世の中ってやつは」
彼の声は切なく、それでいて真っ直ぐだった。
「俺は俺のやり方で信念を貫き通す。それが例え悪だとしても」
前にも言っていた“信念”。
やっぱりアナタはあのときのままだ。
死柄木弔はそっと手を差し出す。
「アンタはどうする?このまま国家の犬になり続けるか、俺と一緒に世界を変えるか」
「わ、私は……。私も世界を変えたい!」
気が付いたときには死柄木弔の手を取っていた。
その指先は、破壊と恐れの象徴でしかなかったはずなのに、今は不思議と温もりと救いを感じる。
「そうこなくっちゃ。ただ、ここから先は何があっても、もう後戻りはできないからな」
「覚悟の上よ」
本気だということを示したくて、握りしめている手に力を込める。
「ははは、いい目だ」
私の選んだ道は正しくないのかもしれない。
だけど、私は私の信念を貫き通そうと思った。
ーーFinーー
焼けそうだ。
崩壊しかけた建物のフロアの壁を容赦なく炎が包み込む。
それでも奥へ進むと、揺れる炎の向こうに人影が見えた。
もしかしたら、あの子の母親かもしれない。
「大丈夫ですか!」
私は叫んだ。
勢いよく駆け寄り、咳き込みながらその腕を掴もうとした。
だけど、その人物は振り返り、私の手をフイッとかわす。
「え……?」
振り返ったその人物に見覚えがあった。
ボロボロのパーカーではなく、真新しい黒いコート。
何度も言葉を交わした、公園で出会った青年だった。
「やあ、ヒーロー」
「なんで、アナタがこんなところに……」
「それは、俺がヴィラン連合の死柄木弔だからさ」
炎の明かりが、彼の横顔を照らす。
「死柄木……弔……?」
声が震える。
信じられなかった。
信じたくなかった。
「なんで……」
「なぜって……?アンタなら分かるんじゃないのか?ヒーローに対して強い憎しみを抱いているからだよ」
冷ややかな視線に私の意識は釘付けだった。
私もヒーローに対して疑念を抱いていたから。
弱い者や困っている者を守るはずだったヒーローの汚い部分。
モンちゃんのような小さな命も、救うどころか切り捨てる。
クソみたいな“大義”に。
だけど……。
「だとしても、関係ない人たちを巻き込みすぎだよ!」
「変わらないから!」
「!?」
初めて彼が張る声を聞いたせいで、一瞬だけ体が強張った。
口答えをしなくなった私を確認すると、彼は続きを話し始めた。
「これくらいやらないと、何も変わらないんだよ。世の中ってやつは」
彼の声は切なく、それでいて真っ直ぐだった。
「俺は俺のやり方で信念を貫き通す。それが例え悪だとしても」
前にも言っていた“信念”。
やっぱりアナタはあのときのままだ。
死柄木弔はそっと手を差し出す。
「アンタはどうする?このまま国家の犬になり続けるか、俺と一緒に世界を変えるか」
「わ、私は……。私も世界を変えたい!」
気が付いたときには死柄木弔の手を取っていた。
その指先は、破壊と恐れの象徴でしかなかったはずなのに、今は不思議と温もりと救いを感じる。
「そうこなくっちゃ。ただ、ここから先は何があっても、もう後戻りはできないからな」
「覚悟の上よ」
本気だということを示したくて、握りしめている手に力を込める。
「ははは、いい目だ」
私の選んだ道は正しくないのかもしれない。
だけど、私は私の信念を貫き通そうと思った。
ーーFinーー
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