歪んだ正義
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“ヒーローって、いったい誰の味方なんだろうな……”
昨日からその言葉が頭を離れない。
ヒーローは弱い人、困っている人の味方。
今までならすぐ答えていた。
それならモンちゃんは……?
野良猫ってだけで何か悪いことをした?
“正義”が誰かの大切なものを傷つけている。
私の心はヒーローに対して徐々に疑心を覚え始めた。
そんなことを考えながら出勤すると、いつもより事務所の空気が張り詰めていた。
電話がひっきりなしに鳴り、先輩ヒーローもバタバタと出動準備をしている。
ぼーっと立ち尽くす私に、上司は直ぐ様指示を出す。
「あ、◯◯さんも直ぐにコスチュームに着替えて!ヴィラン連合が動いた!」
「は、はい!」
状況がうまく飲み込めないまま、私は準備をして、他のヒーローと共に指定されたビル街へと駆けつけた。
……。
…………。
私は蒼白な顔で現場を見渡した。
「なに……これ……」
辺りは騒然としていた。
建物の一角が崩れ、黒い煙が青空に溶けていく。
警察や救急隊員、そして続々と集まるヒーローたち。
彼らは崩れ落ちた瓦礫を必死に退けたり、二次災害が起きないように、市民の誘導をしている。
また、簡易的な救助スペースを設けて治療を行っていた。
だけど、人手が足りないのか、母親の名前を泣き叫びながら彷徨う少女に誰も手を貸さない。
それどころか、そんな子を、ヒーローはまるで障害物をなぎ倒すかのように体当たりをしながら、崩壊現場へと走り抜ける。
私は慌てて少女に駆け寄った。
「大丈夫!……なワケないよね……」
「マ、マ……っ……は?」
「お母さんはお姉ちゃんが探しだすから、アナタは安全な場所へ避難しましょう?」
「ぅ……っあぁァ〜ママ〜〜〜〜!!」
なだめたけれど、少女は泣きじゃくるばかりで、それ以上はまともに会話ができない状態だった。
ひとまず避難所へと連れて行く。
「この子をお願いします!」
預けた後は、約束した通りあの子の母親探し。
現場へと戻ると、火災が広がっており、事態は悪化していた。
だけど、約束を果たすためにあの炎の中に飛び込まないと。
気休めに、浴びるための水を探していると、同じ事務所の先輩ヒーローたちを見つけた。
先輩たちは何をするでもなく、ただ立ち尽くすのみ。
「先輩!……先輩!」
ダメだ。
何度呼んでも、私の声は聞こえていない。
普段蔑ろにしている小さな人助けもしなければ、大きな事件にも怖気づく。
そんな先輩の姿に幻滅した。
ヒーローにも、そしてそれに憧れていた自分自身にも。
「あー!もうっ!」
苛立ちを覚えつつも、私は落ちていたバケツに溜まっていた水を頭から思いっ切り被り、火災現場の中へ駆け込んだ。
昨日からその言葉が頭を離れない。
ヒーローは弱い人、困っている人の味方。
今までならすぐ答えていた。
それならモンちゃんは……?
野良猫ってだけで何か悪いことをした?
“正義”が誰かの大切なものを傷つけている。
私の心はヒーローに対して徐々に疑心を覚え始めた。
そんなことを考えながら出勤すると、いつもより事務所の空気が張り詰めていた。
電話がひっきりなしに鳴り、先輩ヒーローもバタバタと出動準備をしている。
ぼーっと立ち尽くす私に、上司は直ぐ様指示を出す。
「あ、◯◯さんも直ぐにコスチュームに着替えて!ヴィラン連合が動いた!」
「は、はい!」
状況がうまく飲み込めないまま、私は準備をして、他のヒーローと共に指定されたビル街へと駆けつけた。
……。
…………。
私は蒼白な顔で現場を見渡した。
「なに……これ……」
辺りは騒然としていた。
建物の一角が崩れ、黒い煙が青空に溶けていく。
警察や救急隊員、そして続々と集まるヒーローたち。
彼らは崩れ落ちた瓦礫を必死に退けたり、二次災害が起きないように、市民の誘導をしている。
また、簡易的な救助スペースを設けて治療を行っていた。
だけど、人手が足りないのか、母親の名前を泣き叫びながら彷徨う少女に誰も手を貸さない。
それどころか、そんな子を、ヒーローはまるで障害物をなぎ倒すかのように体当たりをしながら、崩壊現場へと走り抜ける。
私は慌てて少女に駆け寄った。
「大丈夫!……なワケないよね……」
「マ、マ……っ……は?」
「お母さんはお姉ちゃんが探しだすから、アナタは安全な場所へ避難しましょう?」
「ぅ……っあぁァ〜ママ〜〜〜〜!!」
なだめたけれど、少女は泣きじゃくるばかりで、それ以上はまともに会話ができない状態だった。
ひとまず避難所へと連れて行く。
「この子をお願いします!」
預けた後は、約束した通りあの子の母親探し。
現場へと戻ると、火災が広がっており、事態は悪化していた。
だけど、約束を果たすためにあの炎の中に飛び込まないと。
気休めに、浴びるための水を探していると、同じ事務所の先輩ヒーローたちを見つけた。
先輩たちは何をするでもなく、ただ立ち尽くすのみ。
「先輩!……先輩!」
ダメだ。
何度呼んでも、私の声は聞こえていない。
普段蔑ろにしている小さな人助けもしなければ、大きな事件にも怖気づく。
そんな先輩の姿に幻滅した。
ヒーローにも、そしてそれに憧れていた自分自身にも。
「あー!もうっ!」
苛立ちを覚えつつも、私は落ちていたバケツに溜まっていた水を頭から思いっ切り被り、火災現場の中へ駆け込んだ。
