無償の友情
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それからしばらく、名前も知らない不審者さんがゲームしている様を無言で見続けた。
ゲーム音とカチカチとコントローラーのボタン音だけが部屋に響く中、唾液を飲み込む音ですらはばかられる。
それにしてもずっと見ていて思ったけど、興味を示した割に下手だ。
あっ、今のところに重要アイテム落ちていたのに………。
そことかヒントスルーしてるし………。
だけど、口出しなんか出きるわけもなく、さっきから同じところで何回もゲームオーバーをしている。
躓いて早数回、
「ああ゛~!!」
「!?」
不審者さんが苛立ちの声を上げてコントローラーを投げ捨てた。
コントローラーが壊れちゃう!
それに、そんな大声出したら下の部屋にいる母に怒られる!
案の定階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
今ドアを開けられたら不味い。
明らかにヤバい風貌の不審者さんを見られたら……。
私が何故生かされているのか分からないけど、母が入ってきたら確実に殺られる。
直感がそう言っている。
私は母が階段を上り切る前に自ら部屋の外へ出た。
そのタイミングで母と鉢合わせ。
間に合ってよかった。
「な、なに。お母さん………」
「あんたね、こんな時間から叫んで………。そんな元気があるなら学校に行きなさい!」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい………」
こうなってしまったらひたすら謝ることしかできない。
少しでも落ち着けば、もしくは他の感情になってくれれば個性が使えるのに。
私の個性は『施錠』。
施錠と言っても扉の施錠をするものではなく、生物の感情の施錠、ロックをするもの。
怒っている人なら、しばらく怒りが収まらず、恐怖を感じている人なら、しばらく怯えたまま。
その時の感情を持続させる。
一見使えないように思えるけど、親が穏やかな状態のときの心を施錠させれば、こちらもしばらくは安心できる。
私にとっては大切な個性。
だから早く怒り以外の感情になってくれ。
そう祈りながら説教を聞き入れた。
そんなことを考えていると、私の部屋からバキッと物音がした。
不審者さん?!中で何してるの?!
「何、今の音」
「さ、さあ?」
怒りの感情もだけど、不信の感情を施錠するのもタブーだ。
どうしよう。どうやって誤魔化そう。
すると、遠くの方からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
ひょっとして警察が不審者さんを探して………?
取りあえず、サイレンを聞いて不安になっている母の感情を施錠しないと。
こっそりと右手で鍵をかけるジェスチャーをした。
「いやだわ………物騒ね……」
母は別のところに意識が行ったのか、そのまま階段を降りていった。
ふう、なんとな誤魔化せた。
そうだ不審者さんは……!
ドアを開けると部屋には誰もいなかった。
ゲームオーバーの画面のテレビ、投げ飛ばされたコントローラー、開けっぱなしの窓ガラス、失くなっている不審者さんの靴。
不審者さんがいなくなって嬉しいはずなのに、何故か寂しいと思っている自分に戸惑いが隠せなかった。
ゲーム音とカチカチとコントローラーのボタン音だけが部屋に響く中、唾液を飲み込む音ですらはばかられる。
それにしてもずっと見ていて思ったけど、興味を示した割に下手だ。
あっ、今のところに重要アイテム落ちていたのに………。
そことかヒントスルーしてるし………。
だけど、口出しなんか出きるわけもなく、さっきから同じところで何回もゲームオーバーをしている。
躓いて早数回、
「ああ゛~!!」
「!?」
不審者さんが苛立ちの声を上げてコントローラーを投げ捨てた。
コントローラーが壊れちゃう!
それに、そんな大声出したら下の部屋にいる母に怒られる!
案の定階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
今ドアを開けられたら不味い。
明らかにヤバい風貌の不審者さんを見られたら……。
私が何故生かされているのか分からないけど、母が入ってきたら確実に殺られる。
直感がそう言っている。
私は母が階段を上り切る前に自ら部屋の外へ出た。
そのタイミングで母と鉢合わせ。
間に合ってよかった。
「な、なに。お母さん………」
「あんたね、こんな時間から叫んで………。そんな元気があるなら学校に行きなさい!」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい………」
こうなってしまったらひたすら謝ることしかできない。
少しでも落ち着けば、もしくは他の感情になってくれれば個性が使えるのに。
私の個性は『施錠』。
施錠と言っても扉の施錠をするものではなく、生物の感情の施錠、ロックをするもの。
怒っている人なら、しばらく怒りが収まらず、恐怖を感じている人なら、しばらく怯えたまま。
その時の感情を持続させる。
一見使えないように思えるけど、親が穏やかな状態のときの心を施錠させれば、こちらもしばらくは安心できる。
私にとっては大切な個性。
だから早く怒り以外の感情になってくれ。
そう祈りながら説教を聞き入れた。
そんなことを考えていると、私の部屋からバキッと物音がした。
不審者さん?!中で何してるの?!
「何、今の音」
「さ、さあ?」
怒りの感情もだけど、不信の感情を施錠するのもタブーだ。
どうしよう。どうやって誤魔化そう。
すると、遠くの方からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
ひょっとして警察が不審者さんを探して………?
取りあえず、サイレンを聞いて不安になっている母の感情を施錠しないと。
こっそりと右手で鍵をかけるジェスチャーをした。
「いやだわ………物騒ね……」
母は別のところに意識が行ったのか、そのまま階段を降りていった。
ふう、なんとな誤魔化せた。
そうだ不審者さんは……!
ドアを開けると部屋には誰もいなかった。
ゲームオーバーの画面のテレビ、投げ飛ばされたコントローラー、開けっぱなしの窓ガラス、失くなっている不審者さんの靴。
不審者さんがいなくなって嬉しいはずなのに、何故か寂しいと思っている自分に戸惑いが隠せなかった。