無償の友情
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~無償の友情~
今日も外の光を浴びない日を送るのだろうか。
別に監禁されているわけでも、箱入り娘なわけでもない。
どちらかと言わず、両親は私を外に出したいと思っている。
だけど学校で苛めにあってから、私は心を閉ざし、引きこもりになってしまった。
毎日毎日ゲームをして、眠くなったら寝る。
そんな同じことの繰り返し。
だから、今日もそんな日になると思っていた。
思っていたのに………。
「………っ」
ここ、二階なのにどうやって!?
ベランダにたたずむ不審人物。
細身な体型に無造作な白髪、全身に「人の手」の様な物が着いている。
誰がどう見ても怪しい、得たいの知れない不気味な雰囲気を纏っている男性。
不審者は窓ガラスの鍵の部分に手を添えたかと思えば、みるみるうちに鍵が砕けた。
そして、初めから開いていましたと言わんばかりの態度で部屋へと侵入してきた。
「っ!!」
咄嗟に悲鳴を上げようとしたけど、長らく誰とも会話をしていないせいで声が出なかった。
せめて床を叩いて下にいるはずの母に知らせないと。
いや、ここでそんな不審な動きをしたら相手の反感を買うかもしれない。
そもそも恐怖で身体に力が入らず、そんなことすら出来ない。
私は手に持っていたゲームのコントローラーをゴトッと落とした。
そのコントローラーをゆっくりと拾い上げた不審者。
「これ、何のゲーム?」
え、今なんて言った?
何のゲーム?
ゲームが気になったから侵入してきたの?
訳が分からない。
それよりも、
「土足………」
不審者の問いかけに対して、やっと出た言葉は土足。
私も大概変なのかもしれない。
「………あはははっ!いや~ごめんごめん」
意表を突かれた顔をしたかと思えば、高笑いをして謝ってきた。
そして、言われた通り素直に靴を脱いでくれた。
悪い人じゃない………のかな?
いや、少なくともいい人ではない。
「これでいい?」
と、脱いだ靴を窓の外へと置いてくれた。
「あ、はい」
本当は床に付いた靴の跡も気になるけど、それは言わなかった。
「で、これは何のゲーム?」
再度尋ねてきた。相当気になるようだ。
「ゾンビハザード…………です」
「へ~面白いの?」
「別に………」
他にやりたいことがないからやっているだけ。
いくつか所持している、たまたま選ばれたゲームソフトなだけ。
それ以上でも以下でもない。
「そう…………少しやらせてよ」
「どうぞ」
私は自分が座っていた場所をずれて、テレビ画面の見易い位置を不審者に譲った。
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