〜第二章〜 アナタのことが好きな私
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次の日。
いつもより早く家を出て登校する。
1人になりたかったから。
それなのに、
「●●さん」
昇降口の下駄箱でジャージ姿の二口に声を掛けられた。
その声は険悪な雰囲気になる前のような、無邪気なものだった。
そうか、現役生はこの時間から朝練をしているんだっけ。
1人になるどころか早速絡まれるハメに。
「昨日、部活見学来ていましたよね」
「……」
「それから、途中で帰るのも見ていました」
見てくれていたことが……、気付いていてくれていたことが嬉しかった。
嬉しかったくせに私の口からは素っ気ない言葉しか出ない。
「だったら何?」
二口が少しだけ眉根を寄せたのが分かった。
本当はあのとき叩いたことを謝りたいのに。
今更なんて言えばいいのか分からない。
「用がないなら行くけど」
話は終わったはずなのに、二口は朝練に行こうとはしなかった。
それどころか、彼は一歩また一歩と私に近付く。
その距離の詰め方に思わず後ずさる。
しかし二口は構わず距離を詰めて来て、ついには壁まで追い詰められた。
「な、何よ……」
気丈に振る舞うが動揺しているのがバレバレ。
「本当に●●さんって俺になびかないっすよね」
「え……?」
「後輩ができて、その中の女の子からも俺ってキャーキャー言われてるんすよ」
「それで?」
「俺ってやっぱりモテるんだって実感しました」
「……」
「昨日●●さんが見学に来てくれたって分かったとき、アンタもついに俺に惚れたのかと思った。それなのに、相変わらず俺に興味を持ってくれない!」
すると彼はにやりと笑って、いきなり私の腰に手を回して引き寄せてきた。
「?!」
笑っているはずの二口の目が怖い。
驚きと恐怖で身動きが取れない私をいいことに、二口は無理やり唇を塞いできた。
「んっ!」
いつ他の生徒が来るか分からないのに。
彼の胸を押してみるけれど、びくともしない。
身長の差があれば体格差も歴然。
抵抗するだけ無意味なんだ。
「……っ!」
キスがあまりにも長くて、息が苦しい。
もう限界だ、そう思ったとき、やっと唇が離れた。
「はぁ……はぁ……」
二口と目が合う。
彼は余裕の笑みを浮かべていた。
「顔真っ赤っすね」
「っ!」
1度目のビンタを謝れていないのに、私は咄嗟に手が出た。
その手を二口の大きな手に掴まれて阻止される。
「2度も同じヘマはしませんよ」
それならば、と私はもう片方の手で二口の頬目掛けてビンタした。
「!」
今度は見事にクリーンヒット。
パチーンッという小気味良い音がした。
その拍子に唇が切れたのか、二口の唇から血が出ている。
「てめっ……!」
二口は怒りでわなわなと震えている。
しかしすぐにいつもの調子に戻った彼は、ジャージで唇を拭うと、
「……やっぱ俺、●●さんのこと諦めねぇから」
それだけ言うと、二口は今度こそ朝練へと向かった。
力が抜けてその場へしゃがみ込む。
また叩いてしまった。
本当は好きなのに、好かれたいのに。
嫌われないといけないジレンマ。
これで良かったんだ。
もう、これで……。
だけど、せめて……今度こそは叩いたことを謝ろう。
それで最後にする。
私は壁を支えにして立ち上がり、教室へと向かった。
いつもより早く家を出て登校する。
1人になりたかったから。
それなのに、
「●●さん」
昇降口の下駄箱でジャージ姿の二口に声を掛けられた。
その声は険悪な雰囲気になる前のような、無邪気なものだった。
そうか、現役生はこの時間から朝練をしているんだっけ。
1人になるどころか早速絡まれるハメに。
「昨日、部活見学来ていましたよね」
「……」
「それから、途中で帰るのも見ていました」
見てくれていたことが……、気付いていてくれていたことが嬉しかった。
嬉しかったくせに私の口からは素っ気ない言葉しか出ない。
「だったら何?」
二口が少しだけ眉根を寄せたのが分かった。
本当はあのとき叩いたことを謝りたいのに。
今更なんて言えばいいのか分からない。
「用がないなら行くけど」
話は終わったはずなのに、二口は朝練に行こうとはしなかった。
それどころか、彼は一歩また一歩と私に近付く。
その距離の詰め方に思わず後ずさる。
しかし二口は構わず距離を詰めて来て、ついには壁まで追い詰められた。
「な、何よ……」
気丈に振る舞うが動揺しているのがバレバレ。
「本当に●●さんって俺になびかないっすよね」
「え……?」
「後輩ができて、その中の女の子からも俺ってキャーキャー言われてるんすよ」
「それで?」
「俺ってやっぱりモテるんだって実感しました」
「……」
「昨日●●さんが見学に来てくれたって分かったとき、アンタもついに俺に惚れたのかと思った。それなのに、相変わらず俺に興味を持ってくれない!」
すると彼はにやりと笑って、いきなり私の腰に手を回して引き寄せてきた。
「?!」
笑っているはずの二口の目が怖い。
驚きと恐怖で身動きが取れない私をいいことに、二口は無理やり唇を塞いできた。
「んっ!」
いつ他の生徒が来るか分からないのに。
彼の胸を押してみるけれど、びくともしない。
身長の差があれば体格差も歴然。
抵抗するだけ無意味なんだ。
「……っ!」
キスがあまりにも長くて、息が苦しい。
もう限界だ、そう思ったとき、やっと唇が離れた。
「はぁ……はぁ……」
二口と目が合う。
彼は余裕の笑みを浮かべていた。
「顔真っ赤っすね」
「っ!」
1度目のビンタを謝れていないのに、私は咄嗟に手が出た。
その手を二口の大きな手に掴まれて阻止される。
「2度も同じヘマはしませんよ」
それならば、と私はもう片方の手で二口の頬目掛けてビンタした。
「!」
今度は見事にクリーンヒット。
パチーンッという小気味良い音がした。
その拍子に唇が切れたのか、二口の唇から血が出ている。
「てめっ……!」
二口は怒りでわなわなと震えている。
しかしすぐにいつもの調子に戻った彼は、ジャージで唇を拭うと、
「……やっぱ俺、●●さんのこと諦めねぇから」
それだけ言うと、二口は今度こそ朝練へと向かった。
力が抜けてその場へしゃがみ込む。
また叩いてしまった。
本当は好きなのに、好かれたいのに。
嫌われないといけないジレンマ。
これで良かったんだ。
もう、これで……。
だけど、せめて……今度こそは叩いたことを謝ろう。
それで最後にする。
私は壁を支えにして立ち上がり、教室へと向かった。
