ひと夏の恋
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燈矢君はウトウトし始めた私を見て、
「暇なら●●も個性伸ばしすれば?」
と、誘ってくれた。
だけど、
「私の個性、戦闘向きじゃないから」
個性『反発』。
自身と接触する物体を反発させることができる個性。
満員電車で使ったら快適なんだろうけど、実際に使ったことはない。
「それなら送ってやるから今日はもう帰れ」
呆れたように言ってきた燈矢君。
「でも……」
帰り道が分からないし、怒られるのが怖いし。
そんな気持ちを汲んでくれたのか、
「親御さんに一緒に謝ってやるから」
「……うん」
そこまで言われたら帰らないわけにはいかない。
「あと、これ」
そう言って、燈矢君は自分の履いていた靴を私に渡してくれた。
「足、痛いんだろ。ないよりマシだから履いてろ」
「ありがとう」
「ん」
燈矢君のさり気ない優しさに思わず笑みが溢れた。
「ふふふ、靴大きい」
「うっせぇ。黙って歩け」
サイズの合わない靴はパカパカして歩きにくかったけれど、この靴ならどこへでも行ける気がした。
町まではすぐに下りられた。
遠くまで来たつもりだったけれど、意外と近かった。
家に近づくにつれ動悸が激しくなる。
ハァハァ……ハァハァ……苦しい。
「大丈夫か?」
「大丈夫」
これ以上甘えられない。
「無理するな。手くらいなら繋いでやるから……ってこんな火傷だらけのグロい手、嫌か」
「嫌じゃない!」
だって、燈矢君が頑張った証だもん。
「だから、手繋いで?」
「おう」
燈矢君の手は言っていた通り火傷だらけのただれた手、皮膚が突っ張っている部分はツルツルしていた。
だけど、その頼もしい腕に引っ張られて、私は家の前まで着くことができた。
「ここか?」
「うん」
私は大きく深呼吸をしてからインターフォンを押した。
モニターに映った私を見たのか、一言も話す前に玄関のドアが開いた。
中からは血相を変えた両親が。
「た、ただいま……」
「●●!」
「今までどこに!心配したのよ!」
「ごめんなさい……」
一通り謝った後、両親は燈矢君の方へ視線を向けた。
「君は?」
「お嬢さんを連れ回してしまって申し訳ありませんでした」
「そうか……●●は先に家に入りなさい」
「でも……」
「悪いようにはしないから」
キッと睨めてこれ以上は何も言えなかった。
だけど最後に、
「燈矢君、今日はありがとう。またね!」
それだけ言い残して家に入った。
「暇なら●●も個性伸ばしすれば?」
と、誘ってくれた。
だけど、
「私の個性、戦闘向きじゃないから」
個性『反発』。
自身と接触する物体を反発させることができる個性。
満員電車で使ったら快適なんだろうけど、実際に使ったことはない。
「それなら送ってやるから今日はもう帰れ」
呆れたように言ってきた燈矢君。
「でも……」
帰り道が分からないし、怒られるのが怖いし。
そんな気持ちを汲んでくれたのか、
「親御さんに一緒に謝ってやるから」
「……うん」
そこまで言われたら帰らないわけにはいかない。
「あと、これ」
そう言って、燈矢君は自分の履いていた靴を私に渡してくれた。
「足、痛いんだろ。ないよりマシだから履いてろ」
「ありがとう」
「ん」
燈矢君のさり気ない優しさに思わず笑みが溢れた。
「ふふふ、靴大きい」
「うっせぇ。黙って歩け」
サイズの合わない靴はパカパカして歩きにくかったけれど、この靴ならどこへでも行ける気がした。
町まではすぐに下りられた。
遠くまで来たつもりだったけれど、意外と近かった。
家に近づくにつれ動悸が激しくなる。
ハァハァ……ハァハァ……苦しい。
「大丈夫か?」
「大丈夫」
これ以上甘えられない。
「無理するな。手くらいなら繋いでやるから……ってこんな火傷だらけのグロい手、嫌か」
「嫌じゃない!」
だって、燈矢君が頑張った証だもん。
「だから、手繋いで?」
「おう」
燈矢君の手は言っていた通り火傷だらけのただれた手、皮膚が突っ張っている部分はツルツルしていた。
だけど、その頼もしい腕に引っ張られて、私は家の前まで着くことができた。
「ここか?」
「うん」
私は大きく深呼吸をしてからインターフォンを押した。
モニターに映った私を見たのか、一言も話す前に玄関のドアが開いた。
中からは血相を変えた両親が。
「た、ただいま……」
「●●!」
「今までどこに!心配したのよ!」
「ごめんなさい……」
一通り謝った後、両親は燈矢君の方へ視線を向けた。
「君は?」
「お嬢さんを連れ回してしまって申し訳ありませんでした」
「そうか……●●は先に家に入りなさい」
「でも……」
「悪いようにはしないから」
キッと睨めてこれ以上は何も言えなかった。
だけど最後に、
「燈矢君、今日はありがとう。またね!」
それだけ言い残して家に入った。